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同じ自閉症スペクトラムでありながら特徴が全く違う兄妹

 

この記事は30代の女性に書いていただきました。

…………

息子…小1。自閉症スペクトラム。一般の幼稚園、小学校は通常学級。

娘 …年中。知的障害を伴う自閉症スペクトラム。3歳から療育施設へ通園。

 息子と2歳年下の娘、時期は異なりますが、どちらも自閉症スペクトラムと診断されています。娘は知的な遅れも伴っているせいもあるのでしょうが、兄妹全く特徴の現れ方が異なっていて、とても同じ障害とは思えませんでした。

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兄妹共言葉の遅れは共通していたが・・・

 自閉症スペクトラムの大きな特徴で挙げられる言葉の遅れですが、これは2人とも共通しており、4歳までほとんどまともに言葉を話しませんでした。が、息子の方は相手が言っていることは理解しておりましたし、「ん、ん」や聞き取れない宇宙語のような言葉で一生懸命伝えようとしている様子がありました。そして4歳になる頃集団生活を始めたところで言葉が爆発的に伸び、7歳の今では流暢な会話ができます。

 しかし、娘はそもそも話したいと思っていない様子、人と関わる気が一切ないような子でした。こっちが何かを伝えたくてもまるで興味がなく、自分の興味があるものも誰かに伝えようという気持ちも見えません。いつも物にしか興味がなく下を向いていて、人は邪魔だから寄ってこないで欲しいという雰囲気を全身から醸し出していました。

 2人とも一言で表すなら言葉の遅れでしたが、息子の方は、「言葉の遅い、待ち遠しい子」で、娘の方は言葉以前の問題で、「何かおかしい、普通じゃない、何を考えているのか全くわからない」という違和感がとてつもなく大きかったです。

極度の怖がりの息子と、突進していく娘

 何かに対する取り組み方は、兄妹は両極端でした。息子は、とにかく怖がりで手を焼きました。遊園地に連れて行って、ジェットコースターを怖がるのならわかりますが、メリーゴーランドも怖がって泣いて乗れないのです。公園の滑り台もブランコも乗れるようになるまで相当な時間がかかり、赤ちゃん用の小さな遊具で1人体の大きい息子が混ざって何とか遊んでいるのを見て、苦笑いの日々でした。予想もつかないものを怖がりすぐに私にしがみついていて、赤ちゃんだった娘を抱っこしているのに息子もへばりついてくる状態でした。

 対して、その赤ちゃんだった娘が自分で動けるようになると、全く逆でした。興味が出た瞬間にそっちへ一直線です。危ないことも平気でやりますし、誰かが遊んでいる遊具や玩具途中でも関係ありません。自分が興味が出たその瞬間に突っ込んでいくのです。娘はそのせいで良く怪我をしましたし、人の物を取ってしまうので私は必死で付いて行って止めたり、相手の子に謝ったりしました。玩具を片付けているその瞬間にも、また次の興味へ走っていく子でした。

 この両極端な2人を連れてどこかへ行くと、一瞬たりとも気が抜けず、毎日どっと疲れていました。2人とも未就園児の1歳3歳ぐらいの時期は、出かけるとぐったり疲れるけれども、2人とも外で遊ばせないときっと成長しないと、必死で連れ出していました。息子の怖がりと、娘の大胆さ、足して2で割って欲しいと何度思ったことか。

 自閉症スペクトラムの子は感覚過敏の性質により、必要以上に何かに対して怖がってしまうことがありますが、息子の方がその傾向が強いなと感じます。

兄妹の運動能力の違い

 息子は、運動能力の伸びが小さい頃からとても遅い子で、1人で歩けるようになったのは1歳半過ぎてから。その後も運動が苦手で、幼稚園に入ってもダンスや鬼ごっこなどの遊びも付いていけないほどだったので、一緒に運動しようと色々なことに誘ったり連れて行ってみたりしましたが、怖がりのため何もかもやってくれませんでした。逆に今考えれば、それは苦手意識を刺激して悪循環だったかもしれません。元々の素質ももちろんあるとは思いますが、運動能力はやらないと伸びないものだと思うので、怖がりと運動能力の低さは関連が大きいのかなと感じます。

 娘といえば、1歳で立って1歳半では走るほど運動面での発達の伸びは良かったです。なので、娘の発達は順調だなと1歳ぐらいまでは安心して何の心配もしていませんでした。その後自閉の特徴や知的な遅れが現れて、上の息子よりも程度が重いことがわかりますが、受けた発達検査(新版K式)で、身体能力がとても高いせいで、大きく下がってる言語面や社会性の部分があるのにも関わらず平均の数値が上がってしまい「軽度」と判定されるほどでした。

兄妹の睡眠状態の違い

 娘は、恐ろしいほど寝ない子でした。昼寝もなしに、夜中の22時や23時、ときに日付越えてまで大騒ぎされることもあり、余りの異常な騒ぎ方に引っぱたきたくなったことも正直あります。早寝に良いと言われることはありとあらゆることを試しましたが、効果は一つもありませんでした。自閉症スペクトラムの性質により何かに集中してしまうと何時間でも同じことができる傾向の子もいて、娘もこれに当てはまります。

 危ないものを避けて放っておいて寝てしまえばいい、というアドバイスをもらったこともありますが、奇声を延々と上げ続け、体に乗っかったり踏みつけたりしてくるので眠れるわけもありません。やっと寝たと思っても2時や3時に覚醒することもあります。家事もままならず家はどんどん荒れていき、今日が終わる前に、また次の日がやってくるような、リセットが出来ずに地獄が続いていくような終わりの見えない日でした。寝ても、「いつ声を出すのか」と常に娘の挙動に怯えていました。

 逆に息子は、赤ちゃん時代の夜泣きはそれなりにありましたが、早寝早起きの習慣がわりと早くついてくれ、理想的なリズムで生活していました(娘のせいで、寝不足になってしまうことがあり可哀想でしたが)。

まとめ

 療育場面や診察してくれる医師からも、「兄妹は逆ですね」「対称的ですね」と言われることが多いです。でも、間違いなく2人とも自閉症スペクトラムです。また、良く自閉症の子にあると言われる常同行動(くるくる回ったり手をひらひらしたり等)は、2人共少ししか見られませんでした。自閉症の特徴が当てはまっていても自閉症とは断定できないし、自閉症であっても「自閉症の特徴的な行動」がない場合もある、人によって現れ方が様々でわかりにくい障害なのだなとつくづく思います。

[参考記事]
「高機能自閉症の息子は言葉の遅れが顕著。幼稚園の入園を断られる」

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