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発達障害者が障害者雇用での就職に成功するための工夫

この記事は30代の女性に、「発達障害者が障害者雇用で成功するためにはどうしたらいいのか」について書いていただきました。

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 発達障害の診断は受けたけど、これからどうしようかな~と悩んでいる方はおられませんか?とりあえず、今の会社で頑張る?家族に養ってもらう?専門学校に通って資格を取る?障害者雇用にトライしてみる?選択肢は人の数だけありますね~。私は、診断を受けたあと、思い切って会社を辞め、障害者雇用枠で就職することにしました。その時のてんやわんやのお話をします。

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就職は決まったけど

 その会社は、誰でも知っている一部上場企業。最初は派遣社員扱いで、年に一度の試験に合格すれば正社員になるチャンスがあるとのことでした。応募したいけど、手帳が精神だと難しいかな・・。心配しましたが、面接のオファーが来ました。

 さすがは大企業。大きな自社ビルのきれいな応接室。立派なスーツを着た、年配の男性が数人。面接では「何ができるの?」と聞かれました。少し違和感がありましたが、今までの職歴を答えました(それまでは地元の会社で一般事務をしていました)。さらにまた、「他には何ができるの?」と尋ねられました。気になったので「お仕事はどのような感じですか」と聞き返してみました。すると、一番奥の男性が答えました。「まだ決まってないんだよ」。この時点で止めておくべきだったと思います。でも、結果は採用でした。

 配属された部署には、若い男女が数人。こちらを見てひそひそひそ。その中では年配の男性がやってきて、入社の説明を受けました。「最初は様子を見るから」と言われました。さらに「体調が悪くなったらいけないから、朝は少し遅刻してもいいよ。重いものはもたなくていいよ」。障害者=知的能力が低くて、体が弱いという、勝手な思い込み。私は気持ちを切り替えて、「まあ、仕事しているうちにお互いに慣れると思うし」と無理やりテンションを上げていきました。

 しかし、その日は一日座っているだけでした。次の日も座っているだけでした。歓迎ランチ会がありました。気は遣ってくれているみたいだし、少し様子を見よう。その次の日も、次の日も仕事は無かった。やっと、「ちょっとこれ、手伝って」と言われましたが、コピーを数枚取っただけでした。

 似たような状況が続きさすがにおかしいと思い、求人をいただいた人材会社に連絡しました。担当者がすぐに対応してくれました。人事部から返ってきた返事は「すみません。現場の責任者に注意しておきます」と言われましたが、改善は全くなされず、何度か同じやり取りを繰り返しました。現場に人事の人が様子を見に来ることはありませんでした。人材会社ではらちがあかないと思い、障害者支援センターに連絡を取りました。担当者が会社と話をしてくれることになりました。が、やはり状況は変わりません。

 一日8時間、何もせずに黙って座っている・・この苦痛は経験した人でないと想像がつかないと思います。状況を変えようともしました。隣の女性に「何かお手伝いできること、ありませんか?」と。「ありがと~、別に何もないよ~(愛想笑い)」という返事。リーダーは私が挨拶しても無視。私以外の従業員とは仕事に関係のない話で盛り上がっています。後にほんの偶然から、このリーダーが陰で私のことを「キチガイ」と呼んで嫌がっていたことを知りました。障害者雇用はどこの部署も嫌がった、だから人事部が最終的にこの部署に私を押し付けたそうです。

 眠れなくなり、食べられなくなり、3か月後、通勤中に過呼吸を起こしました。限界でした。これが、私の障害者雇用の失敗談です。ここまで読んで下さった方、障害者雇用はやめておこう・・と思われたかもしれませんね。でも大丈夫。このお話はちゃんとハッピーエンドで終わります。

発達障害者が就職に成功するための工夫

 一番の過ち、それは「私は発達障害者。だから障害者雇用での就職ならきっと成功する」と思い込んでしまったこと。でも、自分が居心地の良い場所に行くためには自分が努力しないといけないんだ。人間不信に陥りそうになりながら、私は気づきました。「発達障害者だから特別な枠で雇ってもらうのではなく、自分で自分のいるべき場所を見極めて選ばなければ。私、仕事なら何でもいいって思ってたなあ・・」。

 自己分析をして、自分が今まで得意だったこと、苦手だったこと、したいこと、したくないこと・・をノート一冊分書き出しました。それは今度は「したい仕事」をアピールしようと思ったからです。

 私たち当事者が期待するほど、企業の人は障害者に興味を示さない。なら、自分で説明するしかない。発達障害を改めて勉強し、分かりやすい資料を集め、履歴書に添付することにしました。発達障害とはどんな障害か、発達障害者の苦手なこと、そして得意なことも、書き連ねました

また、面接の際は
①仕事はどんなものであるか

②現場の担当者はこの面接に参加しているか
③面接官自身は障害者雇用についてどう考えているか
④この会社には他に障害者の人がいるか。どんな仕事をしているか
を必ず確認することにしました。
 数件面接を受けましたが、いくつかは面接の途中でお断りしました。「まだ、仕事の内容は決まっていないんだよね」という回答があったり、障害者雇用は法律で決まっているから的な態度が見えたからです。これではまた同じ轍を踏むのは確実です。

 しかし、私がいいかもと思っている一つの会社からはその日のうちに採用を頂きました。採用が決まった時点で、障害者支援センターに介入してもらいました。初日から普通に仕事があり、トラブルなく勤めて今に至ります。あの失敗の時に「次にきちんとした会社に勤められたら一生懸命働く」と心に固く誓っていたので、仕事関係の勉強は欠かしません。

これから就職へ踏み出すあなたへ

 障害者雇用といってもすぐにうまく回るわけではありません。色々な会社があるので、私のように失敗することもあると思います。その時はどうか、専門家や経験者の知恵を借りてみて下さい。合わなければ転職もありだと思います。よい職場や仕事に出会うには少し時間もかかると思いますが・・健闘をお祈りしています。

[参考記事]
「発達障害者で障害者雇用を考えているあなたに現実を教えます」

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