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感覚過敏の娘(発達障害)がトイレに行けるようになるまで

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 この記事は発達障害(高機能自閉症)のお子さんを育てている女性に書いていただきました。

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 娘は現在小学5年生ですが、一人では未だに決まったトイレにしか行くことができません。トイレの雰囲気、水の量、音、自動で便座が開閉したり流れたり…娘にとって、慣れていないトイレは怖くて仕方ない場所なのです。これは発達障害による感覚過敏も原因の一つです。トイレの水が流れる音が怖くてできないという発達障害のお子さんは少なからずいます。

決まったトイレしか行けず

 娘は早生まれなので、幼稚園に上がる2か月くらい前にようやっとオムツが取れました。オムツが取れた後、娘は一度もおねしょをしたことがなく、夜中でもちゃんとトイレへ行くことができました。しかし、自宅の1階のトイレと幼稚園のトイレしか使うことができず、お出かけするのがとても大変でした。どうしてもトイレへ入ることができず、「ママがついてるから大丈夫だよ」と声をかけても全くダメでした。

 ある時、私は人を待たせていた為に焦ってしまい、無理矢理、外出先のトイレの個室へ入れようとして娘がパニックになって暴れてしまったことがありました。どんなに嫌がっても、トイレに座ってしまえばできるだろう、と思ってそうしてしまったのですが、泣き叫んで逃げてしまいました。私は『余計に怖い思いをさせてしまった…』と、心から反省しました。その時はまだ、娘がトイレを怖がるのがここまで本気だとは思っていなかったのかもしれません。結局この時は、どうしようもなく、人のいない外でさせました。

お出掛けする時は、携帯トイレとペットシーツ

 娘がよそのトイレに入れなくても、どうしても出かけなければならないことも多いですし、どうしたら良いか真剣に考えました。娘は、私がいればトイレの個室に入ることはできる。でもトイレの便座に座ることはできない。そこで思いついたのは携帯トイレです。袋になっていて、液体が入るとジェル状に固まるしくみです。早速、携帯トイレを買い、娘に見せて説明したら、このトイレなら大丈夫、と言ってくれました。なので、お出かけの時に、携帯トイレ2つ入りを2個とペット用のトイレシート(ワイドサイズ)とゴミ袋を持っていきました。

 そしていざトイレ、という時、娘はニコニコしながらトイレへ行くことができたのです。トイレの個室に入り、トイレシートを敷いた上で私が携帯トイレを持ってさせてみました。娘は怖がることなく、上手にできました!それからは、よそのトイレに座れるようになる小学2年生の夏まで、携帯トイレとペットシートをいつも携帯してお出掛けしていました

小学1年生になり、学校のトイレにも行けず

 お出掛けの時には、必ず私が一緒にいて携帯トイレとペットシートでトイレができましたが、小学生になってしばらくは小学校のトイレに入れず大変でした。私が様子を見に学校へ通ったり、上の娘(当時5年生)が休み時間の度に妹の教室へ行ってトイレに誘ってくれましたが、全くダメでした。

 幼稚園のトイレより大きな『よそのトイレ』ですし、音も怖いようでした。娘は結局学校でトイレに行くことができず、下校中に漏らしてしまって、通りかかった方が私に電話で知らせてくれたこともありました。1年生の足で40分くらいかかる登下校の道なので、心配で途中まで迎えに行くことも多かったのですが、やはり漏らしてしまって泣いていたこともありました。これでは可哀相なので、小学校から自宅までの間にある幼稚園へ行き、園長先生に事情を説明して、娘が学校のトイレへ行けるようになるまでの間、帰りに幼稚園のトイレを貸していただけるようにお願いしました。園長先生は「どうぞどうぞ、いつでも寄って、使ってね。」と言ってくださいました。娘はその後、何度も幼稚園のトイレを借りました。卒園児である娘を、温かく受け入れてくださった幼稚園の先生に、心から感謝しています。

 そんな娘も、毎日学校のトイレを覗いて見て、お友達が水を流す音を聞いているうちに、だんだん慣れてきたのか、自分で学校のトイレに入れるようになりました。初めてトイレに入れた日に担任の先生が「〇〇ちゃん、トイレに入れました!!!」と知らせてくださった時は、本当に嬉しいのと同時に安心しました。

小学2年生の夏、SAのトイレに座れました!

 小学2年生の夏、いつものように携帯トイレとペットシーツを持ってお出掛けしました。行き先は県外。高速道路でお出掛けしました。その道中に寄ったSAで、「トイレに座ってみる?」と聞いてみましたが、もちろん「いや。」という返事。でも諦めず、「ママもいるし、ここのトイレはきれいだし、センサーのとこはママが手で隠しててあげるし、お水は〇〇ちゃんがトイレから出てから流してあげるから。」と言ってみましたが、やはり「いや。」という返事。そこで「じゃあ、おトイレに座れたら、ここに売ってるものの中で何か一つご褒美買ってあげる。」というと「扇子でもいい?」という返事。SA内に扇子の専門店が入っていて、きれいな和柄の扇子に一目ぼれしたようなのです。「扇子?いいよ!ちゃんとトイレに座れたら、ご褒美に買ってあげる!」と言うと、娘は少々張り切った様子でトイレに向かいました。

 しかし、トイレに着くとやっぱり怖いらしく、耳を塞ぎながら後ずさりしてしまいます。それでも、私とお姉ちゃんと3人で個室に入り、「大丈夫だよ。ママが抱っこしててあげるから。大丈夫。」「最初は深く座らなくていいよ。ちょこっとお尻をおトイレにつけてみる?」等と言いながら、娘の肩を抱っこして「大丈夫。大丈夫。」を繰り返しました。娘は、トイレに少し座ってみては立ち上がり、また座ってみては立ち上がり…を繰り返し、私は娘の肩を抱っこしながら、水が自動で流れないようにセンサーを手で覆い、娘がトイレに座るのを見守りました。そして娘は、ちゃんとできたのです!あの時の娘の誇らしげな笑顔、ピース…可愛かった!一生忘れません。

現在、小学5年生。未だに一人で入れるトイレは少ないです。

 娘は小学5年生になりましたが、今でもよそのトイレにはなかなか一人で入ることができません。それでも一人で入れるトイレが少し増えました。学校の3階のトイレの1ヶ所、よく行くスーパーのトイレ1ヶ所、ミュージカルを習っているホールのトイレ1ヶ所。この3か所です。

 学校のトイレは、1年生の時は1階のトイレ、2年・3年の時は2階のトイレを使っていましたが、今は1階と2階のトイレには行けなくなってしまい、自分の教室がある3階のトイレの1ヶ所だけしか入ることができません。学校もスーパーもホールもトイレがたくさんありますが、娘が『ここ』と決めた1ヶ所しか入れません。その、それぞれたった1ヶ所のトイレが、娘にとって安全地帯なのだと思います。同じ形でも、同じ明るさでも、隣の個室には入ることができません。

 この3か所のトイレ以外は、自宅の2階のトイレも含めて、一人では入ることができません。今でも私が一緒に入り、肩を抱っこして安心させてあげないとできません。水も自分では流せないので、娘の準備が整い、耳を塞いで娘が「いいよ。」と言ったら、「じゃあ、流すね。」と言って私が流しています。

 そんな状態ですが、もうじき学校の宿泊訓練があります。1泊2日ですから、当然トイレにも行きます。4年生の担任の先生からは「お母さんが付いていてあげてもいいですし、もし夜不安がるようでしたら、夜だけおうちに連れて帰ってあげてもいいですよ。」と言ってくださっていました。娘もずっと「ママと離れたくない」と言っていました。しかし、5年生になってから娘は「宿泊訓練、行く。お泊りする。」と言い始めたのです。「トイレはどうするの?」と聞くと、「ママがいると思って頑張る。ママが抱っこしてくれてると思って頑張る。」と言うのです。

 私は普段、初めてのトイレで娘がどれだけ怯えるか見ています。よそのトイレを娘がどれほど怖がるか、知っています。なので、とても心配です。怖い思いをさせたくない。無理してトラウマになったらどうしよう。怖くてできなくて、先生にも言えずに失敗してしまったらどうしようとても心配になり、悩みました。でも、宿泊訓練当日になっても娘が「頑張る」と言うなら、私は家で娘を応援しよう、と決めました。もちろん娘が助けを求めてきたら助けに行きます。でも、娘が一人で頑張れたら…それは、娘にとって、とても大きな自信になり、明るい明るい『明かり』になると思うのです。

 娘の宿泊訓練まであと約3週間。事前に宿泊先へ娘を連れて行き、「こんな所だよ」って見せてあげようと思います。宿泊訓練をおこなう場所が娘にとって『安全地帯』になるように、前もって見せてあげようと思います。宿泊訓練が、娘にとって良い経験、良い思い出になることを、心から願っています。

 皆さんの周りでトイレに行けないお子さんがいる場合、それは発達障害などの理由でそうなっているのであって、甘やかされてなったわけではないことを分かってあげてほしいです。

[参考記事]
「発達障害のこだわりの強さに対するスクールカウンセラーの助言」

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