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兄弟で違うアスペルガー症候群のタイプ。兄は積極奇異型、弟は受動型

 

この記事は40代の女性に書いていただきました。

………..

 私には二人兄弟の息子がいて、どちらもアスペルガー症候群の診断を受け療育手帳を取得しています。ですが二人の性格は正反対と言っても良いほど、全く違います。一言にアスペルガー症候群と言ってもタイプは様々で、対応の仕方もそれぞれです。

 自閉症スペクトラムには「積極奇異型」「受動型」「孤立型」がありますが、息子2人はそれぞれ性質が違います。

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兄は「積極奇異型」

 現在小学6年生の兄の方は、分類するとアスペルガー症候群の「積極奇異型」と呼ばれるタイプに入ると思われます。「自閉傾向がある」と聞くと、その文字から受けるイメージから内にこもってあまり周囲と関わりを持ちたがらないような印象を持つかもしれません。実際はそういうタイプの子もいれば、逆にやたら人と関わりを持とうとして空回りしているタイプの子もいます。兄は後者のタイプです。

 積極奇異型の子は人に興味があり、積極的に人と関わろうとしているので自閉傾向があると気づきにくかったりします。ですが、身近で常に接している距離の近い人間からするとその関わり方に「あれ?」と違和感を持つ場面が多々あります。どちらのタイプも根底に「自閉」があるので、人の感情を読み取りにくかったり、表情と気持ちが結びつかず、相手が不快感を持っているサインを出していてもそれを受け取れずに適切な返しができなかったり…。

 なので、自分から積極的に人に関わりに行く兄は、ある程度大きくなり経験と知識が積み重なるまでトラブルが絶えませんでした。本人からすると全く悪気がなく、ただ「楽しい」「相手も楽しんでいるはずだ」という意識なのですが、実は相手は嫌がっていて「嫌だ」のサインを出されているにも関わらずそれに気づけないので一線を越えてしまう…。そうやって友だちとトラブルになったり、和解できないままお互い恨み合ってそのまま仲直りできなかったりが日常茶飯事でした。

弟は「受動型」

 現在小学1年生の弟は、兄とは全くタイプが違い、アスペルガー症候群の「受動型」と呼ばれるタイプです。弟は不安が強いタイプで、人と関わりたいと思っていても自分からはなかなか声をかけられません。完璧主義で自分の中に正しいイメージが強くあるので、それとは違う行動を取ってしまう事に恐怖感を持っており、失敗してしまったらどうしよう…と常に心配しています。

 何かをする時には事前に念入りに頭の中でシミュレーションし、失敗しないように常に気を配っています。自分からアクションを起こして失敗したら嫌だなという気持ちがあるので、人から声をかけられたり手を差し伸べてもらわないと自分からは意見を述べたり主張したりすることがありません。集団の中では困っていてもヘルプを出せず、気づいてもらうのをひたすら待ち続け、最終的に気づいてもらえず傷ついたりしています。「受動型」という言葉がぴったりです。

 今どんな気持ちでどうして欲しいのか、自分の気持ちを伝えるのも難しく、「なんとなく嫌な予感がする」「不安定になる」「なんとなく恐い」など、ぼんやりとしたネガティブな気持ちに晒されていて辛そうな時があります。兄と違い、弟は外に発散できず内に溜めてしまう所があるので、精神的なストレスがすぐに体の不調となって出てきます。ですが慎重でよく考え周囲を観察しているので、友人とのトラブルはほとんどありません。

発達障害と言っても十人十色

 どの人にも多かれ少なかれアスペルガー症候群、ADHDなど「発達障害」の性質があり、どこからが障害でどこまでが個性なのかは判断が難しいです。その性質が原因で社会との関わりがうまくいかなかったり、本人がとても苦しんだりした時に診断がおりるのでしょうが、実際には診断されていなくても同じような性質を抱えて悩んでいる人は沢山います。小さい頃からその性質を掴み、適切な関わり方を行なっていれば大人になってから少しは楽になるかもしれません。

 兄と弟の兄弟は正反対な部分があり、怒られても耳に入らない自我の強い兄へのやり方を同じように弟にしてしまうと、体も心も壊してしまうでしょう。反対に弟への接し方で兄へ接しても、全く響かずに伝えたいことはこれっぽっちも伝わらないと思います。そんな兄弟でもそっくりな部分もあり、どう対応していくかはその子その子と関わってみて初めて発見し、分かっていくものなのだなと二人育ててみて実感しました。

[参考記事]
「自閉症スペクトラムの特徴とは」

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