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発達障害の自助グループに参加したけど苦痛でした

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この記事は30代の女性に書いていただきました。

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 発達障害について調べていると、必ずと言っていいほど聞く言葉が「自助グループ」。当事者が集まる団体のことで、特に発達障害者やその家族が孤立しがちなことであることから、自助グループに入って同じ境遇の仲間に会うことは有効だということが、どのサイトや書籍を見ても書いてあります。
 けれども、私はあえてそれに異を唱えたいのです。

1. そもそも自助グループって・・。

 医療や福祉の枠組みから外れ、当事者が自発的に集まる自助グループは、発達障害者のだけではありません。そもそもの始まりはアメリカでアルコール依存症の男性二人が「断酒するにはどうすればいいか」と考えたのが起源だそうです。「寂しいと飲んでしまう。二人でいれば少なくとも飲まずに済む」と定期的に集まったこと、その考えに共鳴した人たちが集まってきたこと、彼らが断酒に成功したことがきっかけで世界中に広まりました。

 「同じ悩みを抱えた人たちが集まる」という発想に着目した人たちが、摂食障害、DV、セクシャルマイノリティなど様々な自助グループを立ち上げ現在にいたります。本当に様々な団体があります。「強迫性障害の友の会」「鬱病友の会」「アダルトチルドレン友の会」など。

2. 発達障害の自助グループ

 日本では10~20年くらい前から発達障害という語が一般に広がりだしました。適切な療育を受けずに社会に適応できなかった発達障害者たちが凶悪事件を起こしてしまったことがマスコミでクローズアップされ、発達障害者=危険、というスティグマが世間に広がってしまったことが主なきっかけでした。

 この時に凶悪犯罪者の予備軍という偏見を減らすために語られた発達障害者像がステレオタイプ的な要素に満ちた側面があったように思えました。例えば「決して危険ではなく、エジソンのような天才も排出している」「発達障害者は個性だから、その個性を認め合うことが必要だ」。私は多くの当事者と出会いましたが、これらのステレオタイプ(先入観や思い込み)にとらわれすぎて不適応を悪化させている方を沢山目にしました。特に子どもさんたちが、「ボクは発達障害だから天才なんだ」と言う姿に痛々しいものを感じました。もちろん、中には知性が高い発達障害者もいることは事実ですが、ものすごく少ないです。
   
 そして冒頭の「発達障害には自助グループが良い」という論もまた、それらのステレオタイプ(先入観や思い込み)の一つであるように思えてなりません。(発達障害研究の権威・杉山登志郎医師が著書で自助グループを強調されていたのが根拠のようです)

3. 自助グループに行ってみた

 私は30代の終わりに発達障害の診断を受けました。色々ありましたが、障害者手帳を取って転職しようと思い、会社を辞めました。転職活動をしながら色々な自助グループに顔を出しました。

 公民館の一室を借り、みんなで輪になって順番に近況報告をしていくという形式のグループが多かったです(これは依存症などの自助グループに共通の形式)。途中に休憩をはさんで二時間くらいでしょうか。終わってたらみんなで近所のファミリーレストランで食事会。

 人の中で疎外感を感じることの多い発達障害者にとって「自分一人ではないんだ」という安心感を感じられることは重要で、客観的に自分を見つめることが苦手な当事者が同じ特性を持つ他者を見て学ぶことは多い・・杉山医師の指摘は重要だと思います。事実、杉山医師のクリニックでは自助グループに参加した当事者が社会適応を果たしているということです。

 ただ、アルコール依存症者やセクシャルマイノリティーの方と違い、他者との距離感や対人関係の技術に難があるのが発達障害者です。また子供のころから疎外感やいじめを経験しており、愛情や関心を渇望しています。二次障害で鬱やパーソナリティー障害がある方も非常に多い(自分もですが)。最初は友達が沢山でき嬉しかったのですが、次第にお付き合いが苦痛になってきました。

 例えば
〇ADHD傾向が強く、話に割り込んでくる方
〇人のカバンや財布を勝手に開ける方
〇主催者も発達障害者の当事者で朝の4時に電話をかけてくる
〇帰りの駅で切符を買おうとして、ふと後ろを見ると異性の当事者が無言でついてきている

〇発達障害と知的障害を持つ方が卑猥な冗談を連発している
〇メール交換をした方から、愚痴と悪口を羅列したメールが日に何度もくる
〇政治団体や宗教団体の方が勧誘に来た。発達障害という言葉は知らないようでしたが

 もう嫌だ・・そう思ったころに仕事が決まりました。自然に足が遠のきました。自助グループを検討されている方は、「対人関係の下手な人間が集まる場所だ」ということを頭の片隅において参加された方がよいと思います。

 もちろん楽しいことも沢山あったのですが、今振り返っても就職や福祉に必要な情報は何も手に入っていなかったように思えます。

4.病院のデイケア

 自助グループと並行して通っていたのが、病院のデイケアでした。私の通っている病院は精神科で、統合失調症やうつ病の方が多いところでしたが、デイケアのプログラムは豊富でした。家から近かったので、気分転換もかねて週に数度参加していました。

 発達障害の自助グループと違い、何か自分のことを語るということはなかったのですが、こちらの方がはるかに楽しく過ごせました。精神疾患の患者さんも発達障害者と同じくらい対人関係に難を抱えておられるので、自助グループと同じようなトラブルは起こるのですが、こちらは資格を持ったベテランのスタッフが豊富うまくフォローして下さいます。発達障害の自己理解、などという難しい理屈より、苦痛がなく楽しく過ごせる場所があることが一番だと思いました。

 「医師という権威に頼らず当事者主導の治療があるべきだ」「当事者の意見は尊重されるべきだ」というのが自助グループを支える思想で、立派なものであると思うのですが、この思想もまたステレオタイプ(先入観や思い込み)の一つになってしまっているのではないかとデイケアに来て思いました。

 「何がなんでも医者以外のいうことは聞くな!」という医師も多いみたいですが、「何がなんでも自助グループ以外のところへは行くな!」的なグループ主催者も多いわけでして、当事者は医療なり、福祉サービス、自助グループを自分で選ぶ力や知恵をつけなければいけないと思います。

5. 自分の居心地のよい場所を

 杉山医師の偉業を批判する意図は全くありません。また、現在様々な分野で啓発に努めている方々、特に努力しておられる当事者の方を貶めるつもりもありません。ただ、「自助グループに行けばすべて解決する」「自助グループだけが有効」という考え方を持っておられる当事者・家族の方がおられたら、「その人に合った可能性がある」とお話ししたいと願うのです。苦痛なまま自助グループに参加しているのであれば止めればいいと思います。デイケア、カウンセリング、医療など様々な選択肢があります。私は薬物治療で散々嫌な目にあっているので今は服薬していませんが、病院のデイケアには通っています。

 自助グループで出会った方の近況を時々耳にはします。私が通っていた数年前と同じ状況が続いておられる方が多いようです。グループで語られる言葉は「きちんと就職したい」「友達がほしい」など。社会に出たいという願いが叶っていないなら、一度違うやり方を検討するのも良いのではないか・・と案じています。

[参考記事]
「発達障害者の人間関係。アルバイトではクレームばかり」

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