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行事の時にじっとしていられない自閉症の息子のために行なった対応

 

この記事は自閉症のお子さんを育てている30代の女性に書いていただきました。

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 幼稚園や保育園、小学校などの集団生活を始めると避けては通れないのが各行事です。参観日や運動会、音楽発表会、生活発表会、その他独自の行事もあると思います。
この行事を楽しみに待っている発達障害児の親というのはどれくらいいるのでしょうか。
集団行動が出来なかったり、じっとしていることが苦手な場合が多いのが発達障害児達です。

 行事だからといって大人しくしている、じっとしている訳はなく、いつもと違う雰囲気で落ち着きが無くなる場合の方が多いです。そうなると集団の中で1人違う事をしている我が子を見る事になり、いくら障害を受け入れ前向きな親でも辛いものです。普段の生活から発達障害だと理解していても、集団の中での子供を見る、周囲の人に見られるという事で「他の子とは違う」という事を再認識させられるのです。

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息子のケース

 息子も年長組になるまで落ち着いて行事に参加することは出来ませんでした。参観日での朝の体操では走り回り、追いかけてくる先生に捕まえられて嬉しそうにしている息子。運動会でも決められた動きは一切出来ず、無理に立ち位置に立たせると泣き叫ぶ。他の子の邪魔にならないように先生が常に付き添っている姿は、それはそれで目立つものでした。

 それでも運動会の様に会場がザワザワしていたり、子供達も応援のために動いたり大きな声を出しているような場合はまだマシな方です。生活発表会や音楽発表会のように、ステージにたって演奏や歌、劇を披露するというのは、子供にとっても親にとってもハードルが高いです。1つの場所に立ち続けることが苦手な息子はステージの上でも自由に動き回り、劇でもセリフは言えず大きな声で独り言を話し始めたりと、考えさせられるものでした。

行なった対応

 行事の時に撮ったビデオを心理士さんに見てもらったところ、気になる点や改善法など教えていただきました。先生に追いかけられて嬉しそうにしているのは、「誤学習」をしてしまっているからだそうです。誤学習とは字の通り、誤った学習をしてしまっている事です。息子の場合は「体操の時間に走り回る」=「先生が追いかけてきてくれる(追いかけっこしてくれる)」と学習してしまっているために、体操の時間に体操をするという事が学習できていないのです。

 これを正しい学習をさせるために、「走っても追いかけてこない。これは違うのかな?」と思わせる事が大切です。初めに覚えたことが身についてしまう事が多い発達障害児なので、一度覚えた事と違う事を教えるのは難しいですが、追いかけずに自分で走り回るのをやめた時に褒めるなどして少しずつ良い方向に持っていきます。

 ステージでじっとしていられない事に関しては、筋力などの身体的な問題もありますが、自分の立つ場所が分かりにくいためにウロウロしてしまう可能性が高いという事でした。確かに歌の時はこの場所で、演奏の時はここに移動。隣の子との距離もとりつつ自分の場所を見つけるというのは息子には難しいものでした。そこで練習の段階から息子用のマットを用意し、その上が自分の場所だと視覚的に分かりやすくしました。これで自分の立ち位置が分からないという事が無くなります。じっと立っていることが辛くなったらマットの上なら座っても良いことにしました。自分の場所を動かないという事をしっかり理解させ、練習を繰る返すことでマットがなくても自分の立ち位置から動かないようになりました。

 毎回緊張しながら迎えていた行事ですが、しっかりとしたフォローを重ねていく事で着実に出来る事が増えてきました。行事での様子で子供の抱えている問題に気付くことも多いと思います。出来ない部分だけを見て落ち込むより、出来るようになった部分やしんどそうな部分もチェックしてあげるのが大切だと思いました

[参考記事]
「場所見知り」がある自閉症の息子のために行った対応

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