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発達障害に対しての支援は自治体により大きな差。引越する人も

 

この記事は30代の女性に書いていただきました。彼女は住んでいる地域での発達障害の支援に満足できず、引越しまでしました。それだけ自治体での支援には差があるということです。予算の関係もありますので、これだけは仕方ありません。

………..

 我が家は子どもに発達障害があると気づくのが遅かったので、早期に発見して対処していればもっと成長が見込めた事も沢山あるように思います。そして障害ゆえの仕方のない部分にまで不必要に叱責されたりすることで起こる「自己肯定感の低下」も防げたのではないかなと思います。

 もし、もう一度やり直せるならと思うことも多々ありますが、子どもが辿ってきた今までの経緯と、理想はこうだった…というのを書いてみようと思います。

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健診で気づくのが一番!

 息子は母親の私からすると育てにくい子どもでしたが、対外的に何か問題があるような子ではありませんでした。今思うと、育てにくいのが分かっていたので積極的に人と関わらせず家に引きこもっていたので外での本当の姿が見えにくかったのかもしれません(人と関わらせなければトラブルもない訳ですので)。

 知的には高い能力も持っているので、保健師さんの質問や出された問題に答えられない、などがありませんでした。言葉も早く、身体的な能力もとびぬけて低くもなかったので乳幼児健診では一度も問題を指摘されることがありませんでした。

 ですが、私は健診時母子手帳に記入する「子育ては大変ですか?」の欄を前に、毎回ものすごく悩んでいたのを覚えています。本当は逃げ出したいくらい大変で辛かったのに、初めての子育てでしたし「どのお母さんもきっとこの位大変なのに頑張っている。この程度で辛いと言っては恥ずかしい。」という変な思いがありました。そこで毎回「大変だけどこんなものだと思う」に丸をつけていました。

 今思うとここで無理せず誰かに相談すれば、そこから先息子の発達障害に気付く事ができ、母子ともに適切な支援が得られたような気がします。

近所の普通の私立幼稚園へ。

 私の住んでいた地域は通える幼稚園の選択肢があまりありませんでした。だいたいの人が一番近い私立の幼稚園に当たり前のように通わせているような場所だったので、私も迷いもなくそこの幼稚園に決めました。健診で何かを指摘されたこともないし、心の底では大変だと感じていたもののそういうものだと思っていた私でしたので、何の配慮もお願いせず、本当に「普通に」面談し、入園が決まりました。

 入園してからは数々の問題が表に出てきました。入園式でも目立っていましたし、毎朝私から離れられず登園できない時期もかなり長く続きました。集団の中でもうまくやれず流れにも乗れません。入園した最初の年は、初めての集団生活だしそういうものだろう、と思っていましたが、一年一年心配が募りました。涙ながらに先生に相談しても「子どもはそんなもんです。」との答え。「心配しすぎないでください。」という言葉に違和感を感じながらも、いつも子どもを見てくれている先生がそういうのであれば私が神経質になり過ぎているのだろう、と思おうとしました。

 数年後、下に弟が産まれ、こちらは違う公立幼稚園に通わせて違いがはっきり分かったのですが、上の子を通わせていた幼稚園は先生の入れ替わりも激しく、先生のほとんどが学校を卒業したてのような若い先生で、相談してもそれに答えられるだけの経験や知識がなかったのだと思います。そして「障害があるかもしれません」と答えてしまえば加配の先生をつけなくてはならなくなる…。それは私立の幼稚園では難しい事だったのだと思います。そのような事情のため、長男は発達障害に気付かないまま卒園することになりました。

当たり前のように小学校の普通級へ。

 今まで一度も障害について指摘されたことがなく、関わる先生方からも「大丈夫」と言われていたので、心配でしたが当たり前のように地域の小学校へ入学し、普通級の在籍となりました。ですが初っ端の入学式から明らかに浮いていた息子。それからも立て続けに問題が起こり、やはりこれはおかしいとはっきり思うようになりました。

 そして自ら調べに調べ、相談機関を探し訪れ、いくつかの過程を経て「発達障害」と診断が下ることになりました。発達障害の診断を受け、療育手帳を取得したにも関わらず、学校側の対応はほぼ何もありませんでした。

 後に分かったのですが、私の住んでいた自治体では入学時に特別支援の申請をしなければその子の課題、その他の必要な支援などを記録もされないし、引き継ぎもされないシステムだったようです。入学後に判明しても、そこからは担任の先生の意識に任せる、という感じで必要な引き継ぎをお願いしても満足いくような結果にはなりませんでした。

 自治体や小学校が特別支援にそれほど力を入れていなければ、普通級の先生は発達障害についての知識がほとんどない事も珍しくありません。支援や配慮をお願いすると言っても、「発達障害とは…」の説明から保護者がしなくてはならず、必要な支援でも「親が甘やかしている。うるさい親だ。」と捉える先生もおり、息子が過ごす環境としては厳しいものがありました。かといって支援級に移らせて欲しいと申し出ても、IQが高いので適さないと言われ、本当に居場所のない年月を過ごすこととなりました。

発達障害に対する自治体の対応には大きな差が

 入学後通っていた小学校では支援の体制が整っておらず、必要な支援を受けることが難しかったのが原因で、同級生との関係が難しくなり、さらにその先の中学校ではもっと支援が受けられないと先輩ママから聞いていました。

 自治体を変えるしか手立てがない、と決心し、特別支援に力を入れているという地域に引越し、転校することにしました。引越し後の小学校はとても丁寧で、先生方の発達障害に対する知識も以前の自治体とは比べ物にならない程豊富で、特別支援に関わっていない通常級の先生でもある程度の知識と対応策をご存じで、息子や私はやっと居場所を見つけられた感じがしました。

 その小学校ももうすぐ卒業。今度は地域の公立中学校へ入学予定です。その際も引き継ぎをとても丁寧にしてくださり安心して入学できそうです。

支援の波に乗ることが大事

 過ぎてしまってから思うのは、上手に支援の波に乗りながら育てるのが何より大切だと感じます。我が子に障害があるかも、と突き付けられ、受け入れるのはとてもショックな事だと思います。これからまだ変わるんじゃないか、と信じたい想いで幼稚園の先生からせっかくアドバイスをいただいているのにそれを無視して支援を受けないまま小学校へ入学し、辛い思いをしているお子さんを沢山知っています。

 もう一度やり直せるなら、小さなころから沢山、療育などの支援を受け、不必要に傷つかず、無理なく成長させてあげられたら、今起こっている「自己肯定感の低下」も防げたのではないか、という想いが拭い去れません。ですが、引越しすることで、少しはダメージを少なくできたと思っています。

 世間に発達障害への知識が広まり、早期療育や早期支援が一般的になればいいなと願っています。

[参考記事]
「発達障害の療育ってどんなことをするの?娘の事例と手続き方法」

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