この記事は30代後半の女性に書いていただきました。
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幼稚園の頃は一人遊びが好きな子どもでした
私はアラフォーの女性ですが、発達障害(ADHD)と診断されています。思えば、小さい頃からおかしなところばかりでした。赤ん坊~就学前は、親の後追いや親の真似をすることもなく、一人で何かしゃべったり歌ったりしながら走り回っていて落ち着きもない子どもでした。
幼稚園に入園しても、怖くて園の門をくぐれず、一人で門の陰に隠れて先生が見つけてくれるのを待っていたり、他の子と遊ぶことなく一人でスケッチブックに絵を描いていたり、ごっこ遊びも誰かとするのではなく自分で二役こなして自己完結したりと、一人遊びが好きな子どもでした。欲しがるおもちゃも、調合金ロボットやプラレール、日本地図のパズルなど、女の子が欲しがるものではありませんでした。
言葉を覚えるのは他の子たちより明らかに早く、1歳で片言、1歳半で二語文、2歳後半で文字を書き始め、3歳になる頃には一人で絵本を読み、5歳で簡単な漢字も書けていました。
コミュニケーションが苦手
このように、言葉の読み書きは全く問題なかったのですが、とにかくコミュニケーションが苦手でした。普段はよくしゃべるのに、必要なことを自分から発することはできず、父や母から毎日のように「しゃべれるのに何でちゃんと言わないの!」と叱られていました。言葉は話せても、「相手に伝える」ということを思いつかず、いくら叱られても分からなかったのです。
一度言い出したら納得しない限り絶対動かない意固地な面もあり、「大人の言うことを聞かない、素直じゃない」と、親にも先生にも思われていました。今なら発達障害の特性とわかりますが、当時は、発達障害など一般に全く知られていなかった時代です。
知能の遅れがなかったので、変わった子ども扱いされていました。
学生生活は苦労の連続
小学校に入って、周囲とのズレがだんだん目立ち始めました。とにかく不注意で忘れ物が多く、授業中もちゃんと座って授業を聞いていられない、宿題もできない、机の中はぐちゃぐちゃ。それでも低学年のうちは、目立ったイジメはなかったのですが、その後学年が上がっていくうちにだんだん周囲からいじめられるようになってきました。
小学5年生の頃には他クラスの面識ない子たちからも「ばい菌死ね」と罵られたり、集団暴行を受けたりする毎日になりました。中学生になってもいじめは変わらず、「死にたい」と口癖のように言っていました。その後は高校に進学したものの、高校生活に合わず友だちは一人でもできませんでした。相変わらず提出物は出さない、忘れ物は多い、授業は聞かないで、先生方からも嫌われていました。
原因が分からず自殺未遂
その後、社会人になっても社会のルールやマナーが分からず、言ってはいけないことを言ってしまったりし周囲とトラブルを起こすのも一度や二度ではありませんでした。
不注意も相変わらず酷く、仕事はミスの連発、二つのことが同時にできない、メモも取れない等..。結婚しても家事ができない、パートも続かない、で主人との仲も冷え切り、やがて家庭内別居状態へ。
そこで初めて精神科・診療内科の門をくぐるのですが、当時はまだ発達障害とは分かりませんでした。うつ病、境界性パーソナリティ障害、統合失調症、など疑われて色々な薬を出されましたが、どこに行っても何の薬も効かず、その間何度も自殺未遂をし、先生も私も弱りはてる日々。
そんなある日、ネットサーフィンをしていてたまたま見つけたのが、発達障害に関する記述だったのです。その数年後になりますが、発達障害の知識を持つ医師の診断を受けて、発達障害だったと分かりました。初めて診断をされた時、正直なところホッとしました。これまで何をやってもダメだったのは、障害があったからと分かったからです。それまでは自己肯定感が低く、死ぬことしか考えていませんでしたが、診断を受けることにより、初めて自分を受け入れることができ、「生きよう」と思えるようにもなってきたのです。
治療を開始する
治療にはストラテラを使い、二次障害として子どもの頃から重度の睡眠障害が出ていたので睡眠薬も出してもらいながら少しずつ生活リズムを整える練習を始めました(参考記事「発達障害の「二次障害」とは何か。放置すると大変なことに」)。抑うつ状態と不安の強さもあったのですが、根本となる発達障害に対する治療をメインに置いたため、抗うつ薬や抗不安薬は出されませんでした。
今はストラテラ120mgを飲んでいますが、最初は吐き気と血圧の上昇が酷かったです。1年近く飲み続け、今ある副作用は冷えやのぼせです。自分ではっきり分かるのは、集中力が上がって課題に取り組むのが楽になったことですが、今は〆切に追われるフリーランスの立場ですので、集中力UPは助かります。逆に不注意やうっかりミスには、私の場合、あまり効き目は感じていません。もちろん、副作用と集中力が上がることとの天秤でメリットが大きいのか、小さいのかを考えなくてはいけませんので、長期的な健康を考えると薬は止めたほうがいいと思います。