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学習障害の小学生に対する放課後等児童デイサービスでの取り組み

 

この記事は放課後等児童デイサービスの職員の方に書いていただきました。

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 学習障害(LD)があるB君は、小学校(4年生)では特別支援学級に在籍しています。とてもおとなしい性格で、先生の言う事もよく聞きます。家族は、母親と高校生の姉、中学生の兄の4人家族です。お母さんは昼過ぎから夜中まで仕事をしています。姉や兄もクラブ活動やバイトで帰りが遅いので、B君は学校が終わった後、放課後等児童デイサービスに通っています。

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放課後等児童デイサービスをずる休み

 B君は小学校1年生の時から放課後等児童デイサービスを利用しています。学校が終わると本人から「学校が終わりました。迎えに来てください」とデイサービスに連絡が入ります。それからスタッフが迎えに行くのですが、「家に帰ってゲームをしたい」などの気持ちが沸き起こると、連絡をせずに自宅に帰ってしまいます。デイサービスのスタッフは家に無事に帰っているか確認しに行き、理由をきくと「お腹が痛い」などの言い訳をします。あまりにもデイサービスをずる休みをすることが多いので、デイサービスの今後の利用に対する意向も含めてお母さんと話し合いました。

 お母さんとしては、「本人は内向的な性格で特別支援学級のクラスメートも少ないことから、たくさんの人と交流できるデイサービスで他者との関わりを学んでいってほしい」「宿題をどうしても家で自分が見てあげる事が出来ないので、デイサービスで宿題をしてきてほしい」との意向でした。また、デイサービスでお友達に嫌なことをされた翌日にデイサービスを休みたがるとの話も聞きました。

放課後等児童デイサービスを休みたいときの3つの約束

 やはり、安否確認の為にもどこに行ってしまったのか分からないということは心配なので、本人がだまって帰ってしまわないように3つの約束事を決めました。

① 学校が終わったら一度は必ずデイサービスに帰ってくる
② もし、今日は家に帰りたいと思う日はデイサービスの電話でお母さんに家に帰っても良いかどうか聞く
③ 家に早く帰ってゲームをしたいというのも立派な理由なのでお腹が痛いとか嘘の理由を言わない

 放課後等児童デイサービスでは、発達障害のお友達が多いので、おもちゃの取り合いや喧嘩になることが多々あります。そんな中でB君はおとなしい性格なので嫌なことをされてもなかなか嫌だと言えません。なので、嫌なことがあると「足が痛い」「お腹が痛い」など体調不良を理由に休もうとします。本人に自分の気持ちをしっかり話せる強さを身に着けてほしいということと、家では宿題を見られないことからデイサービスで宿題を終わらせることをデイサービスでは考えました。

学習障害に対する取り組み

 B君と約束事を決めても、本人が「どうせ、デイサービスに行ったら帰らせてもらえない」と考えてしまったら意味がありません。なので、スタッフが迎えに行くと「今日は帰りたい」と思う日はまず、デイサービスに一度戻り、お母さんに電話をするということを実践しました。お母さんが帰っても良いという時は、自宅に送迎するようにしました。

 また、放課後等児童デイサービスに行きたいと思えるように、B君の好きな車に関する雑誌をスタッフが家から持ちよりました。また、スタッフと一緒にデイサービスのパソコンで車の検索をしたりできるようにしました。パソコンで検索する前に宿題を終わらせるというルールを決めたことも本人のやる気につながりました。本人も「早く終わらして車を検索したいと集中して宿題に取り組めるようになりました。スタッフはB君が好きなことを理解につなげようと算数の問題などを車を使って説明するなど工夫しました。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、以前のように嫌々やるのでななく、積極的に算数の宿題にも取り組めるようになりました。自分の好きな車でイメージがつきやすいのか、計算も理解しやすいようでした。学習障害(LD)があるB君にとってはこのやり方が向いていたようです。

B君の成長

 B君にとって、正直に帰りたいと話したら帰れるということは大きな安心につながり、以前のように連絡をせずに黙って家に帰ってしまうことがなくなりました。宿題をしてから、パソコンを検索したり雑誌を見るという約束をすることで、宿題にもデイサービスにきたらすぐに取り組めるようになってきました。その後、好きな車の雑誌をみたり、パソコンで車を検索したりできるのも楽しかったようで、今まであまり話をしなかったB君が車の話になるとエンジンやタイヤについて詳しく説明してくれます。

 スタッフとの会話も増えるようになり、帰りの会で今日楽しかったことを発表する時間があるのですが、B君は今まで手を挙げて発言することはありませんでした。そこで、B君にはその日に検索した車について簡単に説明してもらう時間をつくりました車について物知りなB君にみんなが質問して彼が答えると「すごい」「くわしいね」などお友達にも感心され得意な分野で認められたことが本人の自信にもつながりました。

 今では、毎日「学校が終わったから早く迎えに来て」なんて電話をかけてきてくれるようになり休まずに通っています。

[参考記事]
「トラブルの多いADHDの子が児童デイサービスの利用で改善」

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