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発達障害の息子に対する拒絶感と違和感

 

この記事は30代の女性に書いていただきました。

…………

 私は5歳と3歳の男の子の母です。5歳の息子は「自閉症スペクトラム」という診断名を3歳7カ月頃に受けています。今思い返せば、すぐ気付いてあげられたのに、と思うこともあります。しかしながら、私は初めての子育てで彼が障害を持っているなどとつゆも思わなかったのです。周りのママさんがアスペルガーや自閉症、広汎性発達障害の話をしていても他人事のように聞いていました。

 なぜ私が彼を発達障害児なのでは、という違和感を持ったのかをこれから書き綴りたいと思います。

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1歳半健診時の保健師の指摘

 初めて彼の発達に関しての指摘を受けたのは、彼の1歳半健診の時のことです。健診時には、「言葉が出ない・自傷行為をする」などの相談内容を当時の保健師にしていました。但し、私やパートナーの中ではそこまで深刻な悩みとして考えてはおらず、周りの「男の子は言葉が出るのが遅いよね」の言葉に安心しきっていました。保健師から「2歳頃にお電話で成長の具合を再度お尋ねしても構いませんか?」と言われたことさえ気にも留めずに「分かりました」と2つ返事を返していました。

 ただ、帰宅してから保健師が彼の成長を気にしていたことが胸に引っかかって腑に落ちない、という感情が渦巻いていました。しかしながら、ここからまた1年、何も気づけないまま時が過ぎてしまいました。

弟の誕生と上の子かわいくない症候群!?

 彼が2歳半の時弟が誕生しました。産後の入院中は彼とパートナーとの時間をゆったり取れるように個室を希望し、彼をたっぷり甘えさせようと心に決めていました。ところが、彼は私に甘えてくるどころか個室にあるナースコールのボタンで遊んだり、外の景色を楽しんだりと私には予想外の態度だったのです。久々に会ったので恥ずかしいのかな、と私から抱っこしてもいやいやと抜け出し遊び始めます。腑に落ちない感情がまた1つここで生まれました。

 退院後、弟をかわいがる彼。逆に私は家で弟のお世話をしていくうちに芽生える上の息子への拒絶的な感情を感じていました。入院中あんなに会いたくて仕方がなかった彼を私の中で何かが拒絶を始めていました。親としてあってはならない感情を持ち、同じ親はいるのかとネット検索をすると「上の子かわいくない症候群」がヒットしました。私はこれに違いない、と思い込んでいました。

育児本通りの弟、パートナーの無理解

 弟が成長していくにつれ、上の息子に対しての拒絶が強くなっていきました。その拒絶感にパートナーは正直引いていました。「子供なのだからそんなもんじゃない?」、それがパートナーの口癖でした。そして、彼のことを相談すると決まって「あなたの声掛けが少ないから話さないのでは?」「もっと外に出て他のお友達とも遊ばせてあげたら?」と言うだけでした。

 弟が育児書通りに成長していくにつれ、私はまた腑に落ちない感情を覚えました。弟はあやせば笑い、一人では眠れず泣き出し、おむつも気持ち悪いと泣き出し、とっても私に甘えてくるのです。くるくると愛らしく目まぐるしく変化する表情。これらは上の息子のときにはあまり見られず、私は初めて育児をしている感覚でした。

「普通」の子育ての限界

 弟が成長していく過程と彼の成長過程に大きな差ができていることに気づきました。十人十色、などとは片付けられない大きな差です。私は当時、この差をパートナーに言葉でうまく伝えられませんでした。ただ、「療育センターに彼のことを相談してみたい」と結論しか話せないでいました。しかし、パートナーは私の感覚をただ疑うこともできず、「好きなようにやってごらん」と背中を押してくれました。パートナーの中にも言葉では表現できない何かがあったのだと思います。

 育児書通りの子育てを上の息子にすると何もうまくいかないのです。そして、育児書に書いてあることが全く当てはまらないのです。ネットで彼に当てはまる育て方はないのかと検索している時に「発達障害」の記事を読み、しっくり来たのを覚えています。点のようにぽつぽつとあった違和感が繋がった瞬間でした。

私の中にあった違和感と自己嫌悪からの解放

 療育センターを活用していく前にセンターについての説明会を受けました。そこで、発達障害は育て方の問題でなる後天的なものではないと知り、心が軽くなりました。私の中に自責の念(自己嫌悪)があったからです。

 療育センターの診察を終え、彼の成長が実年齢よりも2歳ほど遅れていることが分かりました。ここでようやく私が拒絶していたものの正体が分かりました。体と心がアンバランスな彼の行動を健常児と見てきて受容できていなかったのです。発達障害を抱えていると分かった今でもまだ受容できない部分はありますが、拒絶はなくなりました。

 「自閉症スペクトラム」と分かり、彼のペース、私たちのペースで共同生活ができるように日々取り組むことを始めることができました。

[参考記事]
「発達障害とはどんな障害?昔はこんな子、普通にいたよね」

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