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発達障害児の進路選択は小学校から始まる。高校進学に影響する訳とは?

この記事は30代の女性に書いていただきました。

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 私には自閉症スペクトラムの息子がおります。息子は他人とコミュニケーションをとることが苦手で、自分から話しかけることができない性格です。困ったことがあると、誰かが助けてくれるまでひたすら格闘する子どもでした。また、耳から入る情報に弱く、先生の指示を聞いて理解して行動することが非常に苦手です。

 ですが得意な分野もあります。電車が好きな息子は、図鑑やDVDを見て電車の名前をたくさん覚えたり、道路標識を5歳でマスターしたりと、視覚から得られる情報の記憶力は小学生レベルでした。

 そんな息子が小学校進学を控えた年長さんの時期に私が経験した「息子の人生最初の進路選択」についてお話いたします。息子の進学を通して、健常児とは少し違う、発達障害児ならではの進路があることがわかってきました。

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発達障害児の小学校選択

 小学校といえば、多くの子どもが幼稚園、保育園を卒園すれば地域の決められた小学校へ入学します。健常児の保護者は、受験でもしない限り、小学校は決められたところへ行くと思っているので、学校を選択するという発想はありません。

 進路選択といえば高校受験が初めての選択になるでしょう。ですが、発達障害児は違います。人生を左右する最初の選択が、こんな小さい時期にきてしまうのです。しかもその選択は高校受験にまで影響するのです。

公立小学校と養護学校小学部

 まずは健常児と同じ、地域の公立小学校に通わせるか、障害を持った人が通う養護学校に通うのか、という選択をしなければなりません。

 公立小学校は、健常児と同じようなカリキュラムで勉強したり、行事に参加したりします。軽度の発達障害の場合、多くのお子さんが公立小学校の特別支援学級を選択されると思います。

 特別支援学級は、少人数制で先生の目も行き届きやすく、大勢の中で学ぶのが困難な子どもにとっては最高の環境だといえます。それに、健常児との関りも発達障害児にとっては非常に大事なことだと私は考えます。社会に出れば周りはほとんど健常者です。その中で生きていくために必要なスキル、例えば、人に助けを求める方法や周りに合わせて行動する方法など、障害者同士では経験できないことを学ぶこともできます。

 一方養護学校は、障害者が社会に出て生活できるように、体験活動が多いカリキュラムとなっています。私の地域の養護学校では、国語や算数の勉強よりは、農業体験、作業訓練が多く組み込まれています。将来、就労支援センターなどで働くために、時間を守る、言われた作業を最後までやる、といったことができるようになることを目標としているようです。

 養護学校小学部を選択した場合、そのまま中学部、高等部へと進学することになるでしょう。養護学校では座学よりも作業訓練の方が重視されますので、公立学校の学習スピードよりかなり遅れをとります。ですので、養護学校小学部を選択した時点で公立高校の受験はできなくなります。

知的学級と自閉情緒学級の違い

 ここからは公立小学校へ入学した場合についてお話いたします。

 公立小学校の場合、選択肢は3つあります。1つ目は普通学級、2つ目は特別支援学級の知的学級、3つ目は特別支援学級の自閉情緒学級です。他にも弱視学級や、肢体不自由学級など様々ございますが、今回は私の子どもが通う学校を例にご紹介させていただきます。普通学級は説明不要だと思いますので、特別支援学級の2つの違いをご説明いたします。

 知的学級は、学習障害のある子どもや、通常の学習スピードについていけない子どもが通っています。お子さん一人ひとりに合わせた学習スピードで授業がすすめられます。例えば、普通学級1年生で時計の読み方を3時間しかやらないのに対し、知的学級では子供が理解するまで時計の勉強をします。

 他の科目も同様です。子どもが理解するまで同じ課題をやり続けるので、当然普通学級よりも学習スピードは遅れます。それによって、公立高校の受験の時期までにすべてのカリキュラムを終わらせることが難しくなってしまうのです。そうなると、公立高校普通科への受験は断念せざるを得ません。ですが、公立高校にも養護学科がある高校なら受験することができますし、養護学校高等部の受験も可能です。

 自閉情緒学級は、学力には問題がないが、落ち着きがなく、授業中座っていられない子どもや、大勢の中では緊張してしまうような子どもが通っています。私の息子もこの学級に通っています。学習スピードは普通学級と同じように進められ、時間割も同じです。

 少人数制で先生が近くにいるので、個別に支持を出してもらえたり、パニックになってしまった時の為にクールダウンする場所も用意されていたりします。学習スピードが普通学級と同じなので、この学級に通っている子どもは公立高校を受験することができます。ですので、高校からは健常児と同じ環境で学習しなければならないということです。学力はあるとみなされているので、養護学校の受験は基本的にできません。

保育園の先生とよく話し合って・・・

 子どもの進路を決めるのは保護者だけではありません。私の地域の場合、就学審査委員会というものがあり、保育園の先生、療育の先生、教育委員会の方が、子どもの発達診断の結果と普段の様子を交えながら子どもに合った進路を導き出してくださいます。

 ただ、そこで出た結論は必ずしも従わなければならないわけではありません。最終的には保護者の意見が通ります。知的学級がよいのではと言われたけど、高校受験ができないのは困る、と、とりあえず1年生の間は普通学級で様子を見るという親御さんもいます。養護学校が向いていると言われても、地域の子どもとの繋がりを大切にしたいという方もいます。

 決めるのは私たち保護者です。ですが、子どもが毎日元気に通ってくれることが一番です。お子さんの発達状況に合った進学先を導いてあげてください。

[参考記事]
「発達障害の娘を特別支援学級に入れるべきか考える日々」

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