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発達障害を精神疾患だと誤診され、社会生活が不可能になる患者達

この記事は前田穂花さんに書いていただきました。

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 本日の東京は生憎の雨空で、発達障害の二次障害から派生する全身疼痛に激しい痛みと吐き気を堪えながらこの原稿を書いている障害当事者のライター・前田穂花です。

 成人の発達障害の症状として激痛を訴える方は特に女性に多く、心療内科にも痛みの緩和を希望されて受診される患者さんは本当にたくさんいらっしゃいます。

※仮面うつ病という病気がありますが、心の症状が身体に表出する症状が出ます。例えば頭痛などです。発達障害による二次障害でもうつ病を発症することがあり、中には痛みを伴う人もいるのです。

 評判のいいクリニックであれば、実際の受診に至るまで半年待ち…というケースも少なくはありません。

 しかし、この手の痛みの緩和に使用される薬剤は神経疼痛を鎮めるために用いられる「リリカ」と「サインバルタ」を中心とする抗うつ剤です。

 現在の私は一日450ミリという相当に多い量のリリカを服用していますが、今のところ吐き気と体重増加以外の副作用を呈してはいません。しかし、私は元々抗うつ剤に弱い体質らしく、サインバルタを服用するとたちまち別人格にでもなってしまったかのように気分が高揚し、一度他人を殴ってしまったことすらあります。

 その時はたまたま精神病棟に入院中だったので、一時的に個室に隔離されただけで鎮静できましたが…これがもしも普通に街中での出来事だったら、そう考えたら自分でもぞっとする思いです。

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誤診されるケースも。昔も今も発達障害の確定診断は難しい

 因みに、私は精神科医の誤診(発達障害なのに統合失調症と誤診)による向精神薬の多量投与が原因で、歩行困難となって車椅子が必要となったという経緯があるのですが、メジャートランキライザーとも呼ばれる統合失調症の治療薬のほかにも、主に抗うつ剤として処方される「デパス」が私の全身の筋肉を弛緩させたのだろうということは、その後複数の精神科医及び整形外科医の所見から明らかとされています。

 「デパス」については、私以外にも処方にされたことによって同じような症状を示す患者さんが数多く見受けられたそうで、現在は精神科医の間でも「厳重処方」扱いになったことを、先日私は主治医から説明されました。

 発達障害のうちの一部と統合失調症は似通った症状を示しがちであり、熟練の精神科医でも確定診断に悩むほどだといわれています。生まれつきの発達の歪みを未だに統合失調症などの精神疾患の症状だと誤診される医師も相変わらず多いと伺っています。

 私が当時の病名で「精神分裂病」だと誤診されたのは今から30年も前の話ですが、その頃は今以上に私のように誤った診断が下され、発達障害に効果のある医療を保障されるどころか、無駄な薬を過剰に投与されてむしろ心身ともにボロボロにされ、人生そのものが狂わされるケースには暇がありませんでした。

 私はまた、生まれながらの発達障害を今でいう「統合失調症」と誤診され、多量の向精神薬投与と度重なる精神科病院への入退院によって、生きる力そのものを奪われた当事者の方にこれまで実際に何人もお会いしてきました。

精神疾患の治療に使用される薬の副作用の実態

 精神疾患で何よりも怖いものは薬のきつすぎる副作用と、断薬の際に幾度となく自分を襲う禁断症状の苦しさに尽きると私は思っています。

 言い換えるならば。妄想や幻聴、それらから来る反社会的な言動といったいわゆる陽性症状に対しては、外部からの刺激の少ない保護的な環境に「隔離」し、多めに向精神剤を投与することで鎮静が可能です。

 しかし、そのような手段で激しい症状をひとまず抑えたのち、延々と続く「陰性症状」こそが本当の向精神薬の副作用であり怖い部分です。「陰性症状」を呈し始めた患者さんは、それまで多量に処方され投与された薬によって、視点も定まらず、いつも考えがまとまらなくなって無為に過ごさざるを得なくなります。

 さらには錐体外路症状と呼ばれる…手が震えて書字ができない、うまく歩けないなどまるでパーキンソン病の患者さんのような状態に陥ることもあります。

 向精神薬はまた、患者の口の周りや舌、喉の筋肉を拘縮させ、あるいは委縮させます。服用が長くなればなるにつれ、患者さんは会話もおぼつかなくなります。言葉がうまく発せず、まるで口の中でもごもごとどもってしまったようにしか喋れなくなるため、精神科患者さんと接したことのない一般の方は、彼らの言いたいことをとても理解はできないでしょう。

 彼らが薬の副作用によってうまく会話ができない(喋れない)現実は、退院後の就労などといった社会生活復帰の可能性を著しく狭めてしまいます。

 同時にアカシジア(静座不能)という症状も現れます。まだ歩けていた頃、私はこのアカシジアという副作用のために座った状態で食事ができず、自宅でも入院中の病棟でも立ったまましかもうろうろ歩き回りながらごはんを食べるしかありませんでした。歩けなくなった現在も、車椅子に乗った状態のままバリアフリーの室内を自分では抑えることもできずに意味もなくグルグル移動してしまいます。

 大脳基底核が薬によって異常をきたすことによってこれらの症状が現れるのだと患者同士の間でも認識はなされていて、患者に対し詳しい説明をしない精神科医たちも、おそらく本当のことをわかった上で投薬しているのでしょう。

 とにかくものすごい離脱症状、禁断症状に苦しめられるのだけは間違いないです。厚生労働省が向精神薬を「コカインや大麻による離脱と同等」と公表しているくらいです。

発達障害を精神疾患と「誤診」された当事者の自虐

 もともと発達障害という目に見えないハンディによって苦しめられてきたうえ、二次障害の「治療」の結果、オレたちはゴミ以下の底辺に堕ちたよね。精神科医は薬の売人で、精神科病院はまさしく人体実験研究所もしくは廃人製造施設だよね。そう力なく皮肉めいた自虐を語る私たち当事者。

「実は“統合失調症”だというあなたの診断名は僕の誤診で、本当は昨今社会に広く知られてきた発達障害なんだよ…」と今さら医師に診断の結果を説明されても、時すでに遅しです。

 殆んどの方は薬の離脱による激しい禁断症状によって心身ともに不安定になり、再び精神科へと再入院になるので、完全な断薬はほぼ不可能だといっても過言ではないでしょう。

 「セニラン」という一種類の精神安定剤の服用のみでどうにか禁断症状を抑えることが叶い、度重なる精神科入院をストップできた私であっても、時々どうしようもなく心身の状態が不安定になってしまいます。

 薬の副作用からくる脳の器質変化に起因する気分の高揚の余り、身近な人に暴言を吐いてしまったり、衝動的になって自傷に走ってしまったり。心の症状がまるで仮面うつ病の患者さんのように身体に表出し、言葉で表現できないほどの全身疼痛のために食事すら自力で摂れなくなったり。

 そういうことが自分の上に起きるたびに、私はもう何もかもが手遅れであり、どんなに努力を重ねても、かつてのような生活はできないのだと思い知らされます。

人生自体が狂った当事者が想う真の孤独

 生まれつき発達障害という自分ではどうしようもできない原因のために幼少期から私は大人に疎ましがられ、育てにくい子、我儘な子、こんな子どもだったら産むんじゃなかったと言われ続け、常にびくびくと怯えつつ相手の声色を窺うことが、唯一の自分を守る手段でした。

 いつしかそれは私に対する養育者からの虐待に形を変え、クラスメイトからの激烈なイジメとなり、成人後は職場でのパワハラやセクハラの恰好のターゲットであり、交際男性や配偶者には暴力を振るわれる…そういう挫折体験の繰り返しでした。

 行き着いた果てとしての精神科病院では、皆が口々に自虐する通り「廃人」にされ、厚労省を中心とする関係省庁の大号令による「障害があっても地域で暮らそう」という大義名分のもと、社会で暮らすために最低限必要なスキルを身に着けるためのリハビリも支援もないまま、文字通り「放り出された」私たち。

 本当は生活保護費や各種手当、障害年金などの経済的支援以上に、どうにかそれぞれの能力に応じて働き、可能な限り自活し、本来持てるべき自己肯定力を甦らせ、自分なりに社会の一員として認められるようになりたいのに。

 そう希えば希うほど、砂漠のような絶望しか見えては来ません。どこにも私の居場所なんてないんだという絶望だけが、ひたすら胸を締め付けて消えてしまいたくなります。砂漠のような孤独を、私たちは常に味わいつつ苦しみ続けています。

[参考記事]
「発達障害の私が黒柳徹子さんから貰った「生きる自信」とは」

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