この記事は30代の女性に書いていただきました。
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市の財政難のせいで療育がされず困惑
小学校1年生の息子を持つ母親です。息子は現在小学校の支援級に在籍しています。息子が2歳半の頃に「自閉症スペクトラム傾向」と医師から診断を受けてから、医師の紹介で市の療育園(児童発達支援センター)に見学へ行きました。しかし、療育園という名前ではあるものの、言語聴覚士(ST)・作業療法士(OT)・理学療法士(PT)などの専門の療育者が常勤で個別指導をするようなことはしないと説明をされました。
「療育をしないのですか?」と尋ねると、療育園の先生は「子供たちには訓練などで無理強いはさせず成長を見守るのが登園の方針です。言語聴覚士等の専門の療育者は巡回で学期ごとに一回来園しますが、お子さんの様子を見ますが、主に親御さんとの面談になります。」と教えていただきました。「療育」というのは「治療」と「保育」を兼ね備えたものと思っていたので、中身は障がい児を集めた保育園のような印象を受けました。
それからは色々な疑問が頭を駆け巡りました。
・子どもの成長を見守る?
・見守って良くなるのか?
・それで良くなるのであれば、その子は障がい児ではなかったのでは?
・親との面談だけで何か進展するのでしょうか?
・それは面談ではなく親の相談にのっているだけではないでしょうか?
想像していた療育園とはあまりにもイメージが違っていてたくさんの疑問が残り、息子を入園させて良いものかどうか悩みました。夫婦で話し合いましたが、他者との関わりを自分からは全く持たない(持てない)息子だったので、こちらの療育園の小集団(一クラス10人未満)で慣れさせようと入園を申し込みました。
しかし、療育園の方針に100%賛同できなかった私は他の保護者達と一緒に療育をきちんとやっていただくための陳情書を市会議員へ提出し改善を求めましたが、財政難の市のため予算がおりてこず、前進が見られませんでした。
「子供たちには訓練などで無理強いはさせず成長を見守るのが登園の方針」というのは一見、もっともなことを言っていますが、結局は財政難のために療育に関する費用を払えませんということだったのです。結局は1年通ってその園は止めて、就学前の二年間(年中・年長)は公立幼稚園に加配付で通園しました。
結局は自力で療育
平岩幹男さんという医学博士の方が書かれた「あきらめないで!自閉症(幼児編)」を書店で見つけ読みました。
そこには
〇自閉症の診断や療育の知識はアメリカと比較すると大きく立ち遅れていること
〇「自閉症」「発達障害」という言葉は近年世間に浸透してきているが、早期発見・診断ができてもその後の療育や対応についての情報は不十分で、十分な療育が行われないまま放置されるケースが少なくないのが現状になっていること。
〇日本で取り入れられている療育としてTEACCH・ABA(行動療法)・VB・PECSなどがあり、取り組み方によっては保護者が療育者として家庭で療育ができるとありました。
確かに息子を診てくださった医師は診断が主でした。何か息子にできることはないですか?と伺っても、療育の「り」の字も出てこず、療育園を紹介していただいただけでした。後に何度か経過診察をして頂いた時に分かったことですが、医師もTEACCH等の療育の名前(知識)は知っているものの、具体的な療育方法に携わったことがないので聞かれても分からないとおっしゃっていました。
息子が障がい児であるという現実をまだ受け止めきれる心のキャパシティーが足りなかった私ですが、事実を受けとめ親として何か息子にできることがないのか模索していたので前に進むきっかけを頂けた本になりました。その本にもあったABA(行動療法)というものに関心をもち、取組んでみようと決心し家庭療育がスタートしました。
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