この記事は20代の女性に書いていただきました。
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不注意優勢型ADHDと診断を受けている20代後半・女性です。私は自分のことを「人間関係が得意とは言いがたいタイプ」だと思っています。とはいえ昔からの友人であった夫と結婚し、十年来の親友の他にいつでも気軽に誘える遊び仲間が何人かいるので、人付き合い全般が壊滅的に苦手というわけではないのかもしれません。しかし集団に属すること、「みんなと仲良く」することは今に至るまで非常に苦手で、いつどこにいてもなんとなく浮いてしまうのが悩みです。
■暴力的・不潔で人に嫌われた子ども時代
小学校を卒業するまでは、かなり友達の少ない子どもだったように思います。ADHDの衝動性のせいか、普段は大人しいものの、ちょっとしたことでカッとなりやすく、頭にくるとすぐに手や口が出てしまう子でした。不注意優勢型ADHDの診断を受けていますが、衝動性も強いと自分では感じています。
また、毎日お風呂で頭や体を洗ったり朝晩歯を磨いたりという生活習慣が10歳前後までどうしても身につかず、いつも不潔だったので「臭い」「汚い」と言われて、避けられていました。デリケートな子ども時代に人に嫌われながら過ごしたことは、少なからず人格形成に影響を与えたような気がします。
■ほんの少し自制できるようになった思春期
中高生にもなるとさすがに身だしなみにも気を遣うようになり、不潔さが原因で人に嫌われることはなくなりました。また、頭にきても手を出すことはなくなりました。ただし、怒りが抑えきれずに爆発してしまうことはたまにあり、そういうときは人目も気にせず怒鳴り散らしたり、一方的に絶縁宣言をして友達を失ったりしていました。
■大人になってからは…
成人後は、幼少期~思春期のようにADHDの衝動性が原因と思われる人間関係のトラブルは激減しました。しかし、それでもやはりどこか「変わった人」「扱いづらい人」として学校や職場で浮いてしまうのが常でした。人間関係が上手くいかない原因と考えられる要素を挙げてみます。
▼集団での会話が非常に苦手
ディベートや会議といった真面目な場からたわいもない雑談の場まで、とにかく「複数人で話す」ということをとても苦手としています。その理由は「いつ口を挟んでいいのか分からないから」、そして「自分の発言で場が凍り付いた経験が何度かあったから」。つまり、簡単にいうとその場の空気を読むのが不得意ということです。「空気を読めない」は自閉症スペクトラム障害の特徴としてよく挙げられますが、ADHD単体と診断を受けている私の場合も当てはまります(よく調べれば自閉症スペクトラム障害も合併しているかもしれません)。
また、みんなが会話している最中どうしていいか分からず黙りこくっていると、徐々にその場にいることに飽きてきます。そうなると、ついぼーっと手遊びをしてしまったり、急に話を振られたときに前後の流れが分からずとんちんかんな回答をしてしまったり…。不注意優勢型ADHDの真骨頂です。そんな私の振る舞いが他人からは「変わった行動」のように見えるようです。
▼思いつきで行動をする
ADHDの宿命か、「あ!あれをやってみよう」と思うと自分を抑えることができず一目散に向かって行ってしまいます。そのため、やるべきことをほっぽり出してしまうのはもちろん、そのまま忘れてしまうこともしばしば。また、その時の気分で目標や欲しいものがコロコロ変わったり、普段のどちらかと言えば大人しい姿からは想像できない突飛な行動を取ったりすることも。
そんな調子なので、計画性がない、責任感がないとひんしゅくを買ったり、「急にやばい行動をする変な奴」という評判が立ってしまったりして、なんとなく避けられるように思います。
▼好き嫌い・興味のあるなしが激しい
人に対して好き嫌いや興味のあるなしがとても激しく、好きな人・興味がわく人には積極的にアプローチしますが、嫌いな人や興味のわかない人には全く関わろうとしません。大人になってからは「さすがに最低限の礼儀は果たそう」と意識するようになったものの、それでもやはり興味のない人から話しかけられるといい加減に対応してしまったり、挨拶するのを忘れてしまったりします。その結果、「気難しい人」とレッテルを貼られることがしばしばあります。
■分かっているけど直せない
上でご説明した通り、集団の中で人間関係を上手く築くのが苦手な理由や原因は自分でもよく理解しています。そのため何とか改善しようとこれまでさまざまな努力をしてきましたが、それでも「分かっているけど直せない」というのが実情です。不注意優勢型ADHDの人に対して「もっと集中しなさい」と言葉だけで言っても無理な話です。「自分はこれだからダメなんだ」と自分を責め続けるのはつらいので、今はそんな自分をそのまま受け入れようと考える方向にシフトしています。