この記事は30代の女性に書いていただきました。彼女の夫と子供は自閉症スペクトラム障害です。
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☆息子は自閉症スペクトラム障害☆
初めての出産でしたが、一歳半を迎えるまでに様子がかなりおかしいと思い、保健所の育児相談に通うようになりました。やがて二歳を機に療育を勧められ、二歳半には自閉症スペクトラム障害の診断がおりました。
夫も私の両親も、初めは「あまり思い詰めないように」と言うだけでしたが、診断を受けてからのちはこの状況を深刻に考えるようになりました。
☆夫婦仲は最悪に☆
診断からしばらくして三年保育の幼稚園面接を受けましたが、先方から入園を断られてしまいとてもショックを受けました。世の中に自分の子が拒否されたような気持ちになった私は、それから個人療育や医療に多額の金銭を注ぎ込み、夫としばしば言い合いをするように。
夫にしてみれば、「息子は自分の小さい頃によく似ているから大丈夫」とのことで、事あるごとに療育にのめり込む私に口を出して来るのです。やがて、争いは両親をも巻き込むようになり、自分も精神的にとても追い詰められてしまい、今思うと離婚一歩手前の状態でした。
☆夫にも発達障害を疑う☆
以前から夫の行動が普通と違うことがとても気になっていました。特に目立った症状がないのに気持ちの問題で欠勤したり、休日は本当に何もせず寝込んでいたり、会社の同僚や上司と言い争いをしてトラブルになったりと、話を聞くたびに胸が潰れそうな思いをしました。
また、息子が診断をされてから発達障害に関する様々な知識を得る過程で、主人にも同じような気になる特徴があることに気づいたのです。
☆夫も自閉症スペクトラム障害診断☆
子供のついでに夫のことを保健師に相談をしたところ、大人の発達障害者を受診対象にしたクリニックを紹介されました。
私自身子供以外の不安材料を減らしたかったのと、夫本人も会社で対人関係をうまく処理できないことを気に病んでいたということもあり、夫も通院に同意。その結果、夫にも自閉症スペクトラム障害の診断が出ました。ほぼ、息子の自閉症スペクトラム障害の診断と同時期です。
☆互いに理解を心がける☆
自閉症スペクトラム障害の診断は一つのきっかけですが、そんな際立った特徴があるのなら、夫の社会生活が困難なことも仕方ないのかと徐々に思うようになり、そこから夫婦間で歩み寄りが始まりました。
自分に関して言うと、それまでは、本当は自分を支えて欲しいと強く願っていたにも関わらず、それが叶わないことに苛立ちと不幸を感じ続けて、とても孤独だったので、相手を理解しようという気持ちには到底なれなかったのです。
夫にしてみれば、自分に似た特徴を持つ我が子をありのままを受け入れることなく、ただ必死に子供を引っ張りあげようとしていた私を見て、とても悲しかったそうです。家族がお互いに対する理解に欠け、苦しい思いをしていたのです。
☆その人に合ったペースで☆
夫は自閉症スペクトラム障害の診断が出たあとは数回通院して、カウンセリングを受けました。医師からは自分の特性を理解して、可能なペースで社会生活を送るよう指示を受け、それからは精神的にも肉体的にも無理をし過ぎないよう注意して過ごしています。
私もどこかホッとして、子供の心配はあるものの、その後の生活は随分落ち着いたように思います。子供も小学生になった最近は、自分なりの方法で自分の意見を伝えるようになりましたし、何に対しても反応を示さず困っていたのが、興味のあることには積極的に取り組むように変化してきています。これは小さい頃から療育を行なったお蔭だと思います。
☆良好な父子関係☆
私が見る限り、夫と子供の相性はとても良く、夫にとって子供はまさに自分の分身。最近は夫なりの方法で子供を守り通す気概が感じられます。趣味趣向は特に通じるものがあり、二人で出掛けてはいろいろと楽しめているようです。発達障害同士は惹かれ合うなんてことが言われていますが、夫と息子を見ていると確かにそう感じます。
「◯◯はできる子」と夫が常に子供を励ます姿勢にはいつも勇気をもらっています。おかげさまで最近は、「私にできることは、ストレスを溜めずに、できる時に効果的なサポートをしていくこと」と思えるまでになりました。
子供と夫に対して言いようのない不安を抱えていた頃と比べると、今は本当に楽になれています。いまだに子供の自閉症スペクトラム障害のことで落ち込むことは度々あるのですが、これからは未来を悲観しなくても済むように、夫と子供と共に生きていきます。