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私のADD(注意欠陥障害)が誰にも気づかれなかった理由

 

この記事は20代の女性に書いていただきました。

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 不注意優勢型ADHD(ADD=注意欠陥障害)と診断されている20代後半の女性です。私がADHDと診断されたのは22歳の頃でした。ご存知の通り、ADHDは先天性の脳の機能不全と言われています。そのため、私は生まれてからずっとこの障害を持ちながら、成人後まで見過ごされてきたことになります。なぜ私の障害はそんなに長い期間誰にも気づかれなかったのか?その理由は、私の症状の現れ方にありました。

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■何をするにも「遅い」と言われた幼少期

 物心ついた時から、毎回の食事も、幼稚園に行く準備も、さまざまな作業も何もかも遅かった私。親や幼稚園の先生にいつも「どうしてそんなにゆっくりなの」「グズグズしないで」「早くしなさい」と言われ続けていました。それでも改善することはできず、「私なりに頑張っているのにどうしてこんなに怒られるんだろう」と悲しい気持ちになっていました。

 今思えばそれらはすべて「目の前のことに集中できない」「ぼーっと自分の考えにふけってしまう」というADHD(ADD=注意欠陥障害)の症状のせいだったのですが、当時の私には知る由もなく、「自分はグズでいけない子だ」という劣等感を強く感じていました。

■授業に全く集中できなかった小学校時代

 小学校に進学しても、私の度を越したマイペースさは変わりませんでした。朝の身支度がスムーズにできず、毎日のように遅刻。小学校低学年にして集団登校のグループから置いて行かれるようになりました。授業中も全く集中できず、いつもぼーっと考え事をしていました。幸い勉強自体は嫌いではなく、むしろ得意な方だったので落ちこぼれることはありませんでした。しかし、「遅刻をする」「授業を聞かない」「宿題をしてこない」と揃っているくせにテストの点数だけは良かったので、先生からは「本当はできるのにやる気がない・手を抜いている」とみなされ、あまり好かれていませんでした。ただし、多動がないせいか教室をうろうろしたり授業を妨害することはなかったので、それほど問題児扱いはされていなかったように思います。

■相変わらず先生から嫌われた中学時代

 中学進学後も相変わらず授業には集中できず、遅刻や宿題忘れも繰り返していました。ただし、勉強するのは好きで積極的に自習していたため、テストでは常に学年10位以内をキープしていました。小学校時代と同じくこれが先生の癇に障ったようで「テストができてもお前は人間のクズだ」「そんな態度では将来苦労する」などと嫌味を言われました。私としては「授業に集中できないのも遅刻も自分が望んでやっているわけではない」という気持ちでしたが、やはり大人である先生に言われた言葉は重く「自分はクズなんだ」と思い込んでいました。

■ついに落ちこぼれた高校時代

 自主学習の甲斐あって、県でトップの進学校に進学しました。しかし、周りは優秀な人ばかり。独学では周りに到底勝てず、テストでは360人中の350番台まで落ちぶれてしまいました。その状況を必死に打破しようと授業を聞こうとしてみたり、出された課題をこなそうとしてみたりしましたが、やはり集中できず……。すっかり自暴自棄になりました。

■もっと早く誰かに気づいてもらいたかった

 高校卒業後は紆余曲折の末第一志望の大学に進学しましたが、ここでもやはり「授業に集中できない」「レポートや課題が出せない」「遅刻を繰り返してしまう」という壁にぶつかります。「自分はダメな人間なんだ」と思い込み、大学に通えなくなって留年。一時は自殺を考えました。

 そんなあるとき、ADHDという障害があることを知って「これは自分そのものじゃないか」と思い、勇気を出して精神科を受診。やはりADHD(不注意優勢型ADHD=ADD)と診断されました。診断が下りて「自分の努力不足のせいではなかったんだ」とほっとしましたが、同時に「なぜ周りの大人が気づいてもっと早く対処してくれなかったんだ」という恨みのような気持ちも湧いてきました。私の場合、多動や衝動性があまりなく、一見おとなしい子だったので親や先生も障害があると思わなかったのでしょう。それゆえ、集中力のなさや遅刻癖といった症状はすべて私本人の努力不足とみなされていたのです。その結果、私は自尊心の低い、精神的に不安定な大人へと成長してしまいました。今更恨み言を言っても無駄ですが、「子どものうちに誰か一人でも私の障害に気づいていてくれたら……」と思うと、やりきれない気持ちになります。

[参考記事]
「発達障害の「二次障害」とは何か。放置すると大変なことに」

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