子どものうちから発達障害があることがわかった場合、親としても心配になるのが、「教育課程を終えた後の子どもの就職・就業」についてではないでしょうか。ここでは、発達障害児が将来、スムーズに仕事に就けるような就労支援制度(就職支援)について解説します。
受け皿は徐々に整備~発達障害者も就職支援が受けられる
2005年に発達障害者支援法ができてからは、発達障害者も障害者の雇用促進に関する法律の対象になったり、制度が利用できるようになりました。そのため、発達障害者支援センターで就労も含めた総合的な就職支援を受けることができたり、障害者手帳を取得して、障害者枠での就労も視野に入れて考えることができるようになりました(参考記事「発達障害になると障害者手帳(障害者認定)はもらえるの?」)。
もちろん一般就労が可能な方はそちらを検討することができますが、それが難しい場合は、就労継続支援事業所(A型とB型がある)で働くこともできます。
〇A型は企業と直接契約を結ぶため、最低賃金は一般の人と同じです(平均月収は約7万円)。
〇B型はA型での採用が難しい人達が働く事業所ですが、企業と直接契約を結ばないため賃金は安いです(平均月収は約1万5000円)。
B型で「働く意味」や達成感、満足感を得ることを覚え、社会人としての常識を学んだうえでA型への就労につなげていくことも可能です。
似たような制度で障害者の「トライアル雇用」という制度もあります。これは障害者の雇用に前向きな企業で最初に短期間、働いてみるというものです。ハローワークが窓口になっています。
その他、
〇就労移行支援事業所で職業訓練をして、就職へ繋げる(就職を紹介してくれる事業所もあります)
〇障害者職業能力開発校でパソコンなどのスキルを身に付け、就職へ繋げる
〇障害者就業・生活支援センターで仕事や生活の指導を受け、就職を目指す
などの就職支援を使うのも手です。
軽度発達障害の方の就職支援は?
とはいえ、人によっては障害者制度を利用することによって、賃金や仕事のやりがいについて不満を感じることがあるかもしれません。また、障害者手帳の対象にならない軽度の発達障害の方にとってはマッチングが難しいという問題もあります。
ハローワークでは、障害者手帳の対象にならなかった方でも、きめ細かな就職支援や個別に相談に乗ってもらうことができます。また、職業訓練や就労後のフォローを受けることもできます。「不安なことは、まず相談する」姿勢をもっていれば、(時間はかかるかもしれませんが)仕事に慣れていくことができ、就労を続けることも十分可能です。
家でできる就職支援:ソーシャルスキルを育てよう
早いうちからお子さんの発達障害がわかっているならば、親御さんはなるべく、お子さんの将来の1歩先を見て、今できることは今、取り組むという姿勢が必要になります。小さい頃から療育などを通してソーシャルスキルを身に着けさせれば、それはそのままお子さんへの就職支援になります。
企業から求められる遅刻や無断欠勤をしない・仲間と協力できる・指示を理解し、従うことができる・「報告」「連絡」「相談」ができる・・・などのスキルは、療育によって子どものうちから育てていきましょう(参考記事「発達障害の療育ってどんなことをするの?娘の事例と手続き方法」)。最終的にはお子さんが、障害があっても社会をうまく泳いで行けるスキルを身につけ、自立して生きていくことができるようになれば成功です。
また、お子さんの好きな事を見つけることも大事。もしそれが仕事につなげることができたら・・・ひょっとしたら本人にとっても、社会にとっても大きな利益になる可能性を秘めているかもしれません。
発達障害児は、上手く特技を伸ばしてあげられたら、将来的に大化けするかもしれません。実は発達障害児の子育ての醍醐味はここにあるのかも・・・と私は勝手に思っています。発達障害である息子の友達にも、美しいソプラノで歌う子や、魚の事なら何でも知ってるという面白い子たち(息子と同じで発達障害)がいます。息子の将来と同時に、この子達の将来も楽しみです。
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