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自閉症の息子は固有感覚が鈍いと発達検査で指摘されました

 

この記事は自閉症の息子さんを持つ30代の女性に書いていただきました。

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固有感覚が弱いとはどんな状態なのか1

 自閉症の息子が療育機関で発達検査を受けた時、検査結果から「固有感覚が鈍い」と言われました。固有感覚とは「体がどういう動きをしているのか」という、体の位置を感じる感覚の事を言います。

 通常の人は目をつぶって体を動かしても、今どういう状態にあるのかを理解できます。ところが固有感覚が鈍いと目で確認しないと自分がどういう状態なのか分からないのです。例えば
自分の体の大きさや、手を広げたらどれくらいの大きさになるかを感覚的に分からない為に、人との距離が近すぎたり、ぶつかったりしてしまいます。

〇手を大きく伸ばす時はどうしても肘が曲がってしまうこともあります。鏡で体の状態を見せてあげて初めて肘が曲がっていることに気付くといった感じなので、学校で先生の見本を見ながらダンスや体操をすると、本人は出来ているつもりでも指先など細かい部分は真似できていないのです。

〇ある程度の年齢になっても絶対に入らない大きさの所に入ろうとしたり、絶対頭がぶつからない高さなのに膝を曲げながら入るといったこともこの固有感覚の問題から起こります。

固有感覚が弱いとはどんな状態なのか2

 固有感覚を感じにくいという事は、「普通の力で行動してもその動きを感じにくい」という事です。このためにすごい力で鉛筆を握ったり、軽く触れるつもりが力いっぱい叩いてしまうといった行動をとってしまうことがあります。鬼ごっこで友達を捕まえる時も強くタッチしすぎて、嫌な顔をされるということも起こります。

固有感覚が弱いとはどんな状態なのか3

 固有感覚を感じないと、自分がどういう状態なのか分からない不安から必要以上に体を動かすことがあります。これは固有感覚を求めての行動なので、ただ多動で済まされる問題ではありません。授業中など体を動かすことが許されない場合は、他の方法で刺激を与えてあげる必要があります。トゲトゲのついている小さなボールや、椅子に結んで足で刺激を感じる事が出来るゴムなど、様々な感覚刺激グッズが売られているのでそれを利用するのも一つの方法です。

発達検査の内容

 息子(自閉症)の受けた発達検査には、人の形が書いてあって、その絵に足りないものを書き足す課題がありました。診断を受けた頃の2歳の頃の検査結果から8歳になる現在まで、この課題を完璧にクリアしたことはありません。足がなかったり、腕がなかったりしたのがだんだん人間の形になっていきましたが、耳だけはずっと書けないのです。保育園や学校で自分や友達の絵を描くときも耳は書いていません。この結果から固有感覚についての指摘があったのです。

 よく聞く話として、固有感覚が鈍い人はこたつの中に入ると足が無くなったように感じて動かせないと言われますが、この冗談のような状況も息子(自閉症)に実際に起きてビックリしたことがあります。足を動かせないのでこたつから出ることが出来ず、引っ張ってこたつから出しました。

固有感覚を改善するための訓練

 この固有感覚の鈍さは作業療法の訓練によってある程度改善されます。療育施設に感覚統合室というものがありますが、そこにあるトランポリンやボールプール、バランスボールなどで固有感覚を統合していくことが出来ます。バランスボールは家庭で使うことも出来ますし、低緊張の訓練にも効果的なのでお勧めです(参考記事「自閉症の息子は低緊張のため体幹が弱いので、補助グッズを使用」)。

 療育でのトレーニング以外でも、アスレチックに行ったり相撲をとったりと筋肉や関節を大きく動かすことで感覚を感じる経験をたくさんする事が大切になります。

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