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つま先歩きをしている自閉症の娘のために病院(整形外科)へ


この記事は自閉症の娘を育てている30代の女性に書いていただきました。

……………

 重度知的障害をあわせもつ自閉症の娘は、診断が下りた頃から「つま先歩き」をしていました。療育施設に行ってもつま先歩きをしている子供は多く、私自身も自閉症の特徴の一つとしてしか考えていませんでした。

 つま先歩きをする原因として、つま先歩きをして得られる刺激を楽しんでいたり、同じ行動によって安心感を得る常同行動によるもの、足裏の感覚過敏によるものなどがあります。娘も色々な感覚過敏があったので足裏の過敏さによるものだと思っていました。

 無理に止めさせることも出来ず、自閉症の子はこういうものだと思っていた時に作業療法の先生から「筋肉や関節の問題があるかもしれないから、一度病院で診てもらった方が良い」と言われました。

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整形外科へ

 自閉症の症状であるつま先歩きが治療で治るなんて半信半疑ではありましたが、整形外科に行ってみました。娘は筋肉が突っ張って足の関節の可動域が制限されてしまう状態らしく、「関節拘縮」という診断結果が出ました。
問題点として、
●つま先しか使えていなかった事でかかとの骨が未発達。
●かかとを使わないのでアキレス腱が短く硬い。

 この事からアキレスけん断絶の恐れがあると恐ろしい話をされました。つまづきやすく、すぐに転んでしまうのもこれが原因でした。

治療が始まる

 整形外科の先生からは
「このまま放置して行けば、アキレス腱と骨が並行して伸びにくくなる可能性が高く、そうなれば手術でアキレス腱を伸ばすことになります」
とのことでした。

 手術となると心身ともに負担が大きいので、そうならないように今出来る方法を教えてもらいました。それは本人が嫌がらなければ、足裏や足全体のマッサージを行い、アキレス腱を伸びやすいようにしておくことです。マッサージで自然に伸びる様になればそれが一番いいのですが、娘は体を触られるのが苦手でマッサージをすることが出来なかったので、「アキレス腱を伸ばす装具」を取り付ける方法を選びました。普段つけておくのはなかなか難しいものがあるので、寝る時だけ装着するものにしました。

 その装具は膝裏から土踏まずの辺りまですっぽりと足をはめ込み、膝と足首のあたりと足の甲をギュッと締めて、かかとが直角になるように固定するものです。何度も試作を重ね装具が完成しましたが、試着の時から嫌がって泣き叫んでいました。完成して不具合がないか確認する時も、きちんと履いて様子を見る事が出来ず、押さえつけて無理やり装着しましたが、この事でますます装具嫌いになってしまいました。

 本来は本人が納得して、寝る前に履いてから寝るのが理想なのですが、娘はどうしても履きたがらず寝入ってから私が取り付けました。それでもやっぱり気持ち悪かったようで、泣きながら外そうとしたり怒ったりと親子共にほとんど寝ることが出来ませんでした。夜寝ていない事から昼寝をして夜はまた大騒ぎするといった事が続き、生活リズムもボロボロで大変な時期でしたが、1カ月ほど経つと娘も少しずつ慣れてきて、寝る時もスムーズに着けてくれるようになりました。

 今で1年程着けていますが、少しづつ筋肉の突っ張りやアキレス腱の硬さも改善されていき、手術まではしなくてよさそうなので安心しています。長年のクセもありつま先歩きはまだ続いていますが、作業療法の先生にも協力してもらい足全体を使う体の動かし方などの訓練を続けています。

[参考記事]
「自閉症の息子は聴覚過敏です(実例)」

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