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特別支援学校中学部での支援方法と思春期への対応

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この記事は特別支援学校で教員をしていた方に書いていただきました。

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 私は小学部、中学部、高等部を併設する特別支援学校で教員をしていましたが、今回は主に中学部の生徒への支援方法についてお話いたします。地域や学校の規模によっても違いはありますが一般的な概要についてご紹介します。

中学部は「広げる」段階

 小学部は身の回りの色々なことに少しずつ触れていく段階であるのに対して、中学部は知識や経験を「広げる」段階であると言えます。例えば、小学部では身近な先生や友達との交流の中で仲間がいる安心感や遊びのルールの基本を身に付けていきますが、中学部では校外の商店や施設に出掛けるなどして少し視野を広げていきます。

 こうした学習の中で、集団行動に課題のある生徒は前の人を意識して一列に並んで歩くこと、相手に合わせた態度を取るのに課題のある生徒は施設の方に適切な言葉遣いで質問をする係、文字を飛ばして読む傾向のある子は見学のお礼の手紙をゆっくり丁寧に読むことなどの役割をそれぞれに与えていきます。

 学習の様子を写真や映像で記録するようにし、事後学習で子どもにフィードバックします。これは一例ですが、こうした実践的な経験で幅を広げていく支援をしていくのが中学部です。そして、高等部ではそれまでに身に付けてきたことを繰り返す中でより深く定着させていくのです。

中学部はボトムアップ指導からトップダウン指導への過渡期

 特別支援学校の先生は、子どもの年齢に応じて指導の仕方にも変化を加えていきます。小学部段階においては、基本的な知識や技能を身に付けていく学習がベースになります。個々に応じたスモールステップで小さな成功体験を積み重ねていきます。これを「ボトムアップ」と呼びます。

 一方で、高等部段階においては社会から求められる能力を意識して実践的な力を高めていく指導の割合が多くなっていきます。これを「トップダウン」と言います。中学部はその2つのアプローチの中間にある過渡期です。

 時間的な見通しを持つのに有効だと言われるスケジュール提示を例に取って説明します。小学部段階では、一日の流れを理解するのに、写真やイラストで分かりやすく学習の日課が示された個別のスケジュール表を使用することが多いと思います。これはボトムアップ指導です。

 最終的にはクラスに貼ってある時間割を確認して自主的に動けるようにしたいと考えているとします。これはトップダウンの考え方です。

 そのためには、中学部段階では写真やイラストでの提示でなく、文字で書かれた個別のスケジュール表を読んで見通しを持てるようにする練習が必要であることが分かります。もちろん発達の凸凹がありますから、場面に応じて中学生相応の課題を与えることもあれば、学習の分野によってはもう少し時間を掛けて小さな学習の積み重ねをより重視する場面もあります。こういう個別性も重視し、支援をしていきます。

思春期への対応

 二次性徴(生殖が可能な思春期)と共に身体と心に変化の現れるのが中学部段階の生徒の特徴です。誰しもそうですが、この時期は何かと自分でも説明できないモヤモヤした気持ちを抱えてしまうものです。

 上手に表現できないフラストレーションからパニックを起こしてしまう子も中にはいます。このような時は、同性の教員が共感的に気持ちを理解し、対処の仕方を学んでいきます。男子生徒であれば女性に近づきたい、触れたい気持ちが芽生えることでしょう。しかし気持ちの赴くままジロジロと女性に視線を向けていたのでは適切な人間関係が築けませんので、自然な距離感(パーソナルスペース)を具体的に提示します。女子生徒には生理時のイライラ感がある時の気持ちの落ち着け方や周囲の人への伝え方などを、女性教員が一緒に考えていきます。

最後に

 特別支援学校で個別の教育支援計画を作成するに当たって、親や本人の希望を聞かれますが、将来どんな大人になってほしいか、どんな生活が送れていたら幸せかを心に描いて学校生活をスタートしてください。特別支援学校の職員はお子さん、保護者と同じチームの仲間です。子どもたちの貴重な10代を一緒に支えて行きましょう。

[参考記事]
「学習障害の息子は特別支援学級のサポートで成長が加速」

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