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発達障害の二次障害でうつ病に。癒してくれたのは馬だった

この記事は20代の女性に発達障害による二次障害(うつ病)の経験を書いていただきました。

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 数年前、都内の心療内科にて発達障害のADHD(注意欠陥・多動性障害)の診断を受けました。幼少の頃は落ち着きがない、部屋が汚い、忘れ物やテストでのケアレスミスなどが多いなどADHD(注意欠陥・多動性障害)の特徴はあったのですが、「変わってる」と言われるだけで特に日常生活に影響はありませんでした。

 困り感が出てきたのは高校くらいになってからです。高校生の時、アルバイトでガソリンスタンドで働いていました。当時はセルフスタンドがまだ少なく、お客様から油種や給油量を聞き、店員が給油する形だったのですが、「ハイオクガソリン」と伺ったのに「レギュラーガソリン」を給油してしまったり、2,000円分と注文を受けたのに、満タンを注いでしまったりしました。幸いなことにお客様は怒らないでくれましたが、他にもボーっとして給油口からガソリンをこぼす事もありました。

 終いには後から入ってきた後輩から、また満タンで注ごうとしていた私に「さっき1,000円分って言ってましたよ」と注意される始末・・・ 。そんな事が続き、「私はどこかおかしいかも・・・」と思い始めました。クビにはならなかったものの、バイト仲間からは「仕事ができない」と白い目で見られ、頑張れば頑張るほど空回り・・・ 当時はバイトでは辛い思いしかしてなかったように思います。

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頑張っているのに・・・

 高校卒業後、興味のある調理の仕事をしたくて、イタリアンレストランでアルバイトを始めました。しかしこの仕事ではさらに自分の悪いところが際立ってしまいました。元気の良さや返事の良さ、愛嬌の良さはあまり活かせず、注文を書く紙を持っていない時にお客様にオーダーをされて注文を忘れてしまったり、よくシェフに怒られていました。さらにはうっかりして皿を割ってしまったりとミスが続き、シェフから「君はコンビニでレジ打ちをしてる方が向いているんじゃないの?」と言われ、アルバイトをクビになってしまいました。

 調理の仕事を諦められなかったので次はケーキ屋に就職したのですが、そこも1ヶ月でクビ。何故自分はこうなんだろう。頑張っているのにミスをするし、一緒に働いている人には怒られるし…。どうしても集中が途切れてしまう時があって、ボーッとしてしまうのです。だんだんと理想と現実のギャップが苦しくなり、自己肯定力が下がっていきました。発達障害の二次障害はこの頃から現れだしました。

 仕事を辞めてからも「死にたい」といつも思うようになり、さらには「家族にもきっといなくなればいいと思われてる・・・ 」そう思い込み完全にうつ病になっていました。今であればうつ病は発達障害の二次障害だと分かりますが、当時は知識もなくて、ただのうつ病と思っていました。

馬が癒してくれた私の心

 もう1度頑張ろう、と思い始めた頃、中学生の時通っていた乗馬クラブの職員の募集広告が目につきました。今現在働いているこの仕事は、馬の飼育・乗馬のレッスンが主な業務ですが、入りたての頃は馬の檻の鍵を何度も忘れ、馬が脱走したり、鍵をトイレに流してしまったり、やはり発達障害ゆえのケアレスミスは続きました。

 しかし一緒に働いている上司が昔なじみというのもあり、毎日の朝の作業の手順を紙に書いてくれたり、あらかじめ「〇〇はやったか?」と声をかけてくれました。発達障害を持つ私にとっては紙に手順が書いてあることはすごく有り難く、間違いも少なくなりました。

 そして、この仕事は子供相手、というのが自分の中でハマった部分もありました。お客様の多くは小さな子供で、小学生相手の乗馬教室もしているクラブです。昔から子供は好きだったのですが、無邪気な子供相手の仕事が自分を癒してくれた部分があります(もちろん、馬も私の心を癒してくれました)。イベントや幼稚園や小学校へ馬を連れて行く事もあり、馬に乗って子供が楽しんでくれる。子供を楽しませる事が自分のアイデンティティのように思うようになりました。もちろん馬にお客様を乗せるので、気の抜けない仕事と言えますがやりがいはあります。

 今までの仕事を振り返るとやはり自分の発達障害による性質を理解していなかったというのが、必要以上に自分を苦しめていた要因だったのだと思います。注文を取ったりする接客など、わざわざ向いてない仕事をしようとしていたのが間違いでした。早めの気づいていれば二次障害のうつ病にならずに済んだでしょう。「今までの仕事がうまくいかなかったから」と思い込まずに自分に合う仕事は必ずあると思って、仕事を探していけばいいと思います。

[参考記事]
「発達障害の「二次障害」とは何か。放置すると大変なことに」

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