発達障害の特徴の一つとして得意・不得意が極端なことがあげられます。また、感覚統合がうまくいっていないために特定の感覚が過敏すぎたり、逆に鈍感すぎたりするがゆえに不快な思いをしたり、大切な情報が得られないということも少なくありません。
そういったお子さんのために、必要な情報を収集しやすくするためや、不快感を軽減するためのさまざまな道具があります。今回はそんな道具について書きたいと思います。
補助具にはどんなものがあるのか
福祉業界では「障害のハンディキャップを軽減するための道具」を補助具と呼んでいます。一般的には身体障害者や高齢者の日常生活動作を補助するための道具という意味合いで使われてきましたが、ここでは「発達障害の特性によるハンディキャップを軽減するもの」という意味で使います。
発達障害の方が使用する補助具にはこんなものがあります。大きく分けると、「不快感を軽減させる」道具と「必要な情報が得られやすくなる」道具の2つの意味があるようです。
<不快感や刺激を軽減させることを目的とした補助具>
〇イヤーマフ:聴覚刺激に対して過敏な人向けに作られたヘッドフォンのようなもの。お子さんによってはトイレの水を流す音が不快と感じる子もいるようです。次男の同級生にもそのような子がいました。
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〇パーテーション:視覚的な刺激に敏感な人は、周囲を囲うと集中しやすくなります。かなり昔の話ですが、障碍者授産施設(障碍者の職業訓練を行う施設)の実習の際、自閉症のメンバーさんが作業の際にパーテーションを使用しておられました。集中して何かをしたいときに利用できます。
<必要な情報が得られやすくなる補助具>
〇タイムタイマー:「あと、どれぐらいの時間があるか」が視覚的に分かるようにデザインされていたり、気持ちの切り替えができるようにアラームが付いた時計もあります。発達障害の人の中には過集中により思ったより時間が経っていたなど時間の管理が苦手なタイプもいます。
〇ICレコーダー:聴覚からの情報処理が苦手な方にとっては、大事な情報を何度も聞いて確認できるのはとてもありがたいです。これらをひとつの機器で活用できる優れものがあります。それはスマホやタブレット。多くの親御さんたちは使わせるのをためらうものですが、発達障害の苦手をアシストするのにこれほど便利なものはありません。
特にLD(学習障害)の方には読むのが苦手な人のための音声アプリや、書くことが苦手で黒板の板書が極端に遅い人はカメラ機能で黒板を撮影するなど1台でさまざまな使い方ができます。少し前までは学校でのスマホやタブレットの持ち込みが認められなかったのですが、最近は試験の際にも持ち込みOKとする学校も増えてきたようです。ありがたいです。
助成の対象になるのか
身体障害者の方は、それぞれの障害について必要な補助具(「補装具」「日常生活用具」という言い方をしています)については、「障害者自立支援法」第5条第19項に規定されているものなら市町村から費用の一部が助成される制度になっています。ところが残念ながら、発達障害者向けの補助具は助成の対象には入っていません。
今後、法改正を重ねるにつれ、対象になるものも出てくるのかもしれませんが、発達障害者の生きづらさ・困難さがまだまだ認めてもらえていないようで少し悲しくなります。