この記事は発達障害のお子さんを育てている30代の女性に書いていただきました。
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現在12歳の息子は発達障害ですが、今までに発達検査を四回ほど受けました。検査の結果、得意なところ、不得意なところの差がかなり大きく、そこに生き辛さがあるのだという事が分かりました。
能力の高い部分は大人向けの検査課題も通過するほど
WISC-Ⅳ検査は「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」という項目がありますが、「言語理解」が彼の得意分野でした。「言語理解」の検査は、単語を聞いてその意味を答えたり、その単語の使い方、社会常識に関する知識などを検査されます。語彙の豊かさや、習得知識の豊富さ、そして言葉による推理能力などがどの程度あるのかが分かります。
例えば「言語理解」には「類似」という項目が入っています。例えば「バナナとグレープフルーツの共通点はなに?」など共通の概念を持つ2つのことばを聞いて、 どのように似ているかを答える課題です。
息子は大人向けの課題も理解しているそうで、かなり高い水準にあると言われました。WISC-Ⅳの「言語理解」の分野での息子のIQは「131」。IQの平均値は100ですが、IQが130以上の人は5%しかいないそうです。息子はこの分野では素晴らしい能力の持ち主という事になります。
思い起こすと息子は幼い頃から年齢相応ではない難しい言葉や話題に興味を示し、教えてもいないのに勝手に覚えていました。小さい頃は経験も乏しく、その言葉に関する意味もよく理解しないまま難しい言葉だけが頭に残り、使ってしまうので、周囲から少々浮いている感じがしました。
しかし、WISC-Ⅳを受けた10歳4カ月の時には、会得した言葉や知識を、きちんと正しい場面で使えるようになっているのは意外でした。数年の経験で自分なりに色々な知識同士を結び付けてきたのでしょう。もともとの特性なので変わることがないと思っていたので、本人の得意分野を活かせば苦手な部分も押し上げることが出来るのだと希望を持てました。
凸凹が生き辛さを生む
先ほどお伝えしたようにWISC-Ⅳ検査は、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」という四つの分野を検査します。息子の検査結果は、「言語理解」のIQ131以外はどれも平均枠の中に入っており著しく低いものはありませんでした。一番低いもので「処理速度」の96。それでも100を平均とするならばそれほど低い数値ではありません。
が、発達障害の子の生き辛さは各数値が高いか低いかよりも、その凸凹の大きさにあると教えていただきました。一番得意な部分と苦手な部分の差が35もある息子。20以上の差があると発達障害と言われるそうで、35も幅があるのはかなりしんどいようです。
心理士さんから受けた説明では、「周囲の人たちは一番得意な部分でその人のイメージを持ってしまう。これだけ出来るのだから…というイメージを持たれると、出来ない部分が際立って見えてしまう。息子さんは他の子に比べて出来ない部分が多いわけではない。けれどできる部分の能力が高いと本人の中で苦手な部分に対して何故?という思いが強くなってしまう。この凸凹のせいで自己イメージも掴みにくくなり、自信を失いやすくなる。数値が高すぎても低すぎてもしんどいものなのです。」との事でした。
[参考記事]
「発達障害検査の初診時に行われた診察や血液検査について」