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ADHDの幼稚園の息子が言った「自殺したい」は二次障害のせいだった

 

この記事は40代の女性に書いていただきました。

…………….

 幼稚園生の息子は同じくらいの子供と遊ぶのができず、いつも一人で遊んでいました。その他にも不器用な性質を持つことなど疑問に思う点も多くあったので、年少の頃に保健センターに相談に行きました。そこで病院で診断してもらうのもいいのではないですかと言われたので、病院名を教えてもらいました。

 しかし、私が住む地域は田舎なので、専門の病院は遠いし、近くにある病院は1年待ちでした。運が良い事にキャンセルが出たという事で4歳の頃に「思春期外来科」という発達障害や不登校、心の問題を専門とする科に予約を取る事が出来ました。

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専門の病院での診断

 思春期外来科の医師にカウンセリングを受けたり、検査をしてもらった結果、「発達障害の中でもADHDの疑いがあります」と診断されました。しかし、この時点でははっきりとADHDという診断名が出たわけではありません。息子には以下の性質があるので、ADHDや自閉症スペクトラムの性質が両方入っていると私は感じていました。発達障害に関しては知識があったので、診断を受けてもショックを受けたわけではなく、ある程度の覚悟は出来ていました。
・一人遊びしかしない

・整理整頓ができない。部屋が汚い

・初めての事が苦手で体調が悪くなる

・予定が分からないと動けない

・マイナス思考(発達障害の二次障害ではないかと私は思っています)
=>幼稚園の先生にいつも怒られていたので、自分への評価が低くなっているのではないかと感じています。

・思い込みが激しい

手先が不器用で箸が使えない
=>ADHDの子の半数は不器用だと横浜市中部地域療育センター所長が2003年に書いています。

・普通の子供より何をするにも時間もかかるし、出来ない事も多い

 幼稚園にはこれらの性質について考慮してもらう必要があるので、主治医が意見書を書いてくれました(この意見書にはADHDとは書いていません)。

「自殺したい・・・」

 幼稚園に入園してから休むことが多い子でしたが、年中に入って更に欠席が増え、「死にたい」「自殺ってどうやってするの?」と私に言うようになりました。病院の検査では「検査で言語能力が高いので子供っぽくない言葉を使いますね」と言われていましたが、自殺とは予想外の言葉です。

 「どうして、そんな事言うの?」と聞いたら「僕は〇〇って名前なのに△△って先生が呼ぶんだ」と。「間違っているよ?って先生に言ったの?」と聞くと、「名前違うよ」と言ったそうです。そしたら、先生に「そんなのどうでもいいでしょ」と言われたと。

 息子はマイナス思考な面や思い込みが激しい性質もあるので、もしかしたら息子の勘違いの可能性もあるとこの時点では思っていました。なので、参観日に幼稚園の先生の様子を見てから園側に意見するかどうか決めればいいと考えました。そう思って参観日に先生の様子を確認しつつ、同時に同じクラスのママさんに探りを入れて、情報を集めました。その結果、担任の先生は以下のような性質を持っていることが分かりました。
・名前は日常的に間違う(息子以外も)
・着替えが出来ないと急かす(怒った感じで)

 息子は真実を言っていたのです。息子に関しては着替えも遅いので急かされるし、行動の切り替えも苦手なので他の子が前の工作が終わって次の工作に入っても追いつけずにモタモタした様子でした。それを見て先生は「それは終わってるでしょ」と言ったり、息子が可哀想に思えました。

ストレスで瞬きが多くなる

 私が参観日で行った時に異常に瞬きが多かったのに気が付きました。
この後、思春期外来科の医師に
「今になってなんですが、参観日の時に瞬きが多かったんです」
と相談したところ、
「担任の先生がストレスになっているんでしょうね」
と言われました。

 参観日以外の幼稚園に通常行っている時にも同じ状態になっている可能性が高く、すぐに気づく事が出来ずになんてダメな親なんだろうと自分を責めました

 参観日があった1週間後、幼稚園に息子のことをもう少し考慮してもらうように意見書を出しました。幼稚園側の回答は「病名がないと特別扱いは出来ません」でした。実はADHDは大きくなると落ち着いてくる子供が多いので、出来るなら診断名はつけたくないという主治医の判断で「ADHDの疑いがある」ということだけで、はっきりとした診断名はもらっていませんでした。

 この後も「自殺する!」という言葉もなくならず、園にも行きたがらずでした。園側も何もしてくれない・・・困った私は主治医に相談しました。その結果、園の先生に理解してもらうために診断名が必要という事で「ADHD(注意欠如・多動性障害)」と診断名を書いた診断書と今度は細かい日常生活や園での生活で気を付けて欲しい事を書いた意見書を書いてもらいました。

 「自殺したい」という言葉は発達障害の性質から来ていると言うより、発達障害の二次障害の性質もあるとも書いてありました(参考記事「発達障害の「二次障害」とは何か。放置すると大変なことに」)。

 一般的にADHDは暴れる子供(元気が良すぎる)と思われがちです。園の先生もそういう認識なんでしょう。私の息子は暴れもしないし、静か、マイナス思考ですからね。そんな様子を知ってか、診断書を出しても「〇〇君は多動性じゃありませんから特別扱いはしません」と言われました。暴れないからADHDじゃない・・・なんて認識の低さでしょう。特別扱いをして欲しいんじゃなく、気遣いをみせて欲しかっただけです。この1年は捨てよう・・・そう思った瞬間でした。年長になって先生が変わり休みも少なくなりましたが、年中の1年間は彼にとって死にたい位に辛い1年だったと思うと悲しくなります。

 こんな形ではなかったら診断名が出る事もなかったのかな?と悩んだりもしましたが、小学生になった今はADHDだと分かって良かったと思っています。良い事なのか、悪い事なのか・・・息子も「僕はADHDでコレが苦手です」と自分でいう事もあります。息子も、あの時の体験で成長したのかもしれないです。

[参考記事]
「ADHD(注意欠陥・多動性障害)とLD(学習障害)の特徴について」

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