この記事は20代の女性に「アスペルガー症候群の先輩の恋愛話」を書いて頂きました。恋愛に失敗したことが原因で鬱になり、半年も会社を休んでしまったそうです。
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私の働いている乗馬クラブの先輩である34歳の男性の恋愛話をします。名前をAさんとしましょう。私は勤続11年になりますが、Aさんは14年働いています。私が初めてAさんに会った時の印象は「体操のお兄さん」といった感じの爽やかな青年でしたが、発達障害(アスペルガー症候群)の診断を受けています(参考記事「発達障害の一つアスペルガー症候群とは」)。
かなり「こだわり」が強く、自分の意見を曲げないところがありました。Aさんは上司から仕事やプライベートの面をアドバイスされても「いや、…」や「でも、…」と言い、自分のやり方にこだわっていたように思えます。しかし職員同士仲が良く、職場の環境としてはとても雰囲気のいいところです。だからこそAさんは人間関係が苦手なアスペルガー症候群を持ちながらも長年働けたのだと思います。
Aさんの恋愛に向いていない性質
乗馬クラブということで朝は比較的早く、帰りは早く終わる仕事です。Aさんは自転車が趣味で、天候が悪くない限りは自転車(ロードバイク)で出勤してきます。勤務時間より早く来て、勤務態度はいたって真面目です。お昼になると皆でテーブルを囲んで食べるのですが、「甘いものは必ず先に食べる」という「こだわり」があり、それは必ず守っています。いくら食後にお客さんや上司が甘いお菓子やケーキを持ってきても、「明日食べます」と頑なに食べません。自分のパターンを崩されたくない性質はアスペルガー症候群によるところなのでしょう。
会話でも少し変わったところがあります。お昼に皆で会話をしていた時に職場の行事としてもうすぐ行なわれる餅つき大会の話になりました。職場のみんなで「ノロウィルスが出ないといいよな」と話をしていても、皆は暗黙で「餅つき大会でノロウィルスが出ないといいよな」と分かります。しかし、Aさんは「餅つき大会はノロウィルスが流行ってるので気をつけた方がいいですよね」と同じ会話を繰り返すのです。
Aさんから言わせれば「ノロウィルス」という言葉にだけに反応し、餅つき大会の話題だと気づかなかったのです。なのでたびたび「今その話してたんだけどな」と突っ込まれることがありました。一般の人は暗黙の了解で「〇〇の話をしている」と分かりますが、アスペルガー症候群の人はこの曖昧な会話の流れが上手くつかめないのです。曖昧さが多い恋愛には向いていないタイプです。
Aさんの恋愛1
Aさんの恋愛の話をしましょう。Aさんはかなり奥手で、4年前の30歳まで交際をしたことがありませんでした。そんなAさんですが、職場の同僚から女の子を紹介してもらい、遊園地でデートをすることになったのです。Aさんと女の子は観覧車に乗ったのです。すると女の子は「そっち行っていい?」と言ったそうです。向かい合わせで座っていたので、女の子は勇気を振り絞って言ったのでしょう。するとAさんは「いいよ」というと、入れ替わりで女の子が座っていた方に座ったのです。場所が入れ替わったということです。
後にAさんは「僕が座ってた側の方が景色が良かったんで、こっちに座りたかったのかなと思って」と言いました。女の子からすれば、Aさんの隣に一緒に座りたかったのに、その場を立たれたら何の意味もありません結局Aさんとその女の子はそれっきりだったそうです。後からこの話を聞くと、「脈ありだったんじゃない?」と分かるのですが、当の本人は分かっていなかったようでした。
Aさんはやはりアスペルガー症候群の性質により相手の気持ちを察する能力が乏しいところがあったので恋愛も上手くかないことが多かったのです。
Aさんの恋愛2
Aさんは乗馬クラブ利用者のお姉さんに片思いをしている時がありました。私の働いている乗馬クラブでは障害者乗馬をしているのですが、その利用者である障害を持っている男の子のお姉さんです。
昔からの利用者さんで、その男の子のお母さんとも職員は仲が良かったので、他の職員がお姉さんの連絡先をうまく聞きだしてAさんに教えました。Aさんとお姉さんとの仲を取り持とうとしていたのです。
しかし先輩の職員に「今は積極的に行かないで少し様子を見ていた方がいいぞ」とアドバイスをもらっていたのにも関わらず、Aさんはお姉さんに告白してしまい、「友達からなら・・・」と振られてしまったのです。
Aさんは振られると思っていなかったため落ち込んでしまい、鬱になってしまいました。そして半年間会社を休んでしまいました。アスペルガー症候群に限らず発達障害の人は二次障害として鬱になる人がいて、彼もそうでした。周りがもう少しフォローしてあげれば二次障害にはならなったのかなと思います。
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