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ADHDの私がハローワークで受けた恩恵

 

この記事は30代の女性に書いていただきました。

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 私がADHDの診断を受けたのは、32歳の時です。診断されるまで、毎日悶々と目的なく過ごす自分に嫌気が差していましたが、今はその遅れをなんとか取り戻そうと努力しています。

 今はADHDと認識した事で自分を少しずつ許せるようになり、専門家の方から助言を頂き、工夫して生きています。

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通院の度に疑問を感じる

 ADHDと病院で診断されてから、通院しています。しかし現段階で診てもらっても根本的な解決には至らないと感じています。事実、病院は十五分程度の診察と主に薬の処方で終わりです。近況を伝え、気持ちが落ち着いた時には、次回の予約を聞かれ終了です。診察室を出る時、なんともいえない虚無感に見舞われます。

 主治医の笑顔が信じられず、「薬を売りたいだけなのでは」と疑ってしまう自分に悲しくなります。また看護師さんの出入り、ひそひそ話し声、主治医のパソコンを打つ音、刺激や音に過敏な私は、いちいち反応し気になるのです。このADHDの性質を根本的に分かっていない医者はダメなんではないかという気もします。

 薬は副作用があるし、自立支援医療制度を利用していて1割の負担金とはいえ、現在無職の私は交通費含め診察代が厳しいです。先の見えない不安を感じていました。

救いを求めて

 ADHDとは診断されたものの、世の発達障害の方はどのようにして生計をたてているのだろうか。これまで職を転々としてきたので、正直そこが知りたい。また一番のハードルでもあります。

 「発達障害 相談」で検索したところ、県で運営している支援センターの存在を知りました。電話で1時間近く親身に話を聞いて頂いた後、仕事の適正を知りたいからと是非利用してほしいと紹介されたのが、ハローワークの障害者窓口でした。窓口は予約制でしたので連絡したところ、大変温かい女性の声で、「体調の良い時にいつでもお待ちしています。」と言われました。

ハローワークで受けた恩恵

 当日、ハローワークには多くの人がいて緊張しましたが、電話と同じ声がしたので振り向くと待合室に担当の方が迎えにきてくれました。ベテランの女性で、ゆったり深々とお辞儀をしてくださいました。窓口は他の席から外れた静かな場所にあり、パーテーションで区切られていて、障害のある方を配慮した造りなのかなと感じました。これが何よりほっとしました。医者よりよっぽど発達障害を理解しています。

 私は、人の目を見るのが苦手で会話中あっちこっち目線が飛んでいたと思うのですが、相談員の方はじっと傾聴し、途中内線が入っても予定時刻を過ぎても、時に冗談を交えながら、付き合ってくれました。その中で主に[体に合う薬の服用][仕事についての適正]の2点を一緒に考えて下さいました。

[体に合う薬の服用]
 まず薬は副作用がきつく止めてしまったと話すと漢方薬で症状が和らいだ、副作用がなく体調も良好という発達障害の方がいるとのこと。

 漢方薬は6年近く慢性的な疲労を解消する為服用していますので、抵抗がありません。ADHDに効く漢方薬を病院で相談してみようと思いました。

[仕事についての適正]
 また仕事については手帳を取得し障害者雇用で働く事のメリット、デメリット、そうでなければ一般雇用でいかに自分に合った職につくかで強みを生かせるとの事でした。手帳を取得する予定はない旨伝えると、まず短時間の黙々と一人でできる清掃はどうかと勧められました。

 さらに場所も賑やかな商業施設は避け、老人ホームや精神病院、マンションなどを指定して頂きました。掃除は好きですが、それは自宅のお気に入りのスペースを思うままに綺麗にしたいという「こだわり」からです。まったくいつもの変なこだわりがでてしまい、却下となりました。

 これまで職で失敗してきて思うことは、明確な指示やある程度決まりがあり、後は一人で好きに進められる事がいいということ。私はワーキングメモリが小さいそうで忘れっぽく、マルチタスクつまり複数の事を一気にすると頭がパンクしてしまいます。ひどい時は、しばらく眠らないと復活できません。頭を酷使しているより、好きなことやぼーっとリラックスしている時にいいアイディアが浮かびます。いい加減と思われるかもしれませんが、その特性を大切にしていきたいです。それは、相談員の方にも共感して頂きました。そして在宅の仕事を探していきたいという結論に至りました。

まとめ

 これまで否定されることが多かったので、ハローワークで話を聞いて貰い、励まされ、嬉しくなりました。医者で受ける15分治療よりも多くの恩恵をハローワークで受けています。私は、神経質でこだわりがある一方、褒められると半日はご機嫌だったり、案外単純です。ハローワークの帰り道、ついつい夢中に自分の話ばかりしすぎたなと少し反省しましたが、心は軽やかでした。

 ADHDの症状なのか、頭の中で良い事も悪い事も目まぐるしく渦巻いており、時にどうしようもない不安が襲ってきます。そんな中、自分の事を理解してもらい、心行くまで話を聞いて貰い、久しぶりに安心感や満足感というものを得ました。またより客観的に自分を見るきっかけにもなり、前向きに自分と向き合っていこうと思いました。無料でこういった支援を受けられるのは大変ありがたいことです。病院よりよっぼど多くの恩恵があると思えた1日でした。

[参考記事]
「大人の発達障害に対する就職支援(仕事の紹介など)はあるの?」

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