この記事は発達障害の娘さんを育てている30代の女性に書いていただきました。娘さんはとてもトイレを嫌がって、それは今も続いています。
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現在小4の娘は、2歳の時に自閉症スペクトラム(発達障害)と診断を受けました。友達とのトラブルや癇癪など、様々な悩みがありましたが、その中でも一番苦労したのはトイレです。
発達障害の子はオムツが取れるのが遅いと聞いたことがあり、その原因は「こだわり」だそうです。何かにこだわっているからこそ、便器に座れなかったりするわけです。私の娘も保育園年長になってもオムツの中でしか排泄ができず、トイレの便座は見るだけで、とても嫌がっていました(嫌がる理由は「あること」がきっかけで分かったのですが、この時の様子はこの後に書きます)。
保育園のベテラン保育士さん達も協力してくださり、トイレの便座に座らせる工夫をいろいろと試してみました。トイレに大好きなキャラクターのポスターを貼ったり、ご褒美シールなどで誘いましたが、頑なに拒否をしてなかなか座ろうとしません。もうすぐ小学校に上がるのに、しかも普通学級に通う予定なのに・・・トイレでおしっこできないなんて・・・どうしよう。
私が行った対策
焦った私は、「座れたら何でも買ってあげる作戦」をしました。振り返って考えるとこれが正しい作戦だったかどうかは分かりませんが、この時には必死でした。オムツのままでいいからトイレの便座に座れたら、何でも欲しいものを買ってあげるよ~と私が言うと、娘は任天堂3DSや欲しかったソフト、プリキュアのおもちゃなどを次々と欲しがったので、「今日座れたら3DS、次の日座れたら3DSのソフト、次の日座れたらプリキュアのおもちゃ」・・・と、毎日おもちゃを買いに行きました。
トイレに座ることに抵抗が無くなったら、「今度はトイレに座って、オムツのままでいいからおしっこできたら、好きな物を買ってあげるよ~」と言って、これも克服できました。オムツをしたままトイレでおしっこができるようになると、こっそりオムツの股間部分に穴を空けておき、それを履かせました。オムツの穴を徐々に大きくして、最後には大きく穴の開いたオムツを二人で見て、「こんなオムツ意味ないね。もうバイバイしようね」と言って、オムツ無しでトイレでおしっこができるようになりました。
次はウンチの為の作戦
次はトイレでウンチをする目標を立てました。ウンチはハードルが高いと思ったので、「トイレでウンチができたら旅行に連れて行ってあげる!」と約束をしました。
すると、娘は、「トイレの穴が怖いから、見えないようにして欲しい」と言ったのです。今までトイレに座らなかったのは、トイレの穴が怖かったからだと、その時初めて教えてくれたのです。これが娘の「こだわり」だったのです。どうしたらトイレの穴が見えなくなるだろう・・・と考えた末、まずトイレの便座を上にあげ、そこに新聞紙をひいた後に便座をおろし、そこにウンチをさせることにしました。トイレの穴が見えなくなったら、スムーズにトイレでウンチをするようになりました。これができたのが小1の時でした。
トイレに新聞紙は流せないので、ウンチだけトイレに落として流し、新聞紙は丸めてからビニール袋に入れて、ゴミ箱に捨てました。これが面倒なので無くしたいのですが、未だに(現在小4)新聞紙が無いとウンチができません。今は新聞紙無しでウンチをするのが目標です。
発達障害の子がトイレを嫌いな理由は「流れる音が嫌だから」というのが多いですが、これは聴覚過敏が原因です。私の娘の「トイレの穴が嫌い」はあまり聞いたことがないかもしれません。理由はそれぞれあるということです。
まとめ
何でも買ってあげる、旅行に連れてってあげる、というご褒美のやり方が正しかったのかどうか分かりません。それでも排泄はトイレでするもの、という当たり前の行動がやっとできるようになったのです。
当時 私の周りでは、トイレを嫌がる子がいなかったので、誰からもアドバイスがもらえませんでした。相談に行っていた療育センターでも「そのうち出来るようになるよ」と言われるだけで、具体的なアドバイスはもらえず、評判の良い小児科を何件も通いましたが、どこも同じで、何の手立ても無く、当時はかなり悩みました。
それでも苦し紛れの対策でしたが娘は、ゆっくりと成長することができました。薄紙を剥がすようなゆっくりで地道で根気がいる子育てですが、子どもは発達障害でも着実に成長します。これからも諦めないで、工夫しながら子育てしていきたいです。
[参考記事]
「自閉症の息子のトイレトレーニングで行った対策」