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発達障害の「二次障害」とは何か。放置すると大変なことに

 

 お子さんの発達障害に気づかない、または気づいても適切な対処をしなかった場合、どうなるのでしょうか。発達障害を放置し、本人に無理を強いる生活が続くと、かなりの高い確率で新たな障害を引き起こしてしまいます。これを二次障害と言います。

 二次障害が起こると、本人がつらいだけでなく、家族関係を壊してしまうこともあります。最悪の場合は犯罪に発展するケースも。ここでは二次障害が生まれるメカニズムについて説明します。

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発達障害を認めず、不適切な対応を続けた場合

 「発達障害かも?」と気になりつつも「まぁ大丈夫だろう」と放置したり、周囲から特別支援学級に入ることを勧められても、固辞して普通学級に入れるなど無理をさせる親御さんが時々おられます。私の周囲でも何人かそのような方がいらっしゃり、歯がゆい思いをすることがあります。

 こだわりやパニック、多動など発達障害の特性からくる困った行動に対して周囲からのサポートが受けられない場合、もし本人が困難にぶつかった時、たいへん辛い思いをしてしまいます。また、サポートが受けられないだけでなく、発達障害の特性によりできないことに対して叱責を受けることで本人が「自分はダメな人間だ」と思い込んでしまいます。自己肯定感がズタズタになってしまうと、自分に自信が持てなくなります。こうなることで、新たに障害を引き起こしてしまいます。

二次障害のいろいろ

 では「二次障害」とは具体的にどういったことを指すのでしょうか。
〇まずは勉強やそのほかの社会生活が上手くいかないことにより自信を無くしていきます。
〇学習意欲の低下や欠如、学習そのものの遅れが心配になってきます。
〇お友達との関係を築くのが困難なお子さんですと、対人恐怖症や不安障害を起こすこともあります。

 以上のような状態が続くと、気分が落ち込みがちになり、うつ症状のような状態になってしまいます。この状態から本当にうつ病になる人や統合失調症を誘発してしまう人もいます。学生であれば引きこもりや不登校になる可能性も出てきます。統合失調症などの精神疾患は10代前半が好発期を言われますが、発達障害の二次障害の方も少なくないのかもしれません。

 このように内向きに問題を起こす人もいれば、外へ向かって問題が表面化する人もいます。やたらと反抗的・攻撃的になり、万引きや暴力、虐待などの反社会的な行動を起こしてしまうことも。新聞でよく取り上げられる事件の中にも、二次障害と思われるケースも少なからずあるようです。その他アルコールなどの依存症も二次障害のひとつと考えられます(大人の場合)。

適切な対応とは具体的に何

 では、二次障害を起こさないように、親にできることはなんなのでしょうか。私も偉そうなことは言えませんが、結局のところ、「その子なりの自己肯定感を育てること」と考えています。簡単な事ではないと思います。特に自閉症スペクトラムのお子さんは、こちらが精いっぱい愛情を注いでも、その愛情をなかなか理解できないことがあり、そのため「自分は愛されていない」とゆがんだ認知をしてしまうことが少なくありません。出来ないことが多いのはその子の特性上、仕方がない事もあるでしょう。

 自己肯定感を上げるには褒めることも大事ですが、無理に褒めるより、褒め言葉はそこそこでいいから「あなたを認めているよ」ということが伝わるような愛情表現が必要ではないのかなと思います。

[参考記事]
「発達障害とはどんな障害?昔はこんな子、普通にいたよね」

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