◇発達障害児の作業療法とは
発達障害の子の中には、極端に不器用だったり、運動神経が鈍いと言われるような動作の困難を抱えている子が少なくありません。例えば「ボールをキャッチできない」
「お箸が持てない」「文字が書けない」等のような困難を改善するには「感覚」の発達を促すことや、基本動作の訓練が必要になります。
また、外界の情報をキャッチする能力が未熟なことによるコミュニケーションの問題も抱えています。作業療法ではこのような問題に対して、子ども自身が興味を持つ「遊び」を通して五感や前庭感覚などの発達を促す働きかけを行うことや、基本動作の訓練、コミュニケーションのトレーニングを行います。訓練には作業療法士(OT)が行います。
◇作業療法ってどんなことをするの?
作業療法のひとつとして、感覚統合療法があります。これは、五感や前庭感覚、固有受容覚の発達を促すことによって、それぞれの感覚がうまく連携しながら情報処理がスムーズに行われるように働きかけるセラピーです(前庭感覚、固有受容覚については「発達障害の原因とは」)私の息子は幼稚園年長時に感覚統合療法を受けました。感覚統合療法と同時に時間内に眼球運動の訓練も同時に行なってくれましたので、そのあたりの話を説明します。
発達障害の子どもたちが感覚統合療法を受けたのは小児科のリハビリセンターのプレイルームです。対象は小学校入学までの子どもで、1クール10回受けることができます。初回はアセスメントの時間、最終日はモニタリングの時間となりますので実際にセラピーを受けられるのは8回でした。アセスメントでは現在何に困っているか等の情報を整理し、課題を見つけます。モニタリングはセラピーを通して改善されたこと、新たな課題となったことを見極め、次のクールにつなげたり、療育などにつなげたりするなどで、フォロー体制を作ります。そこで本人の興味に合わせて遊びながらも、課題に合わせた遊び方に上手に誘導しながら訓練に入ります。息子が好んで遊んだのはボルダリング(壁登り)です。この時に作業療法士さんから出される課題をこなすのが楽しかったようでした。
また、息子はセラピー開始時、眼球運動がうまくいっていなかったので、セラピーの合間に眼球を上手に動かす訓練(ボールを目で追うような訓練)をしてくれました。1クール中に息子自身がラグビーを習い始めたこともうまく作用したようで、結果、1クール終了時には眼球運動がスムーズに行われるようになっていました。
発達障害の娘も現在、児童発達支援施設に月3~4回通いつつ、感覚統合療法を受けています。施設での療育は集団が中心である一方、リハビリセンターでの感覚統合療法は作業療法士さんと1対1で受けられるという違いがあります。どちらがいいという問題ではありませんが、感覚統合療法やその他作業療法はお子さんの年齢が低いほど効果を発揮します。特に小学校入学前までがいいそうで、私が子どもたちを行かせているリハビリセンターでは小学校入学前の子のみ、受けることが可能です。まだお子さんが就学前であればぜひ、受けてみることをお勧めします。
◇作業療法を受けたい時はどうすればいい?
まずは主治医に相談してみてください。私の子どもたちは病院のリハビリセンターで作業療法を受けました。主治医が決まっていないようであれば、発達障害児向けの作業療法をおこなっている医療機関を受診するようにし、「作業療法を希望している」旨を伝えるといいでしょう。
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