Read Article

広告

アスペルガー症候群の夫と結婚して分かった発達障害の特徴

 

この記事は30代の女性に書いていただきました。

……………

広告

1.アスペルガーと仕事の関係

 夫は、中学校、高校時代には同級生となじめず引きこもりを経験し、その後IT系の専門学校を経て、プログラマーへと就職しました。夫は人付き合いが苦手ですのでパソコンに向かって一人で出来る仕事であること、そして数学や算数(論理的な思考)が好きという特徴を生かした就職となりました。アスペルガーの人は論理的な思考が優れていると聞いていますが、夫の職場にはアスペルガーの同僚が多いです。

 仕事上で困ったことといえば、「会議でのやり取り、電話対応が非常に難しい」ことだそうです。夫は電話をしているときにどうしても相手の声に集中できないこと(ただのノイズのように聞こえる)、集中しても理解するのに非常に時間がかかり、音声コミュニケーションの難しさを感じています。これは定型発達者(普通の人)には理解できない感覚だよと夫には言われますが、夫とはいえこれだけはやはり分かりません。

 しかし、その代わりに定型発達者には理解が難しい暗号の組み合わせのようなプログラムを読み解くのは非常に得意、というようにこれは「アスペルガーという性質上の特徴」であると私は解釈しています。会社もそこは理解していて、夫はプログラミングの才能に秀でていたことと、周囲に理解のある上司がいたことによって、10年以上同じ職場で勤め続けていることができています。誠実で裏表がなく、コツコツと仕事をこなせる特徴も良い評価に繋がっています。

 ですが同じ同僚のアスペルガー仲間の中には仕事上の人間関係に躓いて仕事を辞めた人や、プログラミング以外の雑用があまりに多くてこなせなかった人がいるようです。それらの方々は、在宅ワークへと切り替えたり、障害者枠の採用で全く別の仕事へと進んだそうです。

 「特徴」を生かせる仕事に就けるかどうか、またその特徴が受け入れられる職場の人間関係があるかどうかが、発達障害者にとってはかなり重要なのだと思います。

2.アスペルガーと日常生活

 夫は、人の表情から感情を読み取ることが非常に苦手です。なので、私が悲しい顔や怒った顔をしても気づくことができず、語気が強くなった時に初めて気づきます。その予兆である表情を読み取れないことから、私が「突然怒り出した」と感じることがあります。定型の人同士のコミュニケーションである「空気を読む」のが苦手、というのが、私が夫との間で最初に問題に感じたことでした。

 対策としては、何か重要なことを言いたいときや感情をはっきり伝えたいことがある場合は視覚的にすぐに分かるものを利用して、表現するということです。例えば結婚指輪を指示して、「これを買ってくれた時に〇〇って私は感じた」と視覚を通して、感情を理解してもらうようにしています。小さい自閉症のお子さんを持つ親は写真など視覚に訴える道具を使って、子供に理解してもらう方法を取っていることも多いと思いますが、それと同じです。

 夫は私の気持ちには真摯に対応したいと思ってくれているので、アスペルガーの特徴さえきちんと理解してコミュニケーションをとるようになったら無駄な言い争いは減りましたし、良い関係を築けるようになりました。私から寄り添わないと良い関係が築けないと気付いたのです。

 中には相手が発達障害だと気付かずに「あの人全く私のこと分かってくれない」というケースもあると思いますが、それは誤解なのです。もしかしたら、本人も発達障害だと気付いていないことも多いのではないだろうか。それで離婚となれば悲しいですよね。発達障害の特質だと納得すればそれに沿った対応が出来ますので、良い方向に解決できるかもしれませんから。

 他には、夫は音に過敏すぎるところや、自分のルーチンワーク以外の突発的な出来事に対応するのが苦手といった特徴もあります。できる限り毎日同じようなライフワークを静かに送ることが、発達障害のある夫にとっては大切なのです。騒音の少ない住環境を整えることと、突発的な出来事には極力妻である私が率先して対応することで、これらのことは解決できます。

 色々工夫しないといけないことも多くありますが、それでも夫は誰よりも誠実で一途で、心の温かい信頼できる人ですから、私は結婚して5年余り、一緒になれてよかったなぁと思っています。

[参考記事]
自閉症で算数が得意なお子さんを育てている女性の記事
「自閉症の息子が通常学級から支援学級への移動を提案された理由」

URL :
TRACKBACK URL :

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

Return Top