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栗原類が告白したADD(注意欠陥障害)ってどんな障害なのか

 

この記事は発達障害の子供を育てている30代の女性に書いていただきました。
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 2016年10月6日に、自らADD(注意欠陥障害)であることをカミングアウトしたモデル・栗原類さんが、自身の発達障害に関する体験についてつづった本「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」を出版されました。ちょうど運動会や秋まつり等、行事が目白押しでなかなか読み進められなかったのですが、1か月かけてやっと読み終えられました。今回は栗原さんの本のレビューを書きたいと思います。

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多角的な見方ができるのがいいところ

 本人、家族などの当事者の方がどのように日々を過ごしてこられていたのか、そしてどんなふうに考えて今までを生きてこられたのかを知りたいと思っていたので、出版されるのをとても楽しみにしていました。
この本は、
1.ADDってどんな障害か
2.本人の体験談
3.お母さんの泉さんの体験談
4.主治医の先生の話
5.友人又吉との対談という構成。

 栗原さん本人の思いだけではなく、お母さんの体験談や専門家である主治医の話も掲載されているので、栗原さんの周りで何が起こっていたのかを多角的に知ることができます。これまでに何冊か、当事者が書かれた本を読む機会がありましたが、いずれもご本人のみの考察だったのです。本人の生きづらさをどうやって克服したのかという点で参考にはなっていましたが、やはり養育した人の話や主治医の話は知りたかったです。今回の栗原さんの本では、親、先生などのそれぞれの視点が見えてよかったです。

診断名が問題ではない。困っているところにフォーカスしよう

 栗原さんは8歳の時にADD(注意欠陥障害)の診断がついたとのことでした。ADDとはADHDでいう「多動」があまり見られず、「不注意」「衝動性」が優勢な特徴を持ちます。

 栗原さんの特徴として本書で挙げられていたのは
「強いこだわり」
「触感に敏感」
「聴覚が過敏」
「注意力散漫で忘れ物が多い」
「二つの動作が同時にできない」
「短期記憶が弱い」
「感情表現が苦手で無表情に見えがち」
「人の心の動きを読み取るのが苦手」など。

 よくよく見ると、「広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)」と診断がついたうちの次男の特徴とほぼ同じです。診断名が違うんですけどね。でも、ここで考えすぎないほうがよさそうです。ADDと自閉症スペクトラムは発達障害の中でも「系統が違う」と思いがちですが、「診断名が問題なのではない」とここで思いました。

 ADDであっても、自閉症スペクトラムであっても「日常生活で困っていることは何なのか」そこが問題なんですね。「うちの子は自閉症スペクトラムだから…なんですよね」と診断名にこだわってる親があまりにも多いのが以前から気になっていましたが、はっきりいって診断名なんかどうでもいいんだということをこの本を読んだおかげで気づくことができました。

 また、同じ特徴を持つなら、栗原さん自身が、自身の脳のクセをどのようにして「訓練」(原文にあったのでこの単語を使用しました)したのか、工夫していったのかが本書Part3に書かれています。同じ特徴を持つなら参考にできるかもしれません。私の息子は栗原さんと同じ性質があるので参考にさせていただきます。

お母さんのコメントに勇気が出ました

発達障害者の子育ては30歳ぐらいまでになんとかなっていればよしとしよう

 この言葉に勇気が出ました。一方で、私の場合、「末娘が30歳になったら私・・・70歳?」と考えるとちょっと真っ青になりましたが…(笑)それまで私、死ねませんね。なので、自分の健康管理をきちんとしようという気になりました。いずれにしても、「長い目でみる勇気」をもつことが大事なんですね。みんな、1年や2年の短期間でなんとかしようと必死すぎます。

 栗原さんの本は、発達障害者ご本人にとっても、いえどちらかというと発達障害児を育てているお母さんにとって、勇気と知恵がもらえる本になりそうに思います。何にうるさく言って、何に目をつぶるかという、お母さんの価値観や方針は見習いたい部分も多かったです。

 当事者の親はつい「発達障害の私の子供が周りに迷惑をかけてしまわないか」と考えがちですが、類さんの母の意見を聞くと「開き直る勇気」をもらうこともできます。担任の先生から「〇〇ができないのはクラスで類くんだけです」と言われても動じなかったという、ある種の開き直り。見習うと親の心も少し楽になるかもしれません。

 ぜひ、「発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由」を読んでみてください。

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