障害児の放課後等デイサービスに勤務している職員に書いていただきました。
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放課後等デイサービスではどんなことが行われているのかを紹介したいと思います。障害児の放課後等デイサービスは、学校帰りのお子様のためのスペースで、主に公園や児童施設などですごし、そのあとデイサービスの施設に移動しておやつを食べたり、レクリエーションをしています。私がいた施設は障害児のための施設で、広いトイレ、フローリングスペースにたくさんのおもちゃや絵本、すぐ隣に静かなもう一つのフローリングスペースなどがあります。
一日の流れとして大まかに書くと
PM 1:00 職員同士の打ち合わせ
PM 1:30 小学低学部の帰宅に合わせて学校へお迎え
学校の先生に今日の様子を聞き、公園や児童施設へ
PM 2:30 小学高学部、中、高等学部帰宅に合わせてお迎え、今日の様子の聞き取り
PM 4:00 放課後等デイサービスの通園施設で おやつタイム 帰りの会
PM 4:50 自宅への送迎
療育施設や作業所も併せ持っていたので作業所とデイサービスとの合同活動、学校からそのまま療育へなどもしていました。職員は10代から70代と幅広く、男女ともにいるので、子供たちはその中で好きなお兄さん、お姉さん、お母さん、お父さんなど自分に合う職員さんを見つけて過ごします。
職員には幅広い人材が必要で、特に自閉症などのお子様は「こだわり」が強いので、その個性に合わせた職員がまずは最初に担当につき、その担当を介して人間関係の広がりや、興味、関心、好奇心のお手伝いをします。
放課後等デイサービスの良い所
この放課後等デイサービスの良い所は、専門的な知識を持った職員が指導に当たるので、子供の生活スタイルの選択肢が広がる事です。見守り保育という言葉がありますが、これはただ見守るのではなく、何に興味があって、何に対して笑顔になるのか?逆に、何に対して苦痛を感じ嫌がるのか?なぜ苦痛になるのか?を追及をしていきます。その上で、職員側が選択肢を複数用意して子供に提示します。自己選択、自己決定の理念のもと、子供の生活スタイルの幅を広げるのです。障害によってこだわりが強い子供、ある事柄において非常に強い苦手意識を持つ子供は、日々の生活の中で、その選択肢を子供自身が諦めてしまっている事が多々あります。
ですが、まだ子供のうちならば好奇心という素晴らしい宝物を持っているので、その障害となるものを一つ、一つ丁寧に軽減をしていき、その先のチャレンジ精神を育むことが、将来を生きていくにあたっての、大事なライフスタイルとなっていきます。例えば、泥遊びが苦手な子供には、まずは泥遊びの何が苦手なのか?を考えます。ドロドロした感覚が手につくのが嫌なのか、そもそも泥遊びが上手くできないから興味がないのか、それとも夢中になるあまりに服を汚して怒られる体験が積み重なってしたくないのか?など考えられる限りのことを想定します。
想定問答が終わったのなら、次は仮説と実践を行い立証していきます。
① ドロドロの感覚が苦手ならば薄手のゴム手袋をつけてみたり、逆に厚い手袋をつける。
② 手や指の動かし方が上手くできないからであれば、ツール(オニギリの型ハメ)や腕に付けるタイプのスコップなどを使用する。
③ 泥遊びで汚れて怒られた体験が重なるのであれば、エプロン、もしくは園芸用のつなぎを着てからすることを条件付けする。それから複数の職員で褒めてあげて本人の承認欲求を満たしてあげるなどをする。
④ 実は泥遊び自体の楽しさがよく解らないのではないか?
などと、一つ一つ実践をしてどろ遊びへの興味を持ってもらい、苦手意識を薄め、楽しみへとつなげます。
泥遊び一つにしても、特別支援学校を卒業した後、作業所などでのお仕事の中で様々なことにつながっていく遊びなので、とても重要なことです。泥遊びやお砂場遊びは、作業所の仕事内容で多い農作物の収穫、植え付けや、パン工房でのパンの種作成、パンの成形作業につながっていきます。他にも、リハビリ効果として手や指の運動機能改善、集中力の継続効果、見た目ですぐに分かる成功体験などもあります。
ただ注意しなければいけないのが、それがとても苦痛で受け入れられないようなときは、別の選択肢を用意して、これ以上の苦手意識を持たせないことも非常に重要です。ただ単に、遊ぶのではなく、子供の持つ力を最大限に伸ばす事が目的であり、それが将来にどうつながっていけるか?を考えながら日々を過ごすことが職員の課題だといえます。
もし、放課後等デイサービスに興味があるのであれば、福祉制度をつかって通常より安く利用できることもあるのでお住まいの学校や市役所の福祉課に相談をしてみてください。
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