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オーストラリアの自閉症児専門の療育センターで訓練を開始

 

 

この記事は「オーストラリアで長男の発達障害の検査をし診断が下りる」の続きです。

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 診断後、一番初めにやった事は自閉症児専門の療育センター(オーストラリア)への申請です。近年70人に1人が自閉症児。発症率は年々、上がる一方で、ブリスベンでは療育センターの需要が高まっています。私達が3年前申請した時、ウェイティングリストの30番目なので、いつ長男が始められるか分からない、との事でした。結果的に1年後入れる事になりましたが、それまでは手探りながらも情報を集めていました。

 私達夫婦は膨大な量の治療法の本を買って学んだり、発達障害を持った親のためのセミナーに行ったり、オンラインコースをしたりと忙しくしていました。夫婦両者とも仕事を減らしていったのはこの頃です。頭を壁にぶつけ続けたり、多動すぎて周りに迷惑をかけたり、床に落ちた髪の毛を拾って食べるという怪しい行動が始まったのもこの頃です。ママ友の子ども達が上手に言語で意思疎通しているのを見ると、「なぜうちはこうだめなんだ」と焦りました。

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療育センターでの訓練

 療育センターを始める前の一年間、作業療法士に月に二度来ていただき、遊びを通して言語能力を伸ばしたり、コミュニケーションする楽しさを長男に教えてもらいました。

 PECS(絵で表示された事柄で自分の気持ちを伝えるツール)を紹介していただき、「〇〇が食べたい」などの意思疎通を練習しました。PECSは毎日の生活の流れを絵で表示したり、次に何が起こるかを絵で理解させるという点でもとても役に立つ物でした。

 3歳になり、療育センターでの訓練が始まるとPECSやフラッシュカードを使ってのセラピーがはじまり、ラベリング(事物を名前で言えること)が上達しました。1クラスに子供12人、専門家を合わせた大人が6人。知識あるスタッフがみてくれているので、以前通っていた保育園と比べると、学びの機会がふんだんに増えました。

 オーストラリアの療育センターではABA療法(行動療法)を主に行っています。簡単に説明すると、望ましい行動をしてもらうために、その行動が出来たら褒めたり、ご褒美をあげます。この問題を解いたら、飴あげると犬を訓練しているようなもので、個人的には好きではありません。しかしこの療法のおかげで、それまで頑なにトイレの便座に座らなかったのにトイレトレーニングがスムーズに進んだり、他での指示も通るようになった事は否めません。

 しかし、飴に飽きた、このおもちゃもチョコレートも彼にとっては魅力的でないとなった場合、何もしなくなりました。できる能力があるのに、やらないのです。何を言っても何を見せても無視です。賄賂なくして、どうやってモチベーションをあげるか。やる気を起こさせる事が5歳になった今でも常日頃の課題です。

腸内環境を改善して自閉症を治療?

 第2の脳といわれる腸内環境を改善することで自閉症を治療するという考えが自閉症児を持つママ友グループの中では主流となっています。腸内環境を改善するためにまず小麦グルテンや乳製品の排除。腸内の悪玉菌の原因となる糖類を控える。月数万円かかるプロバイオティクス、ビタミン剤などのサプリを摂取。私達は3か月続けましたが、断念しました。まず出費が多かったことと、食生活を変えたところで長男の症状が良くなったという訳ではなかったからです。

 ABA療法や PECSを使ったセラピーは早期療育でとても効果的であると証拠もデータもあります。上記のホリスティック療法は証拠が不十分で、現実主義者の夫に理解してもらえず、続けていけませんでした。家族の理解なしでは無理なのです。

オーストラリアで発達障害児を育てる意味

 長男の療育や教育に関して、夫と意見が割れる事もしばしばあります。夫の意見に憤慨して日本に帰りたいと思った事も何度もあります。しかし今通っている療育センター以上の施設はきっと日本には無いと思います。また、以前長男を連れて日本に帰った時に、多動で不思議な行動をする息子に、冷たい視線が刺さりました。そういった意味でもオーストラリアで発達障害の子供を育てていくほうが長男にとって幸せなんだと感じます。

 オーストラリアでは発達障害を抱える子どもたちの生活を豊かにするためのサービスが様々あります。
〇ジムで運動することで脳のシナプスを繋げるというニューロフィット療法。
〇動物療法やダンス療法。
〇遺伝子検査から治療法を見つけるという事も最近始まりました。
〇大学が実施している自閉症児への本読み講座。
〇高樹沙耶氏の事件で騒がれていますが、医療大麻の使用がオーストラリアで来年から合法化され、いずれ自閉症も使用制限された病名のうちのひとつになるだろうともいわれています。

 何が正しい治療方法なのか見極めるのは難しい事ですが、選択肢があるということ、オーストラリアの国柄が発達障害者を受け入れてくれる環境であることが幸せだなと感じます。あとは私達両親が、長男の将来のため選択して、道を切り開いていくのみです。

[参考記事]
「自閉症の息子は行動療法(療育)で大きく成長をしました」

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