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自閉症の息子は民間の保育園に通うことで飛躍的に成長

 

この記事は自閉症の息子さんを持つ30代の女性に書いていただきました。

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 我が家の8歳の息子が2歳で自閉症と診断された時、心理士さんから「なるべく早く集団生活を経験させた方がいい」と言われました。4歳から2年間幼稚園に入れるつもりでいたので、その前に集団生活させたほうがいいと判断し、集団生活が出来る施設について調べる日々が始まりました。

 療育施設の保育園は定員が少ないので入ることは出来ず、児童デイサービスを利用するのが療育の観点から見ても最適だと思い、各施設に相談、見学に行きました。

 ところがまだ小さかった息子は母子分離での利用は難しく、0歳の娘を連れての参加も断られてしまいました。娘の一時保育をお願いしようと公立の保育園に問い合わせてみると、0歳児だから無理という園もあれば、利用理由を聞かれ上の子の児童デイサービス利用の為だというと「下の子もそういう疑いはないんですか?もしそうならお受けできません」と心に突き刺さる言葉で断られた事もあります。

 私も主人も親元から離れているため、頼れる人がおらず児童デイサービスの利用は諦めるしかありませんでした。

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療育の先生に息子の受け入れ施設について相談

 療育施設の先生に相談したところ保育園はどうかと勧められました。先ほどお伝えしたように一時保育は断られましたので、無理ではないかと思いましたが、一応トライすることにしました。案の定、保育園の利用は当然親が働いていることが原則ですし、担当者にも「障害のある子に集団生活を経験させるためという理由では利用できません」とはっきり言われました。

 幸いなことに我が家がある地域は、親の就労関係なく利用できる民間の保育園もいくつかあり、公立の保育園も園児に余裕があれば直接契約で利用できると聞いたので、公立の保育園に見学に行きました。公立の保育園だと加配がつくというのが魅力でした。

 この時は息子もなぜか良い子にしていて一見健常発達の子供に見えていたようです。園内を見学させてもらい、直接契約で大丈夫ですよと園長と話をさせてもらっている時に、息子が自閉症と診断が出ている事を話すと和やかだった空気が一変し、そういう事でしたらお受けできませんと言われました。

 障害のある子どもを育てていくという事はこういう事なんだ…と実感した瞬間です。集団に入れた方が良いと言われても、そうしてあげられる社会ではないことに腹立たしさもありました。

民間の保育園を紹介される

 そんな中、知り合いに自閉症の子供も通っている民間の保育園を紹介してもらうことができ、話をしに伺うと今までの保育園とは違い、障害のある子供の受け入れに積極的な園でした。園児数も少なく、担任制で1人の先生がずっと見てくれるので安心感もありました。

 そして何より心惹かれたのが、私たちが話をしている部屋にあるパソコンで自閉症の園児が動画を見ていた時に、「あの子は文字もすらすら読めるし、パソコンの使い方もあっという間に覚えてしまったんです。あの子の得意な部分を伸ばしてあげたいんです」と言った園長の言葉でした。集団で動く、決められた事をやるといった面を見ればその子の行動は褒められたものではないはずです。それなのに「個性を大事にする」という園長の考えに感激してしまい、息子もこの園に通わせることになりました。

 集団生活を始めた息子は、園に着いてからも中に入る事ができず、1時間門の前で座っていたり、みんなと同じ行動が出来ずに1人違うことをしているといった感じでしたが、無理強いせずに息子のペースに合わせてくれたりと本当に理解のある園でした。

 そして結局、4年間この保育園に通いましたが、私達が想像できない程、息子が成長してくれたのです。保育園に通った4年間でまず発語が飛躍的に伸びました。入園前まで全く発語がない状態だったのです。他にもルールを守って遊ぶ事や、自分からお友達と積極的に関わろうとする姿勢、やりたくない事でも我慢してやる、時間を見て動くなど集団行動が出来るようになったのです。

 障害のある子供をどこかに通わせるとなると、親は心身ともに本当に大変な思いをします。世間の厳しさを目の当たりにすることもあります。でもあきらめずに子供に合った園を見つけてあげる事が成長に大切なことだと思います。障害のある子供に対しての支援は手厚くなりつつありますが、その兄弟児(病気や障害をもつ子の兄弟姉妹)に対してはあまり目が向けられていないのが現状です。

 発達障害児が増えている今、我が家の様に頼れる人がいない家庭の為に、療育施設での託児のサービスが普及してくれればもっと療育を手軽に受ける事が出来るようになるのではないかと思わずにはいられません。

[参考記事]
「発達障害の子ども達の兄弟姉妹関係で気をつけたいこと」

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