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発達障害児にとって中学入学時の試練は入学式とプリントの整理

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この記事は40代の女性に書いていただきました。

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 この春、我が家の自閉症スペクトラム(発達障害)の長男が地域の公立中学校へ入学しました。まだ中学生活が始まって二週間ほどですが、変化に苦手な発達障害児にとって、ゴールデンウィークが明けて慣れるまでは試練の時です…。と同時に、親も毎日がハラハラドキドキで気の休まる暇がありません。

支援体制はしっかり整っていた

 私が住んでいる自治体は「特別支援教育」に力を入れていると謳うだけあり、支援体制はしっかりと整っています。在籍していた小学校時代からスクールソーシャルワーカーの方と、担任の先生、必要があればその他の先生方も交えて定期的に面談を行っていました。

 中学へ入学しても、引き続き同じスクールソーシャルワーカーさんが担当をしてくださり、新担任の先生とも面談を行えるとあり、とても安心感がありました。小学校から中学校へ、息子の学校内での困り感やサポートが必要な部分等を引き継いでくださった上に、家庭から見た息子への心配事も、小学校と中学校の先生方とスクールソーシャルワーカーさん付き添いの上で引き継ぐ機会を設けてくださいました。私はサポートブック・今まで受けた発達検査の結果・医師の意見書等を持参し、その場で渡すことができました。小学校からの引き継ぎの際に先生方やワーカーさんの働きかけもあり、担任の先生やクラスで一緒になる友人関係も配慮してくださったように思います。スタートとしてはとてもスムーズでした。

入学式前のリハーサル

 新しい場面が苦手だったり見通しを立てるのが苦手な子が多いため、支援級に在籍予定の子や保護者から要望があった子どもたちには前日に入学式の会場を見せていただけるとの事でした。息子も声をかけていただき、会場を見させていただいたのですが、ここで私たち親子は中学校というものの難しさを感じました。

 発達障害がある子どもは事前に把握しておかないと不安が強く、支援が必要という知識は先生におありだったのでしょうが、実際に障害のある子をよく知っていればこんなやり方はしないであろうと思う前日のリハーサルでした…。正直私たち親子は行かない方がマシだったなと思う。

 前日のリハーサルではたった一人、大人に囲まれ大きな会場で一通りざーっと一度に流れを説明され、ガチガチに緊張している中、名前を呼ばれた際の返事の仕方を練習させられました。声が小さかったのでやり直しまで…。記憶力が弱く、過度に緊張しているのに覚えることを一度に沢山伝えられ、その上ダメ出し…。こういう子たちが最も苦手とすることのオンパレードです。

 先生方が思う「支援」と、実際に求めている「支援」のズレをまざまざと感じ、親子ですっかり不安になり入学式本番を迎えることとなりました。

入学式本番

 入学式本番の日。新しい環境・メンバーにとても緊張しながらの参加でした。が、前日あれほど緊張しながら練習した席が急遽変更になり…。急な予定変更が苦手な息子は一人だけ席を間違えてしまいました。それに対し、指をさして「だっせ」と馬鹿にした子がいたらしく、息子はすっかり心が折れてしまいました。

 その後全員がクラスに集まって最初の説明が行われました。発達障害児を育てる他のお母さんから、支援が必要な子は最初のこの時間の「プリントの扱い方」で分かると聞いていたので、息子がどのようにプリントを整理するか、話を聞いているか、観察していました。配られたプリントについての説明はきちんと聞けているようでしたし、扱い方も特段目立つことなく、ひとまず安心したのですが…。

 小学校卒業が近づいてきた頃から、「中学に入学するとプリントの整理がとても難しくなるからね。成績に直結するからきちんと練習しておかないと大変な目にあうよ。」と学校や私からしつこいほど言われていたので、本人は入学式当日からきちんと整理せねば!と半ば強迫観念にも近い感じで思っていたようです。

 他の子どもが配られたプリントや生徒手帳、名札などを入れ、重たい通学カバンを背負って帰りを待っている間、息子は生徒手帳にカバーをかける事に手間取り、プリント類を通学カバンからわざわざサブバッグを出し、その中のクリアファイルに入れなくては…と一生懸命。名札類はプリントではないしどうしよう、と手にとっては机に置き、そしてまた生徒手帳にカバーをかけようとしてみたり…。他の子どもが重たいかばんを持って長い時間待っている間、一向に進まない息子の帰りの準備。先生が困って様子を見に行ったり声をかけようとしても、へらへらと笑って、まだ続けるので先生もどうしていいか分からない様子。他のお母さん方も「どうしたの?」とざわざわし始め、私はもう息子の事は待たなくていいからとにかく目立たないように流して欲しい!!と、その一心でした。

 息子は帰宅してから、流れに沿えなかった自分や失敗してしまった自分に打ちひしがれ、突っ伏して泣いていました。私も彼のしんどさが痛いほど伝わってきて居たたまれず、中学校へは行けなくなるかもしれないと覚悟するほどでした。

 ですがまだ入学式のみ。楽しい事は何一つ経験していません。このまま諦めるには早すぎる、と、担任の先生に勇気を出して電話をしました。担任の先生は、やはり息子のしんどさを理解できていませんでした。帰りの準備でもたついていたのも、ヘラヘラ笑っていたのも、「困ってないよ、大丈夫!」というサインと受け取っていらしたようです。私の説明で、そうだったのですね、とびっくりしておられました。たった2回しか会っていないのに理解できなくて当たり前だと思います。先生は知らせてくださってありがとうございます、と言ってくださいました。そしてその夜、わざわざ家へ来てくださり、長い間息子に励ましの言葉をかけてくださいました。私も先生のその姿勢にとても安心し、ホッとして涙が出ました。

その後の二週間

 そこから二週間経った今日まで、すんなりとスムーズに日々を送れているわけではありません。昨日も行き渋り、担任の先生がまた訪問してくださいました。発達障害を抱えながら「普通」の中でやっていくのはとてもとても大変な事だと改めて感じている日々です。そしてこれはこの先も、彼が抱えていく辛さなのだなと覚悟もできました。

 今は彼が授業を抜けて通級指導に通うか否か、人目を気にする彼が決断せねばならない時です。本人の覚悟が試されている所です。この先どういう形で中学生活を送るのか、はたまた行けなくなり別の場所で過ごすのか、先の事は分かりませんが…。自信をなくさずに、彼が輝ける形で生きていける方法を探し続けてあげなくてはなと思う毎日です。

[参考記事]
「発達障害児が小学校に入学する前に行なっておく練習とは」

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