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発達障害の苦しさからリストカット。誤診されさらに酷い目に

この記事は30代の女性に、発達障害の苦しさ、誤診された経緯、そしてリストカットについて書いていただきました。

………..

 私は、発達障害者です。発達障害の中でもコミュニケーションを不得手とするタイプ、いわゆる広汎性発達障害です。コミュニケーションが苦手などの特性から、子どもの頃から周囲との違いを感じていました。今風に言えばスクールカーストは常に最下位でした。小中高と酷いいじめに合い、いつも嫌な気持ちで学校に行っていました。友達もいなくて、いつも一人ぼっちでした。次第にストレスを溜めこむようになり、高校に入学したころには苦しさからリストカットを繰り返すようになりました。

[参考記事]
「発達障害とはどんな障害?昔はこんな子、普通にいたよね」

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精神科へ

 リストカットで家族は動転しました。「何でそんなことするの!」と責められましたが、自分でもなぜリストカットをするのか説明できませんでした。リストカットをしているときに沢山のことを考えるのですが、なぜかそれを他人には説明できないのです。

 家族は私を総合病院の精神科に連れて行きました。医師は「あなたは境界性パーソナリティー障害です。親離れができていないただの甘えです」と責めるように言われました(これは誤診でした)。そして、とりあえず、抗不安薬と睡眠剤を飲むように言われました。

 服用した抗不安薬や睡眠剤は私には質・量ともに過剰なものでした。最初は体がふわふわするような感覚に包まれましたが、常に眠く、頭がすっきりしない感じがしました。それだけで済めばよかったのですが・・。

「自立を促す」治療が・・

 現在は発達障害者に対する治療は「受容的に接して社会適応を身に着けさせる」ことが基本になっています。発達障害者は信頼関係を結べた人間の言うことは素直に従います。

 一方、私が誤診されてしまった境界性パーソナリティ障害の治療は「自立を促す」ことが基本とされているようです。親の過保護や虐待が原因で誤った対人関係のパターンを身に着けてしまったので、それを矯正するのが治療というわけです。

 医師は私に「親に反抗すべきだ」と繰り返しました。親と仲がよいことを犯罪のように責められました。「だから友達ができないんだよ」と子どものころから一番気にしていたことを言われたことがショックだったので、私は医師の言う通り、親に反抗しようと決めました。常に頭の中で「過去に腹が立ったこと」をエンドレスに思い浮かべ、イライラ状態を無理に作り上げました。

 母に電話をして「お前なんか嫌いやー!死ねー!!」と絶叫しました。「〇〇の時も腹立ったんやー!」「口答えすんなやー!!」と体中からグログロしたものが出てきて止まらなくなり、病院の電話ボックスを破壊して、電話帳を破り捨てました。周りは明らかに引いていました。でも医者はニコニコ笑って「言いたいこと言えたら、すっきりしたでしょ?」と言いましたが、すっきりどころかイライラが酷くなり、小さなことでも爆発するようになりました。

常にイライラ、社会不適応

 何をしていても不安とイライラが襲ってきます。何も手につきません。あの医者は嫌だったので医者めぐりを繰り返しました。しかし、「まず、不安を抑えましょう」と薬を処方されるばかり。不安を抑えたい一心でその薬を飲みます。一錠では足らないかもしれないから二錠。イライラはさらに酷くなりました。親はその頃、私を悪魔のように恐れていたと思います。

 仕事はしようと思って色々トライするのですが、発達障害ゆえの不器用さですぐにクビになるか、いじめられます。そうするとまた不安が募って医者に行く→薬→イライラ→爆発・・・・の繰り返し。よく犯罪に走らなかったと思います。

発達障害の診断を受けて

 そんな状態が20年ほど続いたのですが、ある時、本で「発達障害」を知り、検査を受けてみました。結果は冒頭の通り、広汎性発達障害でした。

 発達障害者は薬物に過剰に反応する、という情報も新しいドクターに初めて教えていただき、抗不安薬は止め、睡眠薬は最低限の量に変えました。数週間で頭がすっきりして気持ちが落ち着いていくのが分かりました。

 発達障害ゆえにできないことや苦手なことを考え、まとめていくうちに不安を感じることも激減しました。親とも和解し、今は障害者雇用で安定した仕事に就くこともできています。薬を止める前に知り合った方に久しぶりに会うと、「以前と表情が全然違う。最初誰か分からなかった」と言われました。どれだけ怖い顔をしていたのでしょうか。今となっては分かりませんが、今は苦しいことも減り、穏やかに過ごせています。もちろん、リストカットもしていません。

 抗不安薬も睡眠薬も必要な方には必要な薬だと思います。ただ、私のような発達障害者には過剰に作用してしまうことを医療関係に従事する方に理解していただければと願います。それと私みたいに誤診されてしまうと、さらに苦しむことになりますので、もっと医師には発達障害に関する理解を深めて欲しいです。

 「お医者様は神様ではない」といいうことは発達障害の診断を受ける前に心得ていた方がいいかと感じます。

[参考記事]
「ADHDの薬コンサータの副作用で幻覚。袖から大きい蟻が」

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COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 1 )
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  1. 隠れ発達障害者

    境界性人格障害は、発達障害が誤診されるときの代表例ですね。私もそうでした。私は、そのあと違う医師に統合失調症と誤診され、そしてさらに医師を変え、大学病院で漸く、発達障害だと診断を得られました。

    私の場合がそうですが、1つの対処法として、もし障害特性が視覚優先タイプなら、仕事にせよ家にせよ、視覚構造化するのが1番。TEACCHが有名ですが、すること・すべきことを、コンビニやファーストフード店でのアルバイトのように、フローチャート式のマニュアル化を作り、こなすごとに指差し確認しながら進めることで、ずいぶんミスは減ると思います。

    なお補足ですが、苦手という言葉は意識上の問題であり、障害ゆえに出来ないこと(=現実)とは別の問題でしょう。

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