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発達障害の二次障害と気づかず精神を病む息子

 

この記事は50代の男性に書いていただきました。息子さんは発達障害による二次障害で精神を病んでしまい、精神科に行くまでになりました。

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 私の息子は既に成人をしていますが、発達障害のうちアスペルガー症候群と診断を受けています。診断は大学生になってから受けました。はっきり分かるアスペルガー症候群から、健常者とほとんど変わらないアスペルガー症候群がありますが、息子は後者です。後者の場合は「何らかの出来事」がないと気付かないことがあります。親である私も息子が発達障害だとは分かりませんでした。

 今回は息子の過去を振り返って、どのように診断を受けるまでに至ったのかを見ていきたいと思います。

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生後から高校入学まで

 息子は生まれた時から元気いっぱい、何でも力いっぱいやらねば気がすまない子で、同じ遊びを延々と続ける根気のある子にも見えました。泣き声も大きい、階段はすごい勢いで上る、大声で歌う。正義感がやたらと強く、曲がったことは許さない。太った子供を見て「すごいおデブさんだね」とか相手に聞こえるように声に出してしまう変な正直さ。同じマンションに同い年の友達がいて、いつもその子たちと遊んでいました。

 子供としては可愛いし、「何にでも全力を尽くす」という親である私の好きなタイプの人間だったので、頼もしく思い、将来を大いに期待していました。

高校2年生で不登校に

 友達は多くないのですが、気に入った子としっかり、べったり付き合う子でした。極めて真面目なので成績は良く、高校は地域2番の進学校に入学しました。1年生のある日、そんな親友とけんかをしたようです。「ようです」というのは当時、私は東京に単身赴任していて妻から聞いたことだからです。そんなことは学校に通っていれば当たり前にあることなので、聞き流していました。

 相手の子が急に意地悪をするようになった、というのです。今考えてみると、変な正直さゆえに親友を怒らせた可能性がありますが、本人にも「なぜ相手が怒ったのか」が分からなかったと思います。ただ結果として「同じクラスになりたくない」という強い気持ちで特別進学クラスを目指して勉強にいっそう力が入りました。

 そして2年次は無事に特別進学クラスへ。すると、いよいよ猛勉強するようになり、学年上位をキープし続けて夏休み前にはついに学年2位になってしまいました。そこから我が家の「地獄」が始まりました。「時計がうるさい」「肩がそわそわする」「目が見えない」「トイレが近い」「あごが鳴る」など、体調不良がいっぺんに襲ってきたのです。心療内科に行って「神経症」と判断されて、「薬を出しときますが、まずは有意義なことをしなさい」と言われて病院から帰ってきました。何とか夏休みに逃げ込みましたが宿題も手に付かず、夏休み明けからもその体調不良、精神の不安定は続きました。今から考えるとこれが発達障害による二次障害の始まりでした。

 成績はガタ落ちで、次第に学校にいることが恥ずかしくなっていったようです。それが精神の不安定に拍車を掛けてますます悪くなり、家では部屋に閉じこもり、出てきては暴れて扇風機をけったり壁を殴ったりして壊しました。冬休みに逃げ込んだものの短期間で改善するわけもなく、春休みまでもたずに学校へ行けなくなりました。ちなみにそこまで皆勤賞で、それを目標にがんばれたようです。

大学入学後にセカンドオピニオン

 引きこもりになってからも家族全員でやれることはやりましたが、結局は学校を去ることになりました。「退学」は履歴書を汚すので「転学」になるように手を尽くしました。その後、高卒認定を足がかりに通信生高校を半年で卒業しました。大学受験は予備校で不得意だった現代国語の授業だけを受けてあとは自宅で独学、センター試験を使って地元の伝統校の2次試験にすべり込み合格できました。

 しかし、合格後の春休みにかけて昼夜が入れ代わってしまい、睡眠障害からかテレビで見た怖い場面などがフラッシュバックするようになり、以前にかかった心療内科へ。そこで「統合失調症」の診断とともに「エビリファイ」を投薬され、手足が硬直する危険な目(副作用)に合わされました。その医師が「妄想をたたく」と言って処方をなかなか変えてはくれませんでした。恐ろしくなっていろいろ調べて抗議してやっと「リスパダール」に処方変更。

 やがて入学式を迎えますが、その後も副作用が収まらず。片道2時間以上の通学もあり、最後まで講義を受けられずに保健室へ駆け込むことが多くなり、大学の勧めで半年の休学をせざるを得なくなりました。

インターネットの医師

 いくらなんでも手足が硬直してしまうのはおかしいし、日常生活をまともに送れないような処方はおかしくないでしょうか。さらに、医師は「大学には行かない方が良い」など無茶苦茶言う人だったのです。無責任さに腹が立って医者を変えたくて、「診断に誤り(誤診)がないか」を毎日狂ったようにインターネットで検索して調べました。

 半年ほどたった休学明け、大学に復学した頃ですが、偶然にも「精神科セカンドオピニオン」という有名なサイトにたどり着きました。症状を投稿して聞いてみると「間違いなくアスペルガー症候群の二次障害」「トンデモ医者にかかった。完全に誤診です」とご指摘のうえ、お電話までいただきました。当時のこの地域に10人もいない「発達障害のわかる医師」をインターネットで探すとそのうちの1人が隣の市にいることが分かり、事情を話して検査を受けてみました。診断は「アスペルガー症候群がベースにある。」ということでした。

診断について

 「優等生が突然おかしくなる」という話を聞きます。アスペルガー症候群の特徴として、息子のように極めて真面目な子は、並外れた集中力を持っていて成績も優秀であったりします。小中学校までは尊敬もされていていじめにも遭わないし、単純な人間関係の中でトラブルも少ないものです。また、気に入った特定の友達としか遊ばないので対人トラブルもほとんどありません。

 ところが、高校になるとそうはいかず、わずかな対人トラブルで思いもかけない方向へ突き進んで行き、ついに精神を病んで精神病院へ行くという経緯を息子はたどることになりました。小児内科へ行けば「発達障害」の分かる医師にめぐり合えるのですが、心療内科に行くと精神疾患という面から過剰な診断(誤診)・治療が行われ、副作用を被る可能性がありますので注意が必要です。もう少し早く息子の発達障害と二次障害に気づいていればと後悔ばかりですが、これからも息子が不安定になりそうな時には支えていきたいと思います。

[参考記事]
「アスペルガー症候群の夫と結婚して分かった発達障害の特徴」

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