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発達障害児とのコミュニケーションは書字で

 

この記事は発達障害のお子さんを育てている30代の女性に書いていただきました。

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☆周囲に理解されない子供の心境☆

 発達障害を抱える子供の多くは、コミュニケーション能力に大きな困難を抱えています。定型発達の子供に比べ、何らかの事情で発語が遅くなり、周囲に自分を理解してもらえず、対する大人や同級生もどう本人に接していいのかがわからず困惑。

 皆が当たり前にできることが自分にはできなくて、困っていることさえ伝えられない子供の心境はどんなものでしょうか?私は発達障害児の親ですが、恥ずかしながらかなり長い時間、そのことを考えてやれずに過ごしてきてしまいました。

☆これまでの発語への取り組み☆

 私の子供は、二歳半で発達障害の中の自閉症の診断を受けました。当時は発語はおろか、泣く時以外にほとんど声を発することもなく、親でさえも子供が何を考えているのか全くわからない状況が続いていました。

 保健所を通じての相談や療育だけでは、発語に繋がる兆しが見えず、発語に関する療育を夜な夜なネットで調べては該当施設に連絡を取り、可能な限りのサービスを受けようとしました。その頃主に通っていたのは運動療育、ABA(行動療法)でしたが、子供のコミュニケーション能力の向上にはこれという手応えを感じられませんでした。そうこうしている内に時間が過ぎましたが、その後、個人でセラピーを行なっている「言語聴覚士」と「療育士」に出会いました。

☆二つのセラピーで分かったこと☆

 初めて「言語聴覚士のセラピー」を受けた際、
「顎の筋肉がガチガチに固まっています。これでは口を開けること自体がすごく負担です。」と言われてしまいました。今まで子供と常に一緒にいてもそんなことには気付かなかったし、発語がないのは脳が未発達であることだけが原因ではないと知って、とても驚きました。

 また、その際に「しゃべれないからといって、書けないとは限りません。実際ここに通っているお子さんから、たくさんの手紙をいただいていますよ。」と、ボードに貼られた生徒さんたちからの手紙を見せて下さいました。発語の次に書字、という思い込みがあった(ということにもそれまで気付かなかった)自分とっては、目からウロコでした。その後、市販のひらがなカードを使って子供と字を書く練習を始めました。

☆自分だけでは無理でも手を添えれば書ける☆

 ところが、子供にはあまりよい感触が見られませんでした。ある程度の回数練習させても、自分で書くことが全くできないのです。字もダメなのか…と思っていた頃に、「個人療育士のセラピー」を受けることになりました。

 数回目のセラピーで書字について相談したところ、療育士から「お子さんの手を通じて、意志を感じてみて下さい。練習をしたことがあるのなら、伝わるものがあるかもしれませんよ。」と言われました。一足飛びに自分で書くことを期待せずに、手をサポートしながら本人の意志を汲み取って、ということでした。

 その場で鉛筆を持たせた子供の手を取り、意識を集中すると「この手は右に行こうとしている。」とはっきりと伝わると同時に、鉛筆が軽く右に動きました。何回か同じ工程を繰り返すと、確かにひらがなが書けたのです!「この子には、はっきりとした意志がある!」この瞬間の感動は、今でもはっきりと覚えています。

☆間も無くして意思疎通が可能に☆

 その後は、こちらが手を添えて鉛筆を取ることにより、ほどなく簡単な意思疎通ができるようになりました。それまで全くと言っていい程分からなかったですが、子供が考えていることが分かるようになり、日々の生活が格段に楽になりましたし、実際、子供の表情も豊かになりました。

 ただし、自分の動作をコントロールすることは私が思っている以上に難しいらしく、書字を初めて三年以上経ちますが未だに自分の力だけで文字を書くことができません。ですが、こちらのサポートは徐々に減っても大丈夫になってきています。

☆発語自体に固執する必要はない☆

 生活が随分落ち着いた今になって、私が発語のみに執着することで、かえって子供のコミュニケーションの手段を遮断していたのでは?執着がなければもっと上手くやれたのでは?という思いが時々込み上げます。親自身が常識に囚われることなく、子供をよく見て、何が必要でどんな取り組みが適しているのかを見極めることの大切さを日々痛感しているのです。

 そもそもコミュニケーションの手段は発語だけとは限りません。今後も文字、手話、絵、写真、カード、サポートできるものには何でもチャレンジして、子供のコミュニケーションの選択肢を広げていきたいです。可能な限り、我が子にオーダーメイドの環境作りをすることで子供のストレスが格段に減り、次に自信に繋がり、積極的なコミュニケーションに挑戦する意欲が生まれるのではないかと感じています。

 同じようにコミュニケーションの困難さを抱える発達障害のお子さんが、周りの人のサポートによって自分の意志を尊重されることを願わずにはいられません。

[参考記事]
「自閉症の息子は行動療法(療育)で大きく成長をしました」

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