今回の記事は発達障害の一つ「ADHD」と診断された近藤さん(30台前半の女性)に書いていただきました。近藤さんは投薬を受けていない状態でも、社会人として、一児の母として頑張っておられます。
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発達障害を疑うようになったきっかけは学生時代、本屋で立ち読みした1冊の本でした。ADHD(注意欠陥多動性障害)を紹介する本で、片付けられない、仕事でミスが多い、忘れ物が多いなどのADHDの特徴を紹介する本を見つけたとき、まさに自分の性質そのものだと思いました。
もしかして自分は発達障害のADHDなのだろうか。本を読んで愕然としました。しかし、発達障害の診察ができる病院は少なく、半年待ちは当たり前。すぐに診察してもらいたいのにそんなに待てないと躊躇している間に時間ばかりが過ぎていきました。どうしてあの時、すぐに行動を起こさなかったのか、後悔してもしきれません。
とにかく部屋が汚い、片づけられない
大学時代、私は親元を離れて暮らしていました。実家には自分の部屋がなかったので、自分だけのお城ができたと思って本当に嬉しかったのを覚えています。
ところが、住み始めると、思い描いていた部屋作りができないのです。散らかった部屋のことを「足の踏み場がない」と言いますが、私の場合は足の踏み場が決まっていました。部屋の入り口からベッドに行くまで、ゴミとゴミの間に出来た隙間に「ここに右足、あこに左足」というような状態で歩いていきました(笑)
本当に恥ずかしい話ですが、片付け方が分からなかったし、学校とアルバイトが忙しかったので、家でゆっくり部屋を片付ける余裕もありませんでした。もちろん家に人を呼んだことはありません。整理整頓ができなかったのはADHDの「不注意性」と関わりがあると思います。私は多動性はないですが、不注意性が強い性質なのです。
今の私には考えられませんが、当時は散らかった部屋でも何の抵抗もありませんでした。今は結婚して、子供がいることもあり、部屋は散らかっていませんので、習慣づけすれば何とか発達障害の性質は修正はできるものです。
仕事では病的なまでにミスが多い
私は学校の成績は悪い方ではなく、むしろクラスでは成績上位でしたから、仕事でも頑張れば「仕事ができる女になる」と思っていました。ところが仕事は覚えても覚えたこと以外のことに対応できません。そして覚えたことをすぐに忘れてしまいます。先輩に再度教わって聞いても、しばらくするとまた忘れるのです。
私と同時期にアルバイトで入社した人はどんどん先輩からの信頼を得ていったのに対し、仕事でミスを繰り返す私は職場では浮いていました。例えば飲食店で仕事をしていたときは、オーダーを受けた後、送信ボタンを押し忘れたせいで、料理が届くまでお客様を30分近くお待たせしたこともありましたし、階段につまずいてお客様のスーツにビールをかけてしまったこともあります。
仕事のミスは「たまたまだ」と思っていましたし、「接客が向いていない、デスクワークなら大丈夫」と本気で思っていました。そのため、就活では一般職で事務の仕事を探していましたが、結局就活に失敗し、その後も転職を繰り返しました。思い返すと、ADHD(発達障害)そのままの性質ですが、当時は全く気づきませんでした。
もし発達障害の本を読んだ時、病院で検査を受けていたら、もう少し早く対処できたかもしれません。診断を受けた時には、その本に出合ってからすでに7年も経過していましたので。本当に遠回りをしてしまったなと思います。
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