自閉症スペクトラム障害(発達障害)の娘さんを育てている父親に書いていただきました。発達障害の子供を育てている家庭では特別支援学級に入れるか、普通学級に入れるのか悩んでいることでしょう。
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初めに家族構成ですが、私たち夫婦に子供が4人、子供は全員女の子です。この少子化の時代に4人も子供がいるというのは都会の人たちからみると少し珍しい状況ですかね?私が暮らしている所は田舎なので子供が4人というのはそんなに珍しい事ではないのですが、4姉妹となるとなかなか遭遇する事はありません。
買い物やレジャー等で家族で出かけると子供たちを見て色々な人が声をかけてくれます。
『女の子ばかりかわいいね』
『子供は女の子が良いよ、将来面倒みてくれる』
『もう一人、男の子が欲しいでしょう?』
『性別はどちらでも健康で元気が一番よ』
等々
田舎ならではの温かさでしょうか、いろいろと気にかけて、かわいがって貰ったりアドバイス等をしていただいています。
私の娘の中で3女は多動を伴う自閉症スペクトラム障害と診断されております。自閉症スペクトラム障害は他の発達障害であるADHDなどと合併することがあります。多動性はADHDから来ているのだと思います。
3女の行動をみて
『この子は落ち着きがないね』
『何をしゃべっているのかわからないから通訳がいるね』
等の言葉をかけられる事も何回かありました。
私は正直、自閉症スペクトラム障害やADHDに関しては全くの無知でした。子供に発達障害があると診断され少しは調べたり話を聞いたりしましたが、まだまだ分からない事だらけです。
逆に私の奥さんは支援学校に相談に行ったり、色々な人に話を聞き、たくさん勉強をしてきています。同じ発達障害のある子供を育てている親に話を聞いたり、3女の幼稚園や家での様子について相談に乗っていただいています。
特別支援学級の選択をすべきか考える日々
私の娘が発達障害の診断(検査)を受ける事になったきっかけは言語の遅れでした。4歳になってもなかなか言葉が出てこず、正確には言葉は出ているのですが口の動かし方が悪く発している言葉の内容が分からない状態が続いていました。自閉症スペクトラム障害の中でも自閉症は言葉の遅れが見られます。
その他で言えば運動面で他のお子さんと比べて遅れています。体幹が弱く、走り方、歩き方が少し変わっています。例えば歩くときに首を傾けて歩く等、どうしてその様な歩き方をするのかなと思っていました。しかし、私は「すぐに治るだろう」と、娘が発達障害と診断される前は奥さんに話をしていました。
保育園の発表会でも他のお子さんは大きな声で名前を言えるのに、うちの子は固まってしまい泣き出したり。上の2人の娘にはなかった事だったので『3女だけなんでだろう』と思っていました。ただその思いも『いつかは普通になる』という気持ちがありました。
この『いつかは普通になる』という思いは発達障害と向き合っている親の心の負担になるという事を思い知りました。もし、子供が重い発達障害である場合には期待した通りには成長しないからです。やはり発達障害の子供には療育が必要で、子供が自分の力だけで修正をすることは難しいのです。
私もそうだったのですが、父親は子供について分かっている様であまり分かっていない場合が多く、子供が発達障害の可能性があると診断されても
『うちの子はそんな事はない』
『大きくなったら出来るようになるから今から慌てる必要はない』
『特別支援学級に入れる必要はない、普通学級でやっていける』
等、母親より父親のほうが子供の発達障害というものを受け入れられない事が多いと感じました。
私は娘の発達障害を受け入れられないと思いながらも、子供が幸せになれる方法を考えていかないといけないと思いました。3女はもうすぐ小学校に入学する時期になりますが、特別支援学級に入れることも、その方法の一つかなと考えています。
特別支援学級に入れる事への抵抗がある親御さんはかなり多いと思われますが、子供の事を一番に考えると、療育を受けながらストレスなく過ごせる環境がベストです。普通学級では生徒の数も多いですし、子供一人だけに目をかけてみることは難しいです。そうすると、どんどん他の生徒との差が大きくなり、自己肯定感が低くなることも考えなくてはいけません。
特別支援学級は生徒の数も少ないですし、先生が一人の生徒に目をかける時間が多いです。療育的な授業も行われますので、私の子供の場合には特別支援学級がベストだと考えています。学年が上がるにつれて成長することができれば普通学級に移ればいいだけのことです。ただ、発達障害の程度が低い子供の場合、授業が簡単すぎて逆に成長が遅くなる懸念もありますので、そこはよく教育委員会、病院の先生などと話しあってください。
まだまだ特別支援学級に対する認識または特別支援学級に入っている子供に対する偏見はあります。このような偏見が少しでも無くなり、「特別支援学級は障害のある子供が幸せになるのを手助けする場所」という認識に変わればよいなと切に願っています。
これから3女ももっともっと大きくなり、いつかは大人になる日がやってきます。どのような大人になり、どのように暮らしていくのか分かりませんが、私が思うことはただただ幸せになってくれたらいいなと思うばかりです。