この記事は自閉症の子供を育てている40代の女性に書いていただきました。
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娘が発達障害(自閉症)と診断されて、娘のこれからはもちろんの事、上の子供たちにどう説明したらいいのかと悩みました。いわゆる兄弟児(障害児の兄弟姉妹)と言われる存在です。
4歳で診断されたときに一番上の兄、長男が8歳、2番目の兄、次男が6歳でした。母子参加の療育に通うため、幼稚園の年長組だった次男は時間外の利用が増え、2年生の長男は1人で留守番をさせることもありました。
子供達には
「妹は病気なんだよ。だから病院に行くから協力してね」
と説明していました。
2人とも障害というものを理解するにはまだ早いかなという考えからです。始めは何も思っていなかったような上の子達でしたが、段々私が娘に関わる時間が増えてくると、次男は赤ちゃん返りの様に私から離れなくなり、長男は「何の病気?どこの病院?」と聞いてくるようになりました。
その場はなんとかごまかしましたが、どうも長男のクラスに娘と同じようなタイプのクラスメイトがいるらしく、長男なりに思うことがあったのだと思います。このころから段々と友達を家に連れて来なくなりました。
そのころの娘は幼稚園でもお部屋に入らず、常に園庭を手をヒラヒラしたり、片手をパンチするような仕草で走り回っていました。こんな状態でしたが、先生もお友達もよくしてくれて、娘が出来ない部分をみんなでフォローしてくれたり、かわいがってくれていました。楽しく通っているように思っていた幼稚園でしたが、本人にはストレスになる事も多かったのか家に帰ってきてから荒れることが多くなり、娘につきっきりの日々でした。
娘と生活していくうえで、息子達も段々と娘の事を理解し始め、こういう時はほっといた方が良い、この場合はこうしてあげたら落ち着くなど、もしかしたら私より深く娘の事を理解していたのかもしれません。特に次男は娘にとって安心できる存在で、行きたくない場所やしたくない事でも、次男と一緒なら落ち着いて過ごすことが出来るほどでした。
長男から衝撃的な言葉が
娘が年長組になり就学について考え始めた頃、当時4年生だった長男に「妹は同じ学校に来て欲しくない」と言われました。すごくショックでした。息子に任せるつもりはありませんでしたが、兄達と同じ学校なら娘も安心して通えるかもしれないと思っていたからです。
「妹の事でぼくがバカにされるかもしれないし、もし妹がいじめられていても僕は助けてあげられない」というのが長男のいい分でした。もっともな意見で、息子にそれを言わせてしまった事に申し訳なく思いました。娘が安心して通えるか、娘が楽しく通えるか…。私は娘の視点でしか考えていなかったのです。
発語もなくオムツも外れていなかったので、特別支援学校が妥当だとは思ってはいましたが、この長男の発言で決定的なものになりました。この時に強引に同じ学校に入学させたら、長男と私達親との信頼関係はなくなっていたでしょう。
これから先、娘の事で兄弟児である息子達を悩ませることがたくさんあると思います。妹が障害者であることから結婚時に問題が起こるかもしれませんし、私たち親が死んだ後に妹とどのように関わっていったらいいのかも悩むでしょう。
発達障害児の育児だけでも大変ですが、兄弟児がいる場合はそちらのフォローもしっかりとしていかなければ今後の家族の在り方に影響を及ぼすことになります。小さい頃に妹に対して悪い感情があると、大きくなっても急に変えることはできません。障害者一人で生きていくことは大変で、やはり兄弟からのサポートがこの先何十年も必要になります。そのためにも息子達との時間をもっとしっかり取り、兄弟関係を良くするための努力をしていかなければいけません。
[参考記事]
「発達障害の子ども達の兄弟姉妹関係で気をつけたいこと」