この記事を50歳の女性に書いていただきました。
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発達障害と診断された50歳女性です。数年前に診断を受けたのですが、私が周りと違うという違和感を感じ始めた頃は、数十年前ですので発達障害という言葉すらなく、ただの動きの鈍い人と思われていました。
相手の方が話してることを一生懸命に聞いているつもりなのですが、「意味を理解しなくては」と思っている間に話が終わってしまう事が多かったです。プライベートでは天然ボケで通りますが、仕事ではそうはいきません。ミスをしないように集中すると、遅くて迷惑をかけてしまいます。
よく上司に言われた、「普通にしてたら大丈夫だから。」。この「普通」という単語。さっぱり理解できずに苦労しました。他にも「もう少しやっといて」と言われたこともありますが、「もう少し」の意味が分かりません。あと何分やれば、あとどれくらいの量をやればいいのか、さっぱり分かりません。いつも、どうすれば「普通」になれるのだろうって考えてました。
二次障害に
普通じゃないって自覚していたところまでは良かったのですが、頑張る方向がすごく間違っていたと思います。そんな見当違いな頑張りが原因で、鬱状態・パニック障害を発症し、数年間休職と復職を繰り返す事となりました。頑張り切った結果が心療内科に通う結果になってしまったので、自己嫌悪に浸る毎日を送ってました。休職中は好きな時に起きて寝て食べてパソコン見て寝ての繰り返し。自由なのですが、世間から取り残された感覚があり、とても辛かったです。
そんな中、ネットで「鬱」「パニック障害」で検索して、何かこれからにつながるヒントはないかと探し続けてた時に「発達障害」という単語に出会いました。さらに深く調べていくと鬱、パニック障害は発達障害の二次障害だと分かりました。つまり、周りに理解されない苦しみを抱えているうちに、心理的な症状が現れるようになってしまったのです。
私の発達障害の特徴
「発達障害」の特徴を調べると私と合致するところがゴロゴロ出てきました。
・二つ以上の事をいっぺんに理解できない。
=>複数の人と話しているケースでは理解しようと頑張っている間にすごいスピードで進んでいる感じがします。ですので、理解が追い付きません。また、仕事でも2つ以上の案件を抱えると何かしら忘れます。
・整理整頓が出来ない。
=>すべての物を手の届く範囲に置こうとしてしまいます。遠くに置くと失くしてしまいそうな不安があるからです。ですので、散らかっているように見えてしまうのです。そもそも、物を引き出しなどに入れたら、いつの間にか忘れていますが…。
・興味の隔たりが激しい
=>これは一番思い当たります。好きなジャンルに関してはいつまでも話してます。迷惑してるだろうなと自覚してても止まらないこともしばしば。集中力も高くなっているので、寝食を忘れて熱中していることもあります。気づけば何時間も経っているなんてことも多いです。
情報を調べていくうちに「同じ思いをしてるのは、自分だけじゃないんだ。」と、すごくホッとしました。その後「発達障害」の情報がたくさん手に入るようになって、他の方々がどんな苦労をしているのか、どんな工夫をして乗り越えているのか、読んでるだけで不安な気持ちが整理されていきました。
普通になることをあきらめることがベストな方法
いろんな情報に接しているうちに気が付いたことがあります。健常者からすると当然ですが、「発達障害」は少数派で、普通の方は多数派。私にとっては普通のことが一般の人にとっては普通ではない。これすら気づかなかったのです。世の中は多数派の意見でまわっているもので、私のような特殊な感性の人間が分からないのは、当然のことだと思います。
ですので、私は無理して「普通」を目指すことを止めました。決して後ろ向きの考えではなく、良い意味での「あきらめ」です。この「普通」という概念の呪縛から解放されてから「うつ状態」と「パニック発作」の症状は少量の薬でコントロールできるまでに回復しました。恐らく、もうしばらくすると薬は止めることができます。私が発達障害の二次障害を乗り越えることができたのは「あきらめ」という考え方ひとつです。これが私にとって唯一の方法でした。
現在は趣味の偏りを生かした、ハンドメイド制作の活動をしてます。今まであんなに不利だと思っていた自分の特徴を存分に使う生活になっています。ハンドメイド制作は趣味の延長ですので、集中力は高く維持できています。ハンドメイドの先輩には「まだまだ変人度が足りないっ!」と指摘されることも(笑)きっと「私らしさ」をもっと出すようにというアドバイスでしょう。まさか「普通」目指してた私が「変人」を要求されるとは思いませんでした。
[参考記事]
「発達障害の二次障害に対するカウンセリングの効果」