発達障害のお子さんとのコミュニケーションは「ありのままを認めること」で対処法が見えてくる。子育てにおいて言えば、定型発達のお子さんに対しても発達障害児に対しても、基本的な部分は同じ。
しかし、定型の子よりも人一倍デリケートだったり、鈍感だったりするところがあるお子さんなので、気をつけなければいけないことがいくつか出てきます。私自身も発達障害児の親ということで、当事者なので手探りな部分が多々あるのですが、気を付けていることを書いておきたいと思います。よろしければ参考にしてください。
大事なのはありのままを認めることと、お子さんをよく観察すること
まずはコミュニケーションを取る上で最も大事なことは押さえておいてください。それは「そのままのお子さんを認めること」。こだわりやパニック、衝動的な行動などで、イライラさせられることもあるかもしれません。でも、否定せず受け入れること、それが一番大事なことだと思います。その上で、困った時の対応法を探る方法について書きますね。
発達障害と言っても、ひとりひとり特徴が違います。また、こだわりのポイントも違いますし、こだわりの程度も違います。そこで一度、お子さんのトリセツ(取扱説明書)を作ってみましょう。おすすめは、「いつ・どこで・どんな状況の時に・こんなことがあった」という事実と、その時の親御さんの対応をありのまま書き留めておくこと。続けていくとこだわりやパニックになった時の状況に何らかのパターンが見えてきます。どう対処するか、どのように話せば分かってもらいやすいかの答えは自然と出てきます。これはスムーズなコミュニケーションに大いに役に立ちます。
次章では我が家での子どもたち(次男と娘)への対応で気を付けていることを書きます。特徴は違いますが、二人とも自閉症スペクトラムの診断を受けています。
聞き取りと推測が苦手、不注意で忘れっぽい次男の場合
小学校低学年の次男は「聞き取り」と「推測」が苦手です。その分、見たものをそのまま理解することは得意です。スポーツの習い事をしているのですが、基礎練の際はなるべく後ろの方に並んで、前の子を真似するよう話したこともありました(現在はそこまでしなくてもついていけるようになりました)。
また、次男は、ものの名称を知っていて、現物を見たことがあっても、名称と現物が頭の中で結びついているとは限らないので気をつけるようにしています。以前、うどん屋さんに行った時に「天ぷらうどんが食べたい」と言うので注文して、現物が届いたら次男は「これが天ぷらだと知らなかった」と言い、うどんだけ食べて天ぷらを残した、ということがありました。天ぷらという名称も知っていて、現物も見たことはあったのですが、現物と天ぷらという名称が結びついていませんでした。推測が苦手な子はこういうところが特に注意です。
また、「不注意」や「忘れっぽさ」により引き起こされるさまざまな出来事は、カリカリ怒らず、失敗しない方法を本人と一緒に考えるのがベストだと発達障害の様々な本には書かれています。が・・・私はそれがなかなかできず、つい怒ってしまいます。怒ることはコミュニケーションの分断になりますので、まずい対応なのです。
場の雰囲気が読めないゆえに不安感が大きい娘の場合
幼稚園年長の娘が入園した直後は大変でした。先生にお遊戯や手遊びを教えてもらっている途中、突然倒れてすねたり泣いたり。何が原因かわからず途方に暮れていたのですが、療育の先生や幼稚園の担任の先生と話した結果、理由が分かりました。どうやら、失敗したくない気持ちが強いうえに、自閉症スペクトラムの特性である「場の雰囲気が読めない」ことによる不安感から「私こんなことできない」とパニックになってしまうのではないか、ということがわかりました。
この対策として、幼稚園では娘の専用見学席を作ってくださり、「お遊戯の時はここで見ててね。でも、出来そうと思ったら入ってきてね」と言ってくれたのです。おかげで本人も徐々にお遊戯に参加することができるようになり、運動会ではキレッキレのダンスを披露してくれました。本人の気持ちに寄り添って対応してくれた幼稚園と、本人を注意深く見てくださり、パニックの原因を見つけて下さった療育の先生に感謝しています。今は少しずつ自信がついてきて、専用見学席がなくてもお遊戯の練習や合奏の練習に参加できるようになりました。
娘のように不安感の強い子には、不安な気持ちをそのまま受け入れて、少しでもできた時には褒めてあげること、失敗しても大丈夫ということを本人にわかるように伝えることが大切なのかなと思います。ここでも、ありのままを認めることの大切さを感じます。
[参考記事]
「自閉症スペクトラムの特徴とは」