この記事は40代の女性に書いていただきました。自閉症の子は感覚過敏を持っていることが多く、特に聴覚過敏は多いです。一般の人からすれば犬の鳴き声はともかくとして人の笑い声でパニックになることはないです。ですので、感覚過敏はなかなか理解することが難しいのです。
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息子が自閉症と診断されたのは6歳の時です。小学校に上がる時に診断してもらいました。私が息子のことを「おかしいなあ。普通の子とは違うな」と思い始めたのは幼稚園に上がってからの言葉の遅れと席にじっと座ってない事、先生の話を全く聞いてない事などです。その他にも思い起こすと、歩き始める前に普通の子供はハイハイしますがそのハイハイ時期がなく歩くようになるとバタバタと走るように歩いていました。
聴覚が異常に鋭く苦手な周波数がある
自閉症の子供がよく耳に防音のイヤーマフをしていますが、うちの子供も小学校、中学校までしていました。とにかく音に対する感覚過敏が沢山ありました。感覚過敏には聴覚、視覚、触覚、嗅覚に対する過敏がありますが、息子は聴覚過敏です。例えば大きな音、笑い声、犬の鳴き声、小さなエアコン等のモーター音、トイレにある手を乾かす機会の音など様々な音にパニックを起こしていました。
大きな音は普通の人でも嫌な音なのでよく分かります。しかしエアコンのモーター音などはとても小さい音なので最初、どれにパニックになっているのかが分からずに困っていました。息子に聞くと普通の人は何でもない音が耳鳴りに聞こえるようです。
息子が通っていた特別支援学校でも音に過敏なお友達がいました。その子はうちの子供とは全く違うタイプでしたが、ある時にCDをクラスでかけていたら突然、パニックなったのです。大きな音楽でもなくどちらかと言うと静かな音楽だったので不思議でしたがそのお母さんに聞いたら、その子にしか分からない苦手な周波数の音があるのだと言います。ほとんどの人がガラスを引っ掻いた音が嫌いですが、自閉症の人もこれと同じで、「その子独自の嫌な音」があるのだと思います。感覚過敏の性質は人それぞれなのです。
【予期せぬ突然の音が苦手】
またうちの子供は猫の鳴き声は大丈夫だけれど犬の鳴き声がだめ、また人のくしゃみ、笑い声がだめです。これらはどういう事かと言うと猫はいきなり大きな声を出さないけれど、犬は突然吠えるし、人のくしゃみも笑い声も突然聞こえます。予期せぬ時にいきなり聞く音が苦手な事が分かりました。例えばラジオやテレビでもお笑いは苦手で、ニュースや情報番組は大丈夫だったりします。
電車などに乗っても他人が大きな声で笑っていたり、くしゃみや咳をするとパニックになったりしてとても大変でした。かかりつけの医者から勧められたのは意外にも「ipod」(音楽を聴くプレイヤー)で、これは本当によく聞いていました。好きな音楽は割と聞いていたので、これでしゃみや咳などの嫌な音を聞こえなくするという利点があるのです。
【他の感覚も過敏】
今まで書いてきたように感覚過敏の中で一番過敏なのは聴覚です。聴覚が普通の人よりも良いから、嫌な音も必要以上に聞こえてしまうということもあるでしょう。例えば息子とは遠く離れて主人と小声で話していてもよく聞こえています。だからと言って内容まで理解しているかと言ったらそうではないです(物理的に音が聞こえているだけです)。
この聴覚からの理解力は普通の子供より圧倒的に低いので、難しい言葉で長々と説明しても理解が出来ません。そんな時に視覚を使って説明するとすんなり入るのも特徴だと思います。例えば口で「お菓子は1個までよ」と言うより、紙に「お菓子は一個まで食べます。」と書いたり、写真を見せた方がすんなり入ります。これは多くの発達障害の子供にも共通している事です。
他にはうちの子供の場合、嗅覚もよく利くように思います。バナナを1階で食べて居たら、2階にいる息子が気づいた事、唐揚げを食べてしばらく時間が経つのにその部屋に入ると「から揚げ食べた?」と言ったりした事がありました。嗅覚の過敏性も少しある気がします。
まとめ
この感覚過敏というのは他人からでは中々理解してもらえません。犬の鳴き声は嫌いな人はいるかもしれませんがパニックまでにはなりませんし、笑い声はそもそも誰も嫌いではないので、理解するのは親でも難しい面があるのです。これが生きにくさに繋がっているのだと思います。だからこそ、自分の子供は何が苦手なのかを早い段階で理解してあげる事が大事だと思います。
[参考記事]
「発達障害の子供に多い感覚過敏とは」