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不注意優勢型ADHDの息子がピアノレッスンに集中できた理由

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この記事は30代の女性に書いていただきました。

……..

 私には小学二年生の息子がいます。彼はADHD(不注意優勢型)です。息子は小学校入学時よりピアノを習っています。週1回、40分間のマンツーマンでのレッスンですが、なかなか集中力が続かず、母親である私もピアノ講師の先生も頭を悩ませる日々が続いていました。

 発達障害であると診断が下ったとき先生にも相談したところ、様々な工夫を行ってくれました。そのせいか、40分間のレッスンも集中して取り組むことが出来るようになってきました。先生が取り入れてくれた工夫についてお話しようと思います。

もともと自由なタイプの教室ではあったけれど

 息子の選んだ教室は、入門の楽譜集の中から好きな曲を選んで仕上げていくというスタイルです。「ピアノが楽しめるようになればいい」程度の気楽な目標だったので、先生も「楽しく」をスタンスにして割と自由にレッスンを進めてくれていました。

 ところがピアノレッスンに慣れてくるにつれて、息子の暴走が始まりました。先生の指示を聞かずに遊びだす。今日はやりたくないと言ってお絵かきを始める。勝手に色々なものに触れる…言葉には出さなくても、先生の困った様子がありありと伝わってきてとても申し訳なかったのを覚えています。

息子の中のピアノとは?

 そんな息子が不注意優勢型ADHDであることが判明したのも、ちょうどこの頃です。ピアノのレッスンについても息子と話をしました。彼の主張はこのようなものでした。
・両手で弾きたい(まだ簡単な楽譜だったので、右手のみがメイン)
・曲が面白くない(子供向けの童謡がメインの教本だった)
・練習中に間違えるのを聞かれたくない
・たまには他の楽器もやってみたい
・楽譜が難しくてよくわからない

 つまり、息子の中でのピアノは「ピアニストのように両手で好きな曲を楽しく弾く」ものであるのに対し、実際は「あまり好きでもない曲をほとんど片手だけで弾いている」状態。自宅の電子ピアノでは楽しく「遊んで」いたため、ピアノ演奏自体には楽しみを感じていることは分かりました。

 そこで私は思い切って息子が不注意性が優位なADHDであることと、息子の主張を先生に伝えてみることにしました。

先生の工夫とその効果

 先生は保育士の資格も持っています。そのためADHDに対する知識があり、話はとてもスムーズでした。先生は様々な提案をしてくれて、色々と試してみることにしました。

①好きな曲を弾く
 これまでは教本をメインに曲を選んでいましたが、それを止めました。例えば、アニメのテーマや小学校の校歌、お友達の誕生日が近かったらハッピーバースデイなど。こんな感じで自由にその時弾きたい曲を選びます。これで息子の意欲は格段に向上しました。

②和音・コードを習う
 まだ楽譜を見ながら両手で弾くにはレベルが足りない息子。そこで先生は、コードを教えてくれるようになりました。「右手が〇〇の音だと左手は〇〇の音の組み合わせだときれいに聞こえる」などと教えていただき、それを実際に試してみて、いつのまにか基本のコードを身につけていきました。

③ヘッドフォンで練習
 教室内には電子ピアノも併設されています。繰り返し練習するときには電子ピアノとヘッドフォンを使用することで、個人練習でも集中して取り組めるようになりました。小学校低学年であっても、プライドや羞恥心は大人と変わらないのです。

④母親と連弾をする
 息子がヘッドフォンで個人練習をしている時間に、私が先生にレッスンを受けます。本当にありがたい話ですが、息子の選んだ曲に合わせて先生が私のパートをアレンジしてくれ、親子で連弾を最終的な仕上がりのゴールにすることになりました。当然私はピアノなど弾けません。先生には親子で本当にお世話になっています。

⑤リズムカードで作曲
 音符や休符の書かれたカードを並べながら、リズムと音を決めていきます。それを楽譜に起こしながら、歌詞もつけていきます。簡単な作詞作曲です。息子はこれをとても気に入ったようで、自然と楽譜が読めるようにも書けるようにもなってきました。毎回意味不明の楽しい曲(スイカは高い~など)を作っています。

⑥正装で弾くプチ発表会
 親子連弾の仕上げの回は、プチ発表会です。親子で正装し、先生の前で披露します(とはいっても、私はスーツ、息子は入学式に着用したジャケットとワイシャツ・ネクタイなのでお金はかかっていませんが)。その様子を先生がスマートフォンで動画撮影してくれます。そして最後にみんなで反省会を行います。

⑦ハンドベルや木琴などの回も
 時にはピアノから離れて、ハンドベルや木琴、鈴などを使って、先生・息子・私・息子の次の時間の中学生のお姉さん(少し早く来てくれる:ピアノはとても上手)でセッションをすることもあります。それぞれ色々な楽器を分担しながら簡単な曲を合奏します。これはいい息抜きになっているようです。なにより私もとても楽しく参加させてもらっています。

ピアノが楽しくなった

 このように実に多彩なことを行っているため、仕上げることができる曲数は決して多くはありません。何より、普通のピアノ教室の子が当たり前に弾けるであろう『子犬のマーチ』や『ソナチネ』などは全く弾けません。おそらく彼はバイエルの存在も知らないでしょう。

 ですが、『千本桜』『妖怪ウォッチ』『バタフライ(バンプオブチキンの曲)』『校歌』『メロンの歌(息子オリジナル)』『猫のテーマ(息子オリジナル)』など、息子がピアノ自体を楽しむことが出来る曲を弾けるようになってきました。自分の本当に弾きたい曲を、自分で両手の伴奏も考えながら完成させていくというプロセスが、集中力を継続させる大きなモチベーションになっているようです。

 不注意優勢型のADHDの息子でも、楽しみながらピアノレッスンを行えば集中力が途切れないことが分かりました。これはピアノが上手になること以上に大きな成果です。

興味や集中の範囲が広がった

 先生の厚意と協力なしには成し得なかったことではありますが、息子は以前よりもピアノが楽しくなったと言うようになりました。家庭での練習も自発的に行う時間が増えています。

 なにより、ピアノをきっかけにして他のことに対しても集中力が続くようになってきました。曲のネタ探しの一面もあるようですが、本や音楽、自然など、これまでよりも興味を持つ範囲も広がってきたのも事実です。ほんの小さなきっかけがあれば、大きな集中力を発揮する可能性を秘めているのだと強く思わされるのが、ピアノでの彼の変化でした。

 もし、私の息子のように「集中力が続かない」と悩んでおられる方がいらっしゃいましたら、その原因を探ってみてはいかがでしょうか?私たち大人には思いもつかない原因や解決策があったりするものです。不注意優勢型のADHDでも、不注意を引き起こす原因が片付けば集中して取り組むことができるかもしれません。私たち親子の経験が、少しでも誰かのお役に立てましたら光栄です。

[参考記事]
「不注意優勢型のADHDだと診断を受けるまでの経緯」

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