30代の女性に息子さんが発達障害である自閉症と判明するまでの経緯を書いていただきました。
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息子は30週で2000グラム以下の低体重児として産まれました。低体重児なので、大学病院で産まれてそのままNICU(新生児集中治療室)に入院していました。産まれて2ヶ月くらい経過して、GCU(発育支援室)に移り、息子を初めて抱きました。そして、授乳を自分でする事ができるようになった頃が、初めての「どうしてだろう・・。少し変だな」でした。
他の子は、授乳後ママに抱かれてスヤスヤ眠りに付きますが、息子は泣いてばかりで寝ません。どうしてだろう・・私の寝かし方が悪いのかな・・って思ったのが最初の疑問でした。そしてその時に、もう1つ疑問に思った事がありました。立って抱かないと泣くという「こだわり」。同じゆらゆらしても座っているとすぐに泣いてしまうので、私は立って抱いていたのです。どうしてかなぁ・・。そういう子もいるのかなぁ・・。
退院後、不安な気持ちはもっと大きく
そして、3ヶ月を過ぎた頃にやっと退院しました。それから大変な毎日が始まりました。とにかく寝かせるのに時間がかかるし、簡単には寝てくれない、些細な音にも起きてしまうのです。これが後に分かった睡眠障害でした。毎日毎日、泣く息子を抱いて私も泣きながら部屋の中をぐるぐる歩く日々。昼間は外に出られますが、夜中は仕方なく部屋の中をぐるぐる歩きまわっていました。
また、車で移動時にチャイルドシートに乗せますが、走っている時はいいのですが、信号などで車が止まる度に大泣きするのです・・。仕方なく、私は赤信号になると分かった時点で早めにブレーキをかけガッタンガッタンとブレーキをかけながら動き、青に信号が変わるまで続けていました。
そして市の検診の時も思いました。他のママは自分の前に赤ちゃんを寝かせて問診やアンケートを書いているのですが、その時赤ちゃんは手足をバタつかせても、大人しくしています。「息子にはない風景だなぁ・・」そう思いました。常に抱いて動いていないと泣くからです。案の定、私が問診を書いている間、号泣していました。アンケートを書き始めたけど、係の人に書かなくて大丈夫ですよ、と取り上げられてしまうほどの大泣きです。
やっぱりなんかみんなの子と違う気がする・・そう思っていました。私は産んですぐにシングルマザーになってしまったので、一人で悩んでいました。低体重児は発達がゆっくりと聞いていたから、そうなのかな・・って思いながらも発達障害を気にしていました。でも、目もちゃんと合うし、よく笑うし、そんな事ないよね、と自分に言い聞かせながら。
成長するにつれ、その不安はより強く
車のオモチャを手に持たせてみると本来の遊び方ではなく、車のタイヤをひたすら手で回して、回るタイヤを見続けているのです。以前、自閉症の東田直樹さんについてのテレビ番組を見たことがあり、その時「外で走る車の車輪をずっと見ている」といったナレーションを思い出しました。この時です、やはり発達障害ではないかと思ったのは。
歩けるようになってからは、目が見ている方向と逆方向に回る遊びを繰り返しました。それはこんな遊びです。立っている状態で顔は動かさず両目の目玉だけを右に動かします。目玉だけを動かして右側を見るような感じです。それで体は見てる右側とは逆の左に回転するのです。左回転をしているのに、目は右方向を向いていると言う行動です。回転はだいたい1度から10回転ほどします。なんだろう・・不安はどんどん大きくなりました。
そして、息子と二人で出かける事ができません。まず、手を繋いで歩いてくれないのです。思うがまま、目的もなく走って行きます。スーパーに行くと、お菓子コーナーには見向きもせずに、缶詰を見つけては積み上げてるのです。注意される事も多かったです。それを止めると癇癪(かんしゃく)を起して、靴や靴下を脱ぎ捨て投げるし、寝ころがって泣き叫ぶのです。やっぱりなんかおかしい・・どうしよう・・本を買ったり、ネットで調べたりしていました。当てはまってしまうものもあるけど、あてはまらないのもあるし・・自閉症じゃない、発達障害なんかじゃないよね・・そう自分に言い聞かせました。
初めて医師に相談
あまりの手のかかりようはますますエスカレートしました。そして1歳半の検診でも、何も言われることはなかったのですが、私の方から発達障害なんじゃないかと思うのですと医師に初めて告げました。その健診時、先生は、「見た感じはちょっと落ち着きがない、発語もないけど、目も合うし違うと思いますよ。でもお母さんの話しを聞くと確かに不安要素がありますね、一度病院に来てみますか?」との答えでした。
専門家でも、違うって思うなら違うんだ!って一瞬はホッとしたけど・・でも・・。
その後、病院を訪れて何度か検査をして、「発達障害でしょう」との診断が付いてしまいました。