この記事は自閉症の子供を持つ30代の女性に書いていただきました。
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発達障害の子供の療育施設について各地域でかなり差がありますが、息子が住んでいる地域には診断から療育、保育まで行っている専門の施設があります。ただ発達障害の子供が増えてきている為、療育の予約が何か月に一回やっと取れるというのが現状です。作業療法士さん、言語聴覚士さん、理学療法士さんによる訓練は成長にとても重要なものですが、発達障害の子が多いことと専門職の数が限られているため、需要に全く追いついていません。
その為、我が家では民間の児童デイサービスを利用しています。乳幼児期には児童デイサービス、学童期には放課後等デイサービスと言われるもので、発達障害の子供達に個別や団体で療育を行っています。送迎がある施設や、お出かけする事がある施設など、各施設によって活動内容や力を入れている分野が違うので、その子その子にあった施設を選ぶ事が重要になります。診断されていないグレーゾーンの子供でも、市に申請をして受給者証を発行してもらえれば通うことが出来ます。また受給者証がなくても通える塾の様なタイプのものもあります。
作業療法とSST
息子の場合は体幹が弱く、身体の動かし方もぎこちなかったので作業療法に力を入れている施設と、コミュニケーションを学ぶSST(ソーシャルスキルトレーニング)に力を入れている施設と契約しています。
SSTとは集団生活をするうえでのマナーを学んだり、お友達と上手に関われるようにトレーニングします。人の気持ちを察したり、相手の話を聞いたり、話したりすることを繰り返しながら、発達障害児特有のトラブルを少しでも減らして、集団の中で生活しやすいスキルを身に付けることが出来ます。
息子はSSTの施設ではプリントを通して言葉遣いを学んだり、表情を見てどういう気持ちかを考えるという訓練をしています。最後にお楽しみとしてみんなで行うゲームの中でも、みんなが気持ちよく楽しめる様にルールを守りながら遊んでいます。経験で学んでいくのが一番ですが、実際の学校生活でそれを学んでいくのはリスクが大きくなります。そのためSSTをしてくれる療育施設は本当に貴重な場所です。
作業療法に力を入れているデイサービスは、体の使い方など全体も見てくれますし、立ち方や座り方、鉛筆の持ち方など細かい部分も見てくれて、それに合った訓練や補助具を考えてくれます。本人の力ではどうにもならない部分も多いので、子供にあった補助具を使うことで本人も楽になります。補助具とは例えば椅子にしっかり座れない子には道具をお尻をはめ込み、座位保持をサポートします。その他にも鉛筆が持てない子は、鉛筆に持ち手がついている道具を付けて、しっかり鉛筆で文字を書けるようにします。
指先の不器用さが目立つから、指先を使った練習をやらせるといったような、苦手な部分をどうにかさせたい為にそれを重点的に取り組みがちですが、苦手な事をさせ続ける事は本人の自尊心を低下させることに繋がるので注意が必要です。
療育では専門の方が子供の自尊心を損なわないように教えてくださるので、今のところ、行くのを嫌がることもありません。幼児期は特に遊びを通しての療育が多いので、本人が楽しみながら出来るように支援者側が工夫してくれています。
家でも取り組めそうなものはどんどん取り入れて入れていくと、子供も質の良い療育を受け続けることが出来ます。療育はすぐに効果が出ないことも多いですが、療育の結果は10年後に出ると言われています。何年後かの子供の成長の為に、親も諦めずに取り組んでいく事が大切です。
[補足]
作業療法の施設とSSTの施設の両方の施設を利用していますが、うちの家庭では4600円払っています。何ヶ所通ってもトータルで4600円を超えることはありません。費用は年収により決められていて所得900万円までが4600円、900万円以上が37200円です。市町村から課税されていない世帯だと無料で通うことが出来ます。
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