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発達障害の夫と家庭内別居。その後、劇的に変化した理由とは

 

 私の夫、そして高校生と中学生の息子は発達障害です。長男は小さな頃は注意欠陥・多動性障害もありましたが、中学生の頃からそちらの方は目立たなくなりました。

 病院で診断を受けていますが、夫だけが自己認知できていません。結婚前の夫は無口な人で、何も知らない私はただただ無口な人なのだろうと思い、何の疑いもありませんでした。あの頃は発達障害の知識もありませんし、周りでも今ほど話題になっていませんでしたから。

 結婚して一緒に住むようになってから、私にとっては不思議な事だらけ。むこうから話しかけてくる事はあまりないし、こちらから話しても、一言返事があるだけ。難しいこと、大事な事を話すと、混乱してしまう始末。

 特に不思議だったのが、何かを一緒にしようとしないこと。一緒にテレビをみようとしても、自部屋にこもり、ゲームざんまい。それを指摘すると、どうして同じことしなくてはいけないの?そればかり。

 それはどこかに出かける時もそうでした。子供が生まれてからも、そのスタイルは変わらなくて、一緒に出かけようと誘っても行動してくれませんでした。いまだにそのスタイルは変わりません。家族旅行など誘っても無意味だと分かっているので、もう今は誘いもしません。誘っても、行ってくれば?とか、俺は人混み嫌いだしなどそんな事ばかりですから。

 長男は2歳の保健所健診の時に、「普通とは違う」と指摘されました。でも私にはよく理解できず、3歳児健診の時まで何もしませんでしたが、ここでも指摘されたために病院で診察してもらいました。その時に高機能自閉症だと診断されました。そこでやっと気がつきました。この長男とあまりにも似ている夫が発達障害なんだと。

 それから何年か後、なんとか説得して夫にも病院で診察を受けてもらいました。案の定、高機能自閉症と注意欠陥多動性障害の診断が出ました。

 この頃は私にも発達障害の知識が出来ていましたから、家族でなんとか頑張りたいと思いました。何年も試行錯誤で頑張ってきたと思います。何をしてもうまくいかずに何度も泣きました。

 周りからも離婚を勧められたり、そこまでして一緒にいる意味が分からないと言われることばかりでした。でも私はあきらめたくない精神だけでやってきました。

 次男はそんな忙しさの中で生まれたし、おとなしく、二人に比べると手もかからない子だったので何の意識もしていませんでした。ただ小学校の高学年の時から周りの友達とは違う事に私も本人も気がついていました。やはりこの次男も発達障害でした。

 3人とも発達障害なので、定型発達の私は毎日が戦いでした。3人とも短期記憶力がないので、毎回同じことを繰り返し伝えなければいけません。部屋の中は片づけることができないのでいつも歩く踏み場がありません。夫と次男はキレやすい事があるので、ご機嫌取りもしなくてはいけません。

 特に夫はコミュニケーション力もないので、会話がうまく成り立ちません。冗談などまったく通じないのは当たり前、こちらが話す普通の会話に対して、「俺はいつも嫌がらせを受けている」としか受けとってくれずキレてくる状態です。「おまえはいつも上から目線だ」と言ってくるのです。そんな事を言われるともう何も言えなくなります。何を言ってもまともに受け止められないのですから。

 空気も読めない、人の気持ちなどまったく理解できない、ゼロか100かの行動しかできない。息子たちと真剣に向き合って欲しくても無理な話し。

 結婚してから何度も喧嘩をしてきました。子供たちも大きくなり、理解力も成長した今年はラストチャンスと思い、私は夫と距離を置くことにしました。家庭内別居です。そこまでハッキリしなければ、彼には私の気持ちは伝わらないと思ったし、私も疲れて彼から少し離れたかったからです。

 一番は、子供たちが夫に対して不信感をはっきりと持ってしまったからです。今まではうちのお父さんはまわりのお父さんと違う、どうして遊んでくれないの?話してくれないの?何もしてくれないの?と。子供たち自らネットで調べて、自分の父親はあきらかに違う、調べると発達障害だと分かったと言いました。さらに「何をしたってあの人無駄でしょう?」と言ったのです。これはさすがにわたしが何とかしなければという精神が強くなりましたね。

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家庭内別居の結果

 家庭内別居は正解でした。夫は自分から行動を起こし、私と話し合いをするようになったのです。全て私が悪いことにはされましたが、いつも逃げていた夫が話し合いをするということに成長を感じました。

 家族みんなで話し合った結果、夫も息子たちもやはり他人の気持ちがまったく分からないし、何が出来ていないのかも分からないとのこと。

 そこで何かある度にホワイトボードにどういう事が嫌だったとか、これは嬉しかったとか、何が出来ていないとか、そんな事を家族みんなで書くことにしたのです。 これは発達障害カウンセラーさんのアイディアなんです。

 ホワイトボードに書くようになってから3ヶ月経ちますが、今とてもうまくいっています。意外にもみんな楽しんで書いてくれているので、もっと早くにホワイトボードに書いていたらと思いました。

 耳から入る情報は苦手な彼らですので、目で見ることで理解できる事はとても良かったみたいです。下の子は面白い事も書いてくれるので、わたしはそれも楽しみです。ここまで来るのに何年もかかりましたが、今初めて家族がひとつになった気がします。結婚してから19年です。

[参考記事]
「発達障害の夫との離婚。きっかけはカサンドラ症候群」

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