この記事は40代の女性に書いていただきました。彼女の長男は発達障害のアスペルガーとADHDと診断を受けています。
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子供の得意分野に目を向ける
こころの小児科の主治医に、「この個性のお子さんは、とても優れています。ぱっと思いつくことは、他のお子さんと比べて出来る出来ないという考え方になるかと思いますが、そうではありません。天才の個性です。得意なことをどんどんと伸ばしてあげましょうね」という言葉を頂いたのが、小学校入学当初の診断時です。
最初は、「発達障害のうちの子が天才の個性と言われても、字も書けないし、話すことも上手じゃないし、得意なことも今一つ分からないのです」と答えていました。確かに、出来ないことは目につきますが、人より出来ることに目が向きませんでした。発達障害を矯正するための言語訓練・作業訓練をしていただきながら、母親としての考え方をいい方に導いてくださいました。
少しずつではありますが、周りのお友達と同じように、出来ないことが減ってきたこともありますが、長男の得意なことが目につくようになりました。幼少期からの遊びも、創作するようなことが大好きで、レゴブロックや粘土遊び、絵本を読む、絵を描く、ありとあらゆる芸術面に長けていました。小学校入学とともに、パソコン操作にもとても興味を持ち、文字入力からひらがなカタカナなどが自然に身に付きました。パソコンの授業はいつも一番で、ローマ字もいち早く覚えましたし、絵を描くことが得意なので、ペンタブレットを使ってパソコンで絵を描いたり写真を撮って動画を作成したりと、色々なことをサクッと覚えました。
工作や図画が得意で発想力が優れていて、気が付けば小学校六年間と中学三年間の入選作品の賞状の数は普通ではありません。絵本が好きなことで図書館に通いはじめ、気が付けば、市の図書館の分館の貸し出し図書数の表彰をされたり、中学校三年間は読書部として、中学校の図書館にある本数千冊を読み、本を守るためのフィルムカバーをかけるお手伝いをし、中学校から表彰されました。好きな本の影響で映画やアニメも関連して観ているため、アニメや映画についてもかなりのジャンルを知っています。
好きなことにはとことんこだわって追求する発達障害の特性が、これもやってみたい、あれもあってみたい、というやる気につながり、自分が進みたい職業として、映像関係のお仕事を挙げています。これが先生の言う天才の個性だと思うので、いい方向に育っていると感じています。
子供は褒めて育てるのが正解
得意なことをとことん追求し、好きなことをさらに好きになり、その中でコミニュケーションが苦手だったり、人との関わり方が苦手だったりすることも、同じ趣味や好きなことをしている人とのやりとりなどから、自然に培われてきたように思います。大人でもそうですが、出来ない、無理だ、といったようなマイナスの発想からは、何もいいものは生まれません。やはり劣等感よりも、出来ること、優越感からはプラスが生じてきます。褒めて育てる、褒めて伸ばす、とよく言いますが、発達障害の特性を持った子供たちは、特に敏感です。褒められて喜びを感じて、次も、と前向きな気持ちになるのか、出来ないことを出来ないねと責められてしまって落ち込んでしまうのか、前者と後者では全然違います。そういった意味でも、こころの小児科の主治医との出会いは感謝しきれません。
発達障害の診断を受け、天才の個性だと認めてくださったのは、言うまでもなく主治医です。主治医は、「この天才の個性の診断をしたときに、すぐ分かりましたよ。お母さんも、子供さんも、世界一です。天才を産んだ母と、天才の個性の〇〇君ですから。誰もがなれるわけではありません。だからこそ、周りと比べてはだめ。たった一人の〇〇君ですから」と、ずっと支えてくれました。まずは、自分の息子を、世界一の天才だと思えるかどうかです。できるじゃん、やったね、えらいね、すごいね、と、こころから応援してあげられるかどうかです。
失敗したことも、出来なかったことも、全部踏まえて、出来たことを褒められる親になろうと気持ちが変わった時に、息子にどんなことがあっても「すごい、よくやったやん、できたやん、がんばったね、すごいね」と世界一の天才のお母ちゃんになれました。そして、母親の笑顔が、子供たちの「やる気」にスパイスをかけること間違いなし。
このような考えを、ずっと教えてくれて、サポートしてくださったこころの小児科の主治医をはじめ、スタッフの方々や両親家族、地域の育児サポートの方々、歴代の担任の先生方、いろんな方々のおかげで、発想の転換が出来て、のびのびと育てることが出来たことは一生忘れません。天才の個性を伸ばしてあげられるのも、母親の笑顔であるといっても過言ではありません。参考にしていただけたら、幸いです。
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