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発達障害の原因とは何か。親のしつけや遺伝と関係あるの?

 

 発達障害の原因についてはこれまでさまざまなことが言われてきました。いえ、今もいろいろなことが言われています。ここで一度、発達障害の原因に関する説を整理してみましょう。

 発達障害を知らない人から見ると「親のしつけ」の問題と思われがちです。誤解をしないためにも、発達障害に対してしっかりとした認識を持つことが大切です。

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発達障害は脳の認知機能のかたよりから

 現在はっきり言われていることは、発達障害は脳の認知機能の障害であるということです。認知機能とは、五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)、前庭感覚(平衡感覚)、固有受容覚(手足の位置を感じる感覚)などの「感覚」を受容していく機能のことです。見たもの、聞いたもの、匂いを嗅いだものなどの外界の情報に対して、それをどう解釈するのかということが「認知する」ということです。

 前庭感覚は平衡感覚とも呼ばれていますが、この感覚が弱いとじっと座っていられないなど動きに不自然さが生じます。固有受容覚は手や足の位置がどこにあるのかを感じる感覚ですが、私たちはこの感覚があるため、外界の物に当たらないで歩くことが出来るのです。しかし、この感覚が劣っていると、物に足をぶつけたりして、怪我が多くなります。これらの感覚は生まれた時から全てが完璧に備わっているわけではありませんが、一般の人と比べると成長の度合いが遅いということです。

 子どもの発達には年齢に応じた段階がありますが、発達障害の子どもは、認知機能の遅れや偏りのために、その段階のどこかがうまく機能していない状態と言えます。これまでよく言われていた、「親のしつけが悪い」「本人がサボっている」「精神疾患だ」はすべて違いますので、決して自分を責めないでください。ただし、虐待や育児放棄は症状の悪化の原因となりえます。

親が発達障害だと、子どもも発達障害になるの?

 先ほど書いた認知機能の障害を起こす原因として考えられるものがあります。ひとつは「遺伝」、もうひとつは「環境(家庭や学校など)」です。遺伝も原因のひとつと聞くと驚いてしまいますね。「じゃあやっぱり親が悪いのか」と思ってしまいがちですが、そういう意味ではありません。

 例えば癌になりやすい体質は遺伝すると言われています。でも、親が癌にかかったとしても、その子供たちがみんな癌になるわけではないですよね。それと同じで、認知機能障害を起こしやすい脳のクセが遺伝するだけで、そのクセをお子さんが持っていたとしても、お子さんが必ず認知機能障害を起こして発達障害になるとは限りません。

 また、環境や療育などによって認知機能のバランスが整い、発達障害にならなかったり、軽減したりすることもあります。逆に、いじめや虐待などで人間関係のストレスがかかると、遺伝要因がなくても認知機能が発達しにくくなることもあります。

[参考記事]
「発達障害の療育ってどんなことをするの?娘の事例と手続き方法」

デジタル機器の使い過ぎを指摘する専門家も

 最近、一部の専門家から早期の英才教育やスマホ・タブレットなどのデジタル機器の使い過ぎによって認知機能の偏りを生むといった指摘もあります。大人でもスマホを多用することによる脳の弊害を指摘されているので、子どもにも影響がある可能性も捨てきれません。もしお子さんが、デジタル機器(デジタル系のゲームなど)を長時間使うことが多いようなら、時間を極力減らすなどの対策を取ったほうがいいのかもしれません。

まとめ

 もしあなたが、お子さんに対して虐待や育児放棄をしていないのならば、お子さんが発達障害だったとしても、あなたが悪いのではありません。また、お子さんが怠けているわけでもありません。堂々と、今お子さんにできることをしてあげましょう。

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